2010/01/25

21st century pop music.

ALICIA KEYS "The Element Of Freedom" (J Records) 
Link(s): Amazon.co.jp / iTunes Store

アリシア・キーズほど「才色兼備」って言葉が似合うアーティストも他にいないよなぁ、とあらためて思わされた去年リリースの自身 4 枚目のオリジナル・アルバム。リリース前から Facebook で全曲プレヴューとかやってたんで、その頃から聴いてはいたんだけど、レヴューし忘れてたんで。

まぁ、先に結論を言っちゃうと、素晴らしいアルバム。素晴らしいポップ・ミュージック。いやぁ、もう、フツーにバッチリ。実は最初はそれほどいい印象じゃなかったんだけど(なんでだろ? '重い' 感じがしたのかな?)、なんか、気が付くと何度も聴いてて、聴くごとにドンドンしっくりくる感じがあって。だんだんジワジワくる感じというか。あと、フツーに街で耳にして、「あれ? この曲、何だっけ?」って思って Shazam で確認したことも一度や二度ではなかったりして。まぁ、記憶力の低下にも原因はあるんだけど、普通に街で耳にして「あぁ、いい曲だなぁ」って思うって意味で、すごクオリティの高いポップ・ミュージックだなぁ、と。

実際、フツーにいい曲が多いし。A&R だったら、半分くらいシングル・カットしたくなっちゃう感じ。ある意味、今の音楽シーンで最強のふたりが共演してるって言っても過言じゃないビヨンセとの 'A +B' の共演 "Put It In A Love Song" なんかも、ただ話題性を狙ってるだけじゃなくて、メチャメチャタイトな仕上がりだし。最初は、ちょっと引いちゃうかもなぁ、ってちょっと警戒してたんだけど。話題性を狙うのはわかる(その側面は否定できないし、ポップ・ミュージックである以上、否定する必要もない)けど、やりすぎるとマイナスになるし、そもそも、これだけのステイタスがあるのにそんなことやる必要ないんじゃね? 的な。でも、実際には、全然杞憂だった感じ。もちろん、アリシアらしい先行シングルの "Doesn't Mean Anything" とか "Try Sleeping With A Broken Heart" とか佳曲も多いし。もちろん、個人的なハイライトは "Empire State Of Mind, Pt. 2 - Broken Down"。ジェイ・Z の "The Blueprint 3" に入ってて、MLB のワールドシリーズ @ ヤンキー・スタジアムで歌ってた "Empire State Of Mind" の続編で、ジェイ・Z 抜きでしっとり聴かせるヴァージョンなんだけど、これはこれですごく良くて。アリシアのミュージシャン / シンガーとしての懐の深さを感じさせる出来映えというか、さすがな仕上がりで。

前作 "As I Am" もレヴューしてるけど、基本的には 2001 年にデビューした頃から好きなアーティストで(っていうか、厳密にはデビュー曲 "Fallin'" の 12" インチのアートワークに一目惚れして、曲に一 '耳' 惚れしたんだけど)、一応、アルバムは一通りチェックしてるんだけど、どれも一定以上のクオリティを保ってて、平均点が高いというか、まぁ、'間違いない' シンガー・ソングライターのひとりってのが、変わることのないアリシアの印象。正直、デビューした頃はこんなにポピュラーな存在になるとは思わなかったんで、ポピュラリティの面では、いい意味でサプライズだったけど(好きになるアーティストがイマイチ売れないことに関しては、我ながらちょっとビックリするくらい定評があったりするんで。A&R としてはどうなんだ? ってハナシはあるけど…)、個人的な評価というか、好みとポピュラリティの間にはそれほど強い相関関係はない(つもりな)んで。

まぁ、直球ド真ん中に好みか? っていうと、個人的にはもうちょっと黒っぽいサウンド・プロダクションで、もうちょっとあっさり歌ってる感じのほうが好みだったりはするんだけど、そういうオタクの戯言的な細かい点はどうでもよくなるくらい、ポップ・ミュージックとしての完成度は高い。こういうのがポップ・ミュージックなら、音楽シーンもまだまだ捨てたもんじゃないというか。それこそ、年に 5 枚とかしかアルバムを買わないようなライトな音楽ファンが買うのに相応しい 1 枚というか、そういう人がこういうのを聴いてるなら、すごいいいことだな、なんて思ったり。


ALICIA KEYS "Empire State Of Mind, Pt. 2 - Broken Down" (From "The Element Of Freedom")
zz








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