2009/07/05

The battle of Solomon.

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 19 巻 ソロモン編・前』 
 安彦 良和 著(角川グループパブリッシング)  Link(s): Amazon.co.jp

月刊『ガンダム A』で 2001 年から連載している安彦良和先生による描き下ろしリライト版のファースト・ガンダム『THE ORIGIN』の最新刊。18 巻の発売が去年の年末だったから、かなり久々な印象。タイトルが「ソロモン編・前」とあるように、舞台は遂にソロモン。いよいよ物語は佳境に入ってきた。

表紙を見ても解る通り、ガンダムにマグネット・コーティングが施されてるシーンがあるってことは、モスク・ハンが登場するということ。TV 版ではアムロとの味のあるやりとりが印象的だったけど、映画版では特に触れられることもなくマグネット・コーティング済みだったので登場しなかったモスク・ハンは、アムロの発達した反射神経に反応し切れずに機体に過度な負担をかけていた駆動系の動きを向上させるために白羽の矢が立てられた電磁工学の新鋭エンジニア。TV 版でもなかなか愛すべき技術屋に描かれてたけど、この『THE ORIGIN』では新たにキャラが一新されてて、カツに「ジオンの新兵器かと思った」ってビビられるほどの巨漢の、相当な曲者に描かれている。

この『THE ORIGIN』は、ファースト・ガンダムをベースにしつつも、随所に安彦先生があらためてそのストーリーや細かい設定を見直し・再解釈・再設定しながら描いている作品で、 TV 版や映画版との変更点も多く、初めて語られるエピソードも多くて、特に開戦前を描いた 9 巻10 巻の「シャア・セイラ編」、11 巻12 巻「開戦編」、13 巻14 巻の「ルウム編」は読み応え十分なんだけど、このモスク・ハン像もそんな変更点のひとつ。こういう細かい部分が物語の質をジワリと、でも確実に上げてくれてる。他にも、アッと驚くザクレロの登場だったり、シャアとキリシアの TV 版・映画版以上の濃密な駆け引きだったり、アムロのエキセントリックさだったり、微妙なディティールがキチンと描かれてて、やっぱり読み応え十分。

個人的には、同じく『ガンダム A』に掲載されてた『機動戦士 Z ガンダム デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポートより』(『Z ガンダム』のサイド・ストーリーで、1 年戦争終結後、ジャーナリストになったカイの視点で描かれる『Z』時代の物語。単行本は 1 巻2 巻が発売されて完結したんだけど、今月号から『ガンダム A』で連載が再開されたんで続刊もありそう。ただし、タイトルは『Z』ではなく『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー カイ・シデンのメモリーより』になっているので、趣向は若干変わりそう)に重要な役柄で登場するラコックが登場したり、今月号の『ガンダム A』で遂に完結した『ガンダム UC』での印象が生々しいミネバ様の愛くるしくて利発な姿が描かれてて、ちょっと感慨深かったりする。まぁ、もちろん、ドズル閣下の不器用なまでの武人としての真直ぐな生き様は、ついついグッときちゃうんだけど。

いつも同じことを書いてるけど、物語は遂に佳境に入りつつあり、早く先が読みたいような、でもまだ終わって欲しくないと思うような、複雑な心境 を抱きつつ、それでも完結まではまだしばらくかかるはずで、まだまだこの幸せな時間を過ごせる喜びを噛み締めながら、安彦先生の健康をただただ祈りたい な、と。


『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』既発巻:

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