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2010/09/11

Gimme some truth.

倒壊する巨塔ローレンス・ライト 著 平賀 秀明白水社) 
 Link(s): Amazon.co.jp(上巻 / 下巻




これもかなり前に読んでたんだけど、レヴューし忘れてた 1 冊(上下巻だけど)で、奇しくも今日は 9.11 なので、これを機にちょっと書いとこうかな、と。

2001 年 9 月 11 日に起こった同時多発テロ事件について綴った書籍で、原書は 2006 年に出版されて 2007 年にピューリッツァー賞を受賞した "The Looming Tower: Al-Qaeda and the Road to 9/11"。著者は『ニューヨーカー』誌のスタッフ・ライターとして活躍するジャーナリストで、訳書は 2009 年に出版されて、サブ・タイトルは「アルカイダと 9.11 への道」。出版当時はわりと話題になってた記憶がある。


2010/03/08

Inspirations compilation.

COURRiER Japon 2010 年 3 月号』(講談社)  
 Link(s): Amazon.co.jp

発売からちょっと時間が経っちゃてるけど、これまでにも何度かレヴューしてる『COURRiER Japon』誌の最新号は、『ルポ 貧困大国 アメリカ』の著者としてすっかりお馴染みになったジャーナリストの堤未果さんの責任編集によるアメリカ特集。今月もなかなか読み応えのある内容になってる。

特集は、予想通りというか、予想以上というか、かなりヘヴィーな内容。フード・スタンプとