2010/03/01

Stories of life. Stories of goodwills.

岳 11 巻』 石塚 真一小学館 / ビッグコミックス)  
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

これまでにも出るごとにレヴューしてきた』の最新刊。10 巻から約半年のインターバルはちょっと長い感じかな? 連載は追いかけてないから理由はわかんないけど。 

ハナシは、主人公の山岳救助ボランティアの「山バカ」こと島崎三歩と、山をこよなく愛する周辺の人たちの、山にまつわる心温まるエピソードって感じで、昨今のちょっとした(?)山登りブームのベースを支える要因のひとつになってる(ような気がする)人気コミック。なんと、近所のセヴンイレヴンで売っててちょっとビックリ。もちろん、いい意味で。

読み終えた後の印象を一言でいうと「成長」かな。どちらかというとこじんまりとしたエピソードが多い印象で、劇的さはちょっと欠けるかな。でも、別に悪い意味じゃなくて、いつも通り、グッとくる味わい深さは健在だし、それぞれのキャラクターがちょっとずつ(だからこそ「劇的」には感じない)、確実に成長しているような印象。読んでると、何かがジワジワと押し寄せてくる。


もちろん、人が怪我したり、死んだりするから、決して能天気にハッピーなばかりじゃないんだけど、それでも本質的には心温まるのは、やっぱり、そこに打算や悪意がないからなのかな。レギュラー・キャラクターも、一回限りのキャラクター(当然、そのエピソードでの重要な役割を果たす)も、基本的にはみんな悪意がなくて、善意で行動してる。それでも上手くいかないこととか残念な結果になることはあるんだけど、でも、そこに、なんかモヤモヤした気持ち悪さや違和感みたいなモノのを感じないのは、たぶんそれが理由なのかな。

きっと街にいると平らだから、歩いてるかどうかも分からなくなっちゃうんだよ。でも山はこう坂になってるからさ、歩いてるって思うよ。「オレの足」が歩いてるって。

今回のエピソードで個人的に引っかかったのはこの台詞。こういう基本的なことって、つい忘れちゃいがちだから。打算もないし、ウソやズルもない。そんなプリミティヴな潔さがとてもいい。

まぁ、今回もグッときちゃうハナシあり、甘酸っぱいハナシあり、ちょっと笑っちゃうハナシあり、心地いい読後感は健在。
三歩がバイトをしてるエピソードなんてのもあったりして。

いつも書いてる決まり文句だけど、やっぱり今回も書いちゃう山に登らない人にも、登ってみたいかもって思ってる人にも、もちろん登る人にも。


*既発巻:
  

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