2009/07/03

The long-awaited player.

THE LARGE PROFESSOR "The LP" (P-Vine) ★☆

ちょっと前のエントリーでレビューしたジョイスとナナ・ヴァスコンセロスとモウリシオ・マエストロの "Visions of Dawn" もお宝だったけど、それに勝るとも劣らないお宝音源が突然正規リリースされた。

それは、教授(B ボーイにとって「教授」っていえば坂本龍一さんじゃなくて、もちろんこの人)の愛称で親しまれてる(のか?)元メイン・ソースのトラック・メーカー / MC であり、メガネ B ボーイ界のカリスマ(なのか?)ことラージ・プロフェッサーがソロとしてゲフィンと契約して 1996 年頃にリリースするはずだった幻のファースト・ソロ・アルバム。その名も "The LP"(意味は言わずもがな!)。先行シングルはリリースされたものの、アルバムはリリースされずにお蔵入りし、これまでに何度かブーロレグ風なヤツがリリースされて一部で大きな話題になってたヒップ・ホップ・シーンでは有名な「お宝」が、この度、アートワークも新たに(このカワイイアートワークは日本盤だけなのか?)正式に、しかも日本先行で発売された(P ヴァインのグッド・ジョブ!)っていうからこれは聴き逃せないな、と。

1996 年頃の教授っていえば、ナズの "It Ain't Hard To Tell" とかコモンの "Resurrection '95" のリミックスを手掛けてたキレキレの時期だし、先行シングルとしてリリースされた "Ijuswannachill" と "The Mad Scientist" も間違いない仕上がりだっただけに、今、考えてもメチャメチャもったいなかったと思うけど、今回のリリースにはその "Ijuswannachill" と "The Mad Scientist"、ブートレグ盤に入ってたナズをフィーチャーした "One Plus One" ももちろん入ってる。しかもブートレグ盤には入ってなかった未発表音源も含めた全 18 曲入り(iTunes Store でちょっとずつだけど試聴も出来る)ってことで、まさに間違いない仕上がり。

もちろん、好みは人それぞれいろいろあるんだろうけど、やっぱり、ヒップ・ホップはこの時期、つまり、90 年代初め 〜 90 年代末頃が一番充実してた気がする。一番熱心に買ってた / 聴いてたし。このアルバムを聴きながら、そんなことに思いを馳せてたら、そんな時代を象徴してた雑誌のひとつ、"Vibe" が終了するなんてニュースが飛び込んできて(日本風に言えば、「休刊」という名の廃刊かな)、ビックリするやら、切ないやら、なかなか感慨深かったりするんだけど、そんな時代を、そしてヒップ・ホップ史を代表する名盤になるはずだった 1 枚だったのに、当時、キチンとリリースされて、キチンと評価されなかったのは残念以外の何ものでもない。もちろん、今回、こうしてリリースされたのはすごくいいことだけど、だから万事 OK か? っていうと、そんなこと、全然ない。Q ティップの "Kamaal the Abstract" なんかの例もあるし(9 月にリリースされるとか?)、変な悪癖みたいのがあるね、ヒップ・ホップの世界には。まぁ、もちろん、今回、リリースされたのは不幸中の幸いであることは間違いないんで、素直にその恩恵に感謝しつつ、存分に堪能したいな、と。

THE LARGE PROFESSOR "One Plus One (Feat. NAS)" (From "The LP")









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