2009/10/02
Autumn mode. Folky mood.
"Secret Love: A View On Folk"
"Secret Love 2: Another View"
"Secret Love 3: Not A Secret Anymore"
"Secret Love 4"
"Secret Love 5" Compiled by JAZZANOVA & RESOUL (Sonar Kollektiv) ★★★★☆
ちょっと前のエントリーのニコラ・クレーマーの "The Other One" のレヴューでちょっと触れたジャザノヴァ編纂のコンピレーション "Secret Love: A View on Folk" をあらためて聴き直してみようと思ったら、なんとシリーズが 5 枚も出てて、いい機会だからまとめて聴いてみたら、秋にピッタリな感じでなかなかいいコンピレーションだったんで、まとめてレヴューをしてみようかな、と。
ちょっとテレくさいようなタイトルのこの 'Secret Love' は、ジャザノヴァの主宰するレーベル、ソナー・コレクティヴからリリースされてるコンピレーション・シリーズで、コンパイラーはジャザノヴァ自身と、ジャザノヴァのメンバー行きつけのレコード店、ソウルトレードのリソウルで、コンセプトは 'A View On Folk'。まぁ、巷ではフォークトロニカともネオ・フォークとも呼ばれてるらしい、広い意味でのクラブ・ミュージック的なベースから生まれながら、フォーキーなテイストのモノを集めたコンピレーションだってこと。
確かに、決してフロア向けじゃないけど、いい感じのユルい曲ってジャザノヴァ周辺にはけっこうあって、でも、アルバムにちょっと入ってるだけとかで、なかなかまとまったカタチではリリースされてなかったから、こういうカタチでリリースされるとすごくありがたい。なかなか目の付けどころがいいというか、ちょっと「やられた感」すらある好企画で、シリーズが 5 作続いてるってことは、本人たちが好きで楽しいだけじゃなく、セールス的にもそれなり以上に成功してるんだろうし、質を保ち続けられるくらいネタには事欠かないってことなんだと思うし。そういうことを総合的に考えて、すごく「好企画」だな、と。
"Secret Love: A View On Folk"
ニコラ・クレーマーの "The Other One" のレヴューで触れた 1 作目 "Secret Love: A View on Folk"(ニコラ・クレーマーの "Help Me" が収録されてる)は 2004 年のリリースで、4 ヒーローの "Les Fleur"(言わずと知れたミニー・リパートンの名曲のカヴァー)といったクラシックから、昔、ノーマン・クックが組んでたフリーク・パワーってユニット(バンドって呼ぶべきかな)でフロント・マンを務めてたアシュレイ・スレーター、80 年代にエル・レコーズで活躍し(ネオアコ的な文脈で人気だった)、90 年代にはアシッド・ジャズ・シーンで、その後も密かに(?)活動してるマーデン・ヒル(アシュレイ・ビードルのアフロ・アートの音源)といった懐かしい(?)アーティスト、さらにはプレフューズ 73 のようなエレクトロニカ、ザ・ベータ・バンドといったバンドまで、いろんな意味でかなり幅広い選曲。でも、全体として全然違和感は感じさせないからさすが。
4HERO "Les Fleur [Radio Edit]" (From "Secret Love: A View on Folk")
"Secret Love 2: Another View"
続編の "Secret Love 2" は 2005 年のリリースで、サブ・タイトルは 'Another View'。まぁ、コンセプトに変更なしってことなのかな。わりと渋めの選曲な中で名前的に目を引くのは、やっぱダフト・パンク。個人的には別に好きなアーティストじゃないけど、なかなか渋くていいトラック。あとは、アクフェンのリミックス、4 ヒーローのリミックスあたりが名前的には目につくけど、よく知らない地味な(?)アーティストのトラックがなかなか秀逸で、聴き応えがある。
MÄRZ "The River" (From "Secret Love 2")
"Secret Love 3: Not A Secret Anymore"
"Secret Love 3" は 2006 年リリースで、サブ・タイトルは「もう秘密じゃない」。まぁ、深い意味はなさそうだけど、知名度の高いアーティストや曲に頼らなくてもよくなったってことなのか、選曲は相当渋い感じ。このシリーズではお馴染みのアーティストが多いけど、それ以外で、パッと見てすぐ目に付く名前は、ジャザノヴァ周辺ではお馴染みのシンガー、クララ・ヒルくらい。内容的には、いい意味で「フォーク」って言葉を拡大解釈したようなムーディなサウンドは、なかなか気持ちいい。ロイ・エアーズ・クラシックの "Everybody Loves The Sunshine" のなかなかミニマルでラヴリーなカヴァーなんかも入ってるし。
SOUL VILLAGE "Everybody Loves The Sunshine" (From "Secret Love 3")
"Secret Love 4"
2007 年リリースの "Secret Love 4" は、「もう秘密じゃない」からか、サブ・タイトルはなし。個人的には、一番渋い印象を受けた 1 枚かな。収録アーティストはクララ・ヒルとかエヴァ・ビーとか、このシリーズでお馴染みのアーティストに加えて、トゥルー・ソーツのノスタルジア 77 とかポール・ウェラーなんかも収録されてる。このポール・ウェラーの収録ってのが、個人的にはすごくツボで。ポール・ウェラーって、オアシスとかとの絡みで、ブリット・ポップのゴッドファーザー的なイメージが強いと思うけど、アシッド・ジャズの頃とかもシーンを担う若手にフックアップされてて、今、ジャザノヴァ周辺とかで活躍するアーティストには、アシッド・ジャズの頃とかに若くて、この辺りのサウンドにハマってた連中が多いんで、そういう意味でも、取り上げたくなくのはすごく自然なことな気がする。っつうか、そう考えると、やっぱ、ポール・ウェラーっていつまで経ってもモッズだなぁ、なんて思ったりもする。
PAUL WELLER "The Loved" (From "Secret Love 4")
"Secret Love 5"
現段階での最新作になる "Secret Love 5" は 2008 年リリースで、これも "Secret Love 4" と同様、サブ・タイトルはなし。基本的な方向性も変更はなくて、フォーキーで、メロウで、ディープで、ちょいエレクトロな世界観が気持ちいい。ラインナップを見て目を引くのは、個人的には、やっぱリクルースかな。エヴァ・ビーによるこのコンピレーションのためのリミックスっぽいんだけど、なかなか渋い出来映えで。
RECLOOSE "Deeper Waters [EVA BE's Secret Lover Remix]" (From "Secret Love 5")
まぁ、この手のトラックだと、個人的には "2000BLACK Presents The Good Good" に収録されてるパリスことパリス・クレモンスの "Black Mary" とか、4 ヒーローの "B-Side Track"(アルバム "Creating Patterns" の日本盤オンリーのボーナス・トラック)とか、入れたいっていうか、入ってて欲しい曲はたくさん思い浮かぶけど、でも、ここに入ってるトラックよりもちょっとフォーキーな感覚が希薄でソウルフル過ぎるかな、なんて思ったりもして。まぁ、こういうことをいろいろ考えちゃう(考えさせてくれる)コンピレーションってのは、取りも直さずいいコンピレーションだったりするもんで、コンピレーション好きにはたまらん、いいコンピレーションであることは間違いない。
どれも甲乙つけがたい感じなんで、★はまとめて、この企画自体に対してって感じで。2004 年から 5 年連続でコンスタントにリリースされてるんで、ボチボチ続編が出るのかなって感じだし、ちょっと楽しみにしつつ。
THE END OF THE ENTRY. PEACE OUT.
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