2010/07/13

The soul of Philadelphia.

THE ROOTS "How I Got Over" (Def Jam)  
Link(s): Amazon.co.jp / iTunes Store

常にクオリティの高い作品を生み出し続ける音楽の街、フィラデルフィアの 90 年代以降を代表するアーティストであり、常に地に足をつけた活動でヒップホップというアート・フォームの成熟を体現しているナンバー 1 ヒップ・ホップ・'バンド'、'The Legendary Roots Crew' ことザ・ルーツのニュー・アルバム。前作の "Rising Down" から約 2 年ぶりのリリースで、フル・アルバムとしては通算 9 枚目かな。

一聴した印象としては「おぉ! これはヤバイ!!」って感じ。それこそ、もう、ド頭のドラムを一発聴いただけで名盤の予感バリバリというか。まぁ、ちょっと大袈裟な言い方だけど。でも、こういう感覚って案外当たってることが多いんで。

まぁ、そうは言っても、派手でキャッチーな飛び道具は皆無だし、渋好みな内容であることは間違いないんだけど。ソウルフルで成熟したオトナのヒップ・ホップ。ただ、前作がかなりシリアスな内容だったのと比べると、今作はそれほどでもない印象かな。曰く、「ブッシュ政権からオバマ政権へ移行し、バンドが感じた安堵感も反映されてる」ってことなので。

リトル・ブラザーのフォンテやジョン・レジェンドがゲストとしてフィーチャーされてて、それはそれで、もう、期待通りというか、間違いのないキャスティングなんだけど、ちょっとビックリするところではモンスターズ・オブ・フォークなんかも参加してる。これがなかなか、いい感じで違和感がないというか、すごくシックリきてて、いい意味でサプライズだったかな。

あと、ザ・ルーツ作品ではお馴染みのフィラデルフィアのダイス・ロウも相変わらずいい感じ。ちょっと前にインターネット上でリリースされた "Dice, Dilla Pregunta" って J・ディラ・トリビュートのミックステープ(って呼び方もどうかと思うけど)が素晴らしい出来映えだったし、このアルバムでも期待に違わぬパフォーマンスを見せてる(あと、J・ディラ絡みっていえば、同じくちょっと前にインターネット上でリリースされたザ・ルーツの "Dilla Jawns Mixtape" とザ・ルーツのラッパーのブラック・ソートのフリースタイルもヤバイ)。

まぁ、個人的にはザ・ルーツの最高傑作は 1999 年の "Things Fall Apart" だと思ってるんだけど、これはそれに並ぶかもしれない感じ。全篇で 40 分ちょっとなんで、今時のアルバムとしてはかなり短い印象だけど、物足りなさがあるわけじゃなく、むしろタイトな印象だし。真っ当なソウル・ミュージックの系譜上にあるヒップ・ホップとして、安心して聴ける成熟した作品だってことは間違いないな、と。


THE ROOTS "Walk Alone (Feat. TRUCK NORTH, P.O.R.N. & DICE RAW)"
(From "
How I Got Over")
 









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