2009/06/05

In a 'mimo' mood.

"mimo 2 mixed by DJ AKi" (Music Mine)  
 Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

こないだ宮沢和史さんの『ブラジル・シック』を読んじゃって以来、すっかり、「ブラジル・シック」状態(ホームシックのブラジル版みたいな感じ)なんだけど、DJ AKi くんのミックス CD、"mimo" もそんな気分にピッタリな 1 枚。リリースは何年か前なんだけど、別に今聴いても全然楽しめるんで。

'mimo' ってのは、IT / 技術用語の 'multiple input multiple output' のことではもちろんなくて、たしかポルトガル語で「優しく抱擁する」ってニュアンスの意味だったかな? すごくラヴリィな響きの言葉。ここでは、DJ AKi くんと 06S クルーがブラジルへの旅で得たエモーショナルなフィーリングとかグルーヴを表現するコンセプトとして使われてて、サウンド的には DJ マーキーや DJ パチーフ(カタカナで書くと何か変な感じ)に代表されるブラジリアン・ドラムンベースを中心とした、ヴォーカル・トラックが多めのメロウでソウルフルなドラムンベース・スタイルで、そんなサウンドの風景とか空気感みたいなモノを DJ AKi くんがミックスしたのが "mimo" だ、と。

タイトルが "mimo 2" ってなってることからもわかる通り、"mimo" は 2 枚あって、1 枚目は 2006 年 1 月にブラジルで行ったツアーを受けて制作され、そのツアーをサポートしてたブランド、ガルシア・マルケスのショップで 2006 年の夏にユーザー向けに配付された非売品のミックス(トラックリストとかコンセプトとかイメージとか、詳細はここに載ってる)。たしか、ガルシア・マルケスも 'mimo' ってブランドというか、'mimo' をコンセプトにしたプロダクト・ラインを展開してた気がする。収録曲は、DJ パチーフがクリーヴランド・ワトキスをフィーチャーしてスティーヴィー・ワンダーのクラシックをカヴァーした大ヒット・チューン、"Overjoyed" のマコトによるリミックスをはじめとして、ソウルフルで心地いいグルーヴで気持ちよくまとまってる。

実は、2006 年 1 月のブラジル・ツアーには一緒に現地に行ってたもんで、その時の体験というか、見たこと、聴いたモノ、感じたことなんかがカタチになってるようで、すごく印象が強いというか、思い入れが強かったりする。それこそ、バイーアで会った DJ ルーツとか、その時に聴かせてくれたトラックが収録されてたりするし。まぁ、そういう意味ではすごくパーソナルな思い出と結び付いてたりするんだけど、でも、そういう個人的な思い入れを抜きにしても、今聴いてもいい意味で純粋に作品としてすごく普通に楽しめるし、その時に感じたフィーリングとかグルーヴとかイメージみたいなモノ、この作品に詰め込みたかったモノは感じられるんじゃないかな、と。ある特定の時期に感じたフィーリングとか見えたイメージをパッケージのカタチに封じ込めるってのも作品の大事なファンクションのひとつだと思うけど、まさにそういう感じで。それに、それこそこれからの時期にはピッタリだし、サウンドとして。クラブ・ミュージックは流行の移り変わりが激しくて、どうしてもどんどん新しいモノを求めていくし、ちょっと前のモノが忘れ去られちゃいがちな傾向が強くて、逆にシーンの側も、新しいことありきというか、必ずしも作品としてのクオリティよりも目先の新しさとか面白さみたいなモノを重視しがちなところがあって、結果として消費物みたいになっちゃうモノも少なくないけど、こうやってリリースから何年か経った後でもキチンと作品として成立してるってのは、すごく大切なことだな、って思ったりもして。

"mimo 2" は、1 枚目が好評だったことを受けて制作された続編で、翌 2007 年に普通に CD ショップで販売されたモノなんで、今でも普通に手に入れられる(はず)。"mimo" シリーズの影の主役とも言える DJ ルーツはもちろん、DJ マーキーマコトの共作曲とか、DJ AKi くんとタケオくんのプロダクション・ユニット、ES9 がクリーヴランド・ワトキスをフィーチャーした "Adeus" とか、なかなか充実した内容で、コンセプトは 1 枚目から維持しつつ、よりアップデートされたような感じなのかな。作品の詳細はここに載ってて、収録曲は iTunes Store で聴くことができる(もちろん、買うこともできる)。

思えば、ブラジリアン・ドラムンベースを知ったキッカケは、たぶん DJ マーキーのミックス CD、 "Movement: The Brazilian Job" とそこに収録されてたジョルジ・ベンの "Carolina Carol Bela" 使いの "LK" あたりだったので、2001 年とかその辺り。同じ頃にDJ パチーフの "Sounds of Drum'n'bass" とか "Cool Steps: Drum 'N' Bass Grooves"、クリーヴランド・ワトキスの "Torch Of Freedom" の DJ パチーフ・リミックス(日本盤のアルバム "Victory's Happy Songbook" にボーナス・トラックとして入ってる)なんかも聴いてたかな。2002 年のワールド・カップの時期には DJ マーキーが来日もしてたし。その辺のことは、当事者である DJ AKi くんが昨日、ログにも書いてたけど、ブラジリアン・ドラムンベースを知ったキッカケになった DJ マーキーが明日、06S @ WOMB でプレイするし、なんか、いろいろと感慨深いなぁ、なんて思ったりもして。

まぁ、感慨深いと言えば、DJ AKi くんって、実はアニキの高校の同級生で、軽く 20 年以上のつきあいだったりするんで、それこそ感慨深いというか、メチャメチャ不思議な感じなんだけど(だから「DJ AKi くん」ってちょっと馴れ馴れしい呼び方をしてる)。中学のときにアニキの友達の Y くんだったのが、10 年くらい後にレコード会社でドラムンベースの仕事をしてたときに出張先の NYC で久々に会ったら「ドラムンベース DJ の DJ AKi」になってて。その後、DJ AKi くんは帰国して WOMB で 06S を始めて今に至ってるわけだけど、個人的にはその後もちょこちょこと手伝いをしたり遊んだりしてて、そんな流れでブラジルでも一緒だったんだけど、アニキはスッカリ+ガッチリ 06S クルーだし、その 06S も明日で 100 回目だっていうし(100 回ってスゴイね。純粋に。ただただリスペクト)、しかも DJ マーキーだし、なんか、いろいろと、メチャメチャ感慨深いんだけど。

試聴用のサンプルを貼りたかったんだけどミックス CD は貼りにくいんで、試聴は iTunes Store でってことで。

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