(Kindred Spirits) ★★★★☆ Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp
ちょっと前のエントリーで、ミゲル・アットウッド・ファーガソンと一緒に J・ディラのトラックをオーケストラでカヴァーした "Suite For Ma Dukes" をレビューした(最近、『waxpoetics No.4』で聞き捨てならない記事を読んだので追記を書いてある)プロデューサーのカルロス・ニーノがオランダ・アムステルダムの良質レーベル、キンドレッド・スピリッツからリリースしたアルバム。情報は今年のはじめくらいからあったんだけど、実際にリリースされたのは最近っぽい。
カルロス・ニーノっていえば、ビルド・アン・アークやアモンコンタクトとしても知られてるプロデューサーなんで、スピリチュアル・ジャズとかヒップ・ホップとかってイメージが強いんだけど、"Suite For Ma Dukes" とかギャビー・ヘルナンデスとか Spaceways Radio Show とかを聴くと、全然それだけじゃなかったりして、なかなか掴みどころのないアーティストだったりする。
この "High With A Little Help From" も、なかなか一筋縄ではいかないっていうか、一言で形容しにくい感じの音だったりする。制作は 2006 年から始められて、一定期間に集中して作ったわけではなく、いろいろなセッションで作ったサンプル・ネタを集めて、それをベースにそこからアイデアを広げていくような感じで仕上げていった作品集とのことで、生楽器ネタが多いのが特徴。出来上がったサウンドは、ダウンテンポで、ムーディで、ドリーミィで、スペーシーで。アンビエントっぽかったり、トライバルっぽかったり、フォークっぽかったり、ジャズっぽかったり、クラシックっぽかったりして。映画のスコアっぽい感じもあったりするし、ある意味、ちょっとトランシーでもあるし。まぁ、アートワークのイメージはわりとピッタリではあるんだけど、美しくて浮遊感があって、でも、この手のヤツにありがちな表面だけをなぞったような薄っぺらな感じじゃなくて、なかなかドープだったりもして。"Rabbit Island" なんて、ちょっと 90 年代の UK ロック〜アシッド・ハウスっていうか、セカンド・サマー・オブ・ラヴ的な感じとか思い出させたりして(こんな曲、なかったっけ?)。サウンド的にはビルド・アン・アークやアモンコンタクトよりもギャビー・ヘルナンデスに近いかな。
決してポップでもキャッチーでもないけど、でも気が付くとわりと頻繁に、何度も聴いてる不思議なアルバムで、なかなか売りにくいアルバムだろうなって気はするけど、聴いてるうちにジワジワと効いてくる、なかなか危険な 1 枚かな、と。
CARLOS NIÑO & FRIENDS "Rabbit Island" (From "High With A Little Help From")
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