2011/12/09

Say yeah!

『宇宙兄弟 15 巻』 小山 宙哉 著(講談社) ★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


前から既発巻をレヴューしてきた『宇宙兄弟』の最新刊で、発売直後の 9 月に読んでたんだけど、うっかりレヴューし忘れてて、でも、抜かすのも気持ち悪いんで。16 巻がもうすぐ出ちゃうみたいなんで、その前に。

実写映画化も決まってる(現在撮影中?)くらいなんで、基本的にはすっかり人気漫画のひとつになってる『宇宙兄弟』は、これまでにもレヴューしてきた通り、天真爛漫且つナチュラルでちょっと天然でもある弟と、そんな弟を誇りに思いつつもコンプレックスも抱えててる兄の兄弟が、共に宇宙飛行士を目指す物語。

基本的には、天然で脇目も振らずに一直線に目標に向かってきた弟のヒビトが常に先行してて、兄のムッタがウダウダと悩みながらも、子供の頃に抱いた弟と同じ夢を目指すっていう構図で、2 人を中心としたストーリーが同時進行で(時に交わりながら)描かれる。

ただ、この 15 巻からその構図がちょっと変わってきてて、無事に宇宙飛行士に選出されて NASA で訓練に励みながら充実した日々を送るムッタに対して、ここまでは順調にキャリアを重ねてきたヒビトは大きな問題に直面してて、その問題を解決するためにロシアに向かったヒビトのストーリーが中心に展開されてる。

ネタバレはしないほうがいいと思うんだけど、ストーリーの中で大きな役割を果たすのが表紙に描かれてるロシア人女性のオリガ。ちょっと切なくて甘酸っぱいエピソードなんだけど、これまでの 『宇宙兄弟』には(特にヒビトには)なかったタイプのエピソードだったりして、物語にちょっと深みを与えてる印象。今後の展開への伏線にもなっていそうだし、なかなか絶妙なサジ加減で描かれてる。

まぁ、全体の印象としては、相変わらず、過剰にエモーションに訴えすぎない適度なドライ・フィット感を保ちつつ、今後への興味を持続させながら、心地いい読後感ももたらす感じはさすがで、エンターテインメントとして安心して楽しめるって感じかな、やっぱり。


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