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2012/08/20

Blue lines for cycling blues.

都道 431 号線(水道道路)西新宿 4 丁目 〜 泉南間 自転車専用レーン ★★★★☆

これまでにも、前にレヴューした『銀輪の巨人 ジャイアント』のレヴュー『自転車はここを走る!』のレヴューをはじめとして、自転車関連のエントリーでたびたび触れてる通り、残念ながら日本は自転車文化後進国で、なかなか気持ちよく自転車で走ることができないのが現状なんだけど、そんな中で、(個人的に知る限り)数少ない '良い施策' のひとつが、右の写真の自転車専用レーン。存在はちょっと前から知ってたし、評判は割と良かったんだけど、実際に走ってみたら、思ってた以上に走りやすくてビックリした。

見ての通り、特別なことをしてるわけじゃなくて、道路交通法で定められてる通りに車道の左端を走りやすくするように、白線を引き、ブルーに塗られ、自転車専用と書かれてるだけ。たったこれだけのことで、ビックリするくらい走りやすい。幅もこれだけあれば十分だし、他の道路でよくあるように(車道の左端ではなく)路肩に追いやられる心配もない。ズバリ、コレが正解なんじゃないかって思っちゃうくらい。

2012/08/16

A giant story. A giant vision.

『銀輪の巨人 ジャイアント』 野嶋 剛 著(東洋経済新報社) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

これまでありそうでなくて、でも、前から読みたいと思ってたテーマをドンピシャで扱ってくれた書籍で、今年の 6 月に発売された。

「前から読みたいと思ってたテーマ」ってのは、タイトルであり、表紙に写真も載ってる台湾の自転車メーカー、ジャイアント(Giant / Official Website)について。自転車メーカーとしても、純粋にひとつのアジアの企業としても、何かと興味があって、でも、あまり目にすることがないテーマだったんで。自転車雑誌とかを熱心に読んだり、自転車に関する書籍をたくさん読めば触れられてないことはないのかもしれないけど。でも、少なくともちょこちょこと自転車関連の書籍や雑誌、ウェブサイトなんかを見てる限りは見かけたことはなかった。ただ、自転車にまつわるモノはこれまでにもたびたびレヴューしてきた通り、自転車は常に気になってるジャンルのひとつだし、自転車について気にしてれば、当然、ジャイアントは目に入るんで。

最近は日本でもすっかりお馴染みになったジャイアントは、その名の通り、世界の自転車産業の中でも屈指の '巨人' で、台湾の小さな工場として起業し、数十年の間に世界最大の自転車メーカーになったんだけど、特筆すべきはその規模的な成功だけではなく、それ以外にもいろいろ興味深い特徴がある。例えば、台湾の自転車産業は直近の 10 年で、輸出台数がほぼ同じでありながら総輸出額は約 3 倍増させてるんだけど、それを牽引してるジャイアントの業績は、1999 年に 319 万台を売って 118 億台湾ドルを売り上げていたのが、2011 年には 577 万台を売って 474 億台湾ドルを売り上げてる。どちらの数字も販売台数の増加率よりも売り上げの増加率のほうが急激であり、1 台当たりの販売価格を上昇させてるわけで、つまり、より価格の高い自転車を売れるようになったことで成功したってこと。これはすごく重要なポイントで、実は個人的にもすごく実感があったりもする。

2012/04/02

Run Free. Run further. Run forever.

MICAH TRUE a. k. a. 'CABALLO BLANCO' (November, 1954 – April 1, 2012) - R. I. P.

