2009/03/22

40 minutes of funk. Decades of blackness.

"4hero ... mixing" Mixed by DEGO (Sonar Kollektiv) 

前にアルバム "Of All The Things" をレビューしたジャザノヴァの主宰するレーベル、ソナー・コレクティヴのミックス CD シリーズ、'... mixing' の第 3 弾でミックスを手掛けたのは 4 ヒーローのディーゴ。まぁ、この時点で内容は悪いわけはないんだけど、期待を上回る出来映えで、あらためて懐の深さを見せて(聴かせて)くれてる。リリースは 2008 年の 11 月なんで、ちょっと時間は経ってるけど。

ブーツィー・コリンズで幕を開けるミックスを一言で表すなら、ブラック・ミュージックの歴史というか、時代を超えてブラック・ミュージックの根底に貫かれてるファンクというか、ブラックネスのようなモノ。自身の主宰する 2000 ブラックの音源や J ディラといった最近のトラックから、エレクトロやヒップ・ホップ、レゲエ / ダブ、ソウル、ジャズといったルーツ・ミュージックまでセレクトしながら、違和感なく統一感を保ちながらグイグイ引き込んでいく感覚はさすが。「ブラック・ミュージックの歴史」なんて言い方をすると大袈裟だけど、便宜上使われてるジャンルとか時代とかにとらわれず、その根底にあるグルーヴみたいなモノを抽出して聴かせるセンスは、やっぱ間違いない。

ミックス CD のコンセプトにはいろんなタイプがあって、クラブでのプレイをそのままカタチにするような、「新しさ」とか「旬」をコンセプトにしたモノが主流だと思うけど(DJ という表現形態自体にそういう側面が強いから当然なんだけど)、ディーゴは DJ としても必ずしもそういうタイプじゃないし、新しさやスキルを売りにしてるようなタイプじゃないんで、そういう意味ではディーゴらしいミックスではあるんだけど、それを差し引いても期待以上の仕上がりだった。こういう風に、時代やジャンルを軽々と飛び越えるセンスってすごく大事だし、ルーツがシッカリあるってことの持つパワーも感じるし。とかく目の前のモノばかり追いかけて、ルーツを見ようとしない傾向が顕著に感じられがちな昨今なだけに、こういう作品は希有で貴重だし、でも理屈っぽかったり、説教くさかったりしなくて、すごく感覚的に楽しめる感じがすごくいい。こういう企画は、それこそ富家哲氏の "3D" とか DJ マーキーの "Influences" みたいにヴォリュームのあるヤツになりがちで、それはそれでもちろんいいんだけど、こういう風に 40 分ちょっとにまとめられてるのもなかなか新鮮で、すごくタイトでいいな、と。

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