前にレヴューした傑作『BORN TO RUN 走るために生まれた』でメイン・キャラクターの 1 人として取り上げられてたランナーで、ウルトラマラソンの先駆者でありベアフット・ランニングの伝導者としても知られる 'カバーヨ・ブランコ(CABALLO BLANCO)' ことミカ・トゥルー(MICAH TRUE)の訃報が伝えられた。享年 58 歳。

カバーヨ・ブランコは火曜日にランニングに出かけたまま戻らず、翌日から『BORN TO RUN』の著者のクリストファー・マクドゥーガル(CHRISTOPHER McDOUGALL)等のヴォランティアを含めた多くの人々が捜索に当たったものの、ニュー・メキシコ南西部の荒野で発見されたのは土曜日になってからで、既に死亡していたとのこと。詳しい死因等はまだわかってないっぽい。特別な目的ではなく、ごく日常的なランニングに出かけただけだったんだとか。行方不明になったってニュースを知ったときから、心配しつつもどっかで「ひょっこり帰ってこねぇかなぁ」って祈ってたんだけど。

カバーヨ・ブランコは 1954 年コロラド州ボルダー出身で、英語でカッパー・キャニオン(Copper Canyon)と呼ばれるメキシコのチワワ州にあるバランカ・デル・コブレ(Barranca del Cobre / 銅峡谷)でカッパー・キャニオン・ウルトラマラソン(Copper Canyon Ultramarathon)を開催したことで知られる人物。このバランカ・デル・コブレはタラウマラ山脈の 6 つの峡谷からなる峡谷地帯で、タラウマラ(Tamahumara)族の伝統的な居住地でもあることが、'史上最強の走る民族' と言われるタラウマラ族につながる部分で、ここでのタラウマラ族の '走りの秘密' をめぐるエピソード『BORN TO RUN』の主題(のひとつ)になり、それがウルトラマラソンとベアフット・ランニングにもつながった、と。ちなみに、'カバーヨ・ブランコ(caballo blanco)' ってのはスペイン語で '白馬' って意味なんだとか。

2012/03/24

Music of hope.

ESPERANZA SPALDING "Radio Music Society" (Heads Up) ★★★★
Link(s): iTunes Store (Deluxe Edition / Standard Edition) /
Amazon.co.jp

これまでにも何度か取り上げてる才色兼備の女性ジャズ・ベーシスト / シンガー、エスペランサ・スポルディング(ESPERANZA SPALDING)のニュー・アルバムで、2010 年 8 月にリリースされた "Chamber Music Society" に続く通算 4 作目のアルバム。ゲスト参加してたニコラス・ペイトン(NICHOLAS PAYTON)のアルバム "Bitches" のレヴューで「個人的にトップ・クラスに好きな現代の女性ヴォーカリスト」って書いた通り、メチャメチャ好きなアーティストで、しかも、Q・ティップ(Q-TIP)が参加するなんて情報も事前に漏れ聞こえてきたんで(たしか、Q・ティップがそうツイートしてたんだったかな?)、リリース前からすごく楽しみにしてた。まぁ、前作リリース以降の一般的な知名度の急上昇っぷりにはちょっとビックリしてるけど(やっぱり去年のグラミー賞効果なのか? ちなみに、ジャズ・ミュージシャンの最優秀新人賞受賞は史上初なんだとか)。

先に結論を言っちゃうと、期待をまったく裏切らないバッチリな出来映えで、 素直にすごく完成度の高いアルバムに仕上がってる。ソングライティングも抜群だし、洗練されてて音楽性は高いんだけど頭でっかちではないアレンジも絶妙のバランスだし、彼女のチャーミングなヴォーカルも存分に活かさせれてるし。まさに 'エスペランサ' って感じかな。いろんな意味で。

2012/03/12

Modern day jazz stories.

THE ROBERT GLASPER EXPERIMENT "Black Radio" (Blue Note) ★★★

前に近作の "Double Booked" と "In My Element" をまとめてレヴューした ジャズ・ピアニストのロバート・グラスパー(ROBERT GLASPER)のニュー・アルバムで、前作のリリースが 2009 年なので約 3 年ぶりの新作ってことになる。

"Double Booked" は前半がオーソドックスなピアノ・トリオのロバート・グラスパー・トリオ(ROBERT GLASPER TRIO)名義、後半がエレクトリック楽器を導入したロバート・グラスパー・エクスペリメント(THE ROBERT GLASPER EXPERIMENT)名義っていう変則的なアルバムだったんだけど、今作はアルバム全体がロバート・グラスパー・エクスペリメント名義って点が最大の特徴。ロバート・グラスパー・エクスペリメント名義の初のフル・アルバムってことになる。

アルバム全体を見渡してまず目につくのはヒップ・ホップ 〜 R&B 系のゲストの多さ。ザ・サー・ラー・クリエイティヴ・パートナーズ(THE SA-RA CREATIVE PARTNERS)のシャフィーク・フセイン(SHAFIQ HUSAYN)、エリカ・バドゥ(ERYKAH BADU)、ダニー・ハサウェイ(DONNY HATHAWAY)の実娘のレイラ・ハサウェイ(LALAH HATHAWAY)、ルーペ・フィアスコ(LUPE FIASCO)、ビラル(BILAL)、レディシ(LEDISI)、ミュージック・ソウルチャイルド(MUSIQ SOULCHILD)、クリセット・ミッシェル(CHRISETTE MICHELE)、ミシェル・ンデゲオチェロ(ME'SHELL NDEGEOCELLO)、ミント・コンディション(MINT CONDITION)のストークリー・ウィリアムス(STOKLEY WILLIAMS)、モス・デフ(MOS DEF)改めヤシーン・ベイ(YASIIN BEY)等、名前を並べてみるだけでも相当豪華な顔ぶれで、これだけでもやっぱり期待は高まっちゃうんだけど、結論として、期待をまったく裏切らない出来映えだったかな。いろんな意味で、すごく抑制が効いてて、何とも言えない絶妙なバランスで成り立ってる感じで。

2012/03/03

Mo' cycling blues.

『自転車はここを走る!』疋田 智・小林 成基 著(エイ出版社)★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


サブ・タイトルに「自転車で安全に走るためのガイドブック」って付いてる通り、昨今の、特に去年の警察庁による自転車の車道通行厳格化の通達以降の日本の危機的な自転車状況の異常性を指摘し、警笛を鳴らしつつ、現実的にどのように自転車に乗ったらいいのかについてまとめられたムックで、著者は NPO 法人・自転車活用推進研究会の理事の疋田智・小林成基の両氏。これまでにもこの手の本はなるべくチェックするようにしてて、でも、その多くはけっこうイマイチな印象なモノが多いんで、あまり期待しないで読んでみたんだけど、正直、期待以上のないようだったかな。

これまでにも自転車関連のレヴューはちょこちょこしてることからもわかる通り、個人的にすごく興味がある(っつうか、危機感を感じてる)テーマでもあって、でも、なかなか「コレ!」ってソリューションがなくてモヤモヤしてるんだけど、本書にはリアリティのあるレベルでのヒントがけっこう含まれてたかな。ちょっと大袈裟な言い方をすると、自転車に乗ってる(及び乗りたいと思ってる)人は、とりあえずプロローグだけでも読んでおいたほうがいいんじゃないかなって思ったくらい。値段も ¥680 とリーズナブルだし、プロローグだけなら楽天ブックスの 'チラよみ' でも読めるし。日本の自転車事情がいかに異常かがわかるんで(ホントは自転車に乗らない人にも知らしめたいんだけど。でも、後述するように、コレはコレで別の大きな問題だったりする)。

最大のポイントは、上に書いた「現実的にどのように自転車に乗ったらいいのか」の '現実的に' の部分。ただ理想を語るんでも、ただ現状の問題点を指摘(糾弾?)するんでもなく、どちらの要素も含みつつ、あくまでも、これだけトンチンカンな自転車事情の中で現実的にどう自転車に乗るべきかを、自転車乗りのリアルな視点で描かれてること。つまり、白と黒をわかった上で、'グレーな部分' を現実的な対処法として示して(+ 肯定して)るってことなんだけど、'グレーな部分' を 'グレーな部分' としてキチンと述べてるモノって、この手のモノでは実はなかなかないので。そういう意味ではそれ自体が希有だし、ただキレイごとを並べてるような本よりもよっぽど誠実だし、同時に、メチャメチャ現実的でもあり、故に実用的でもある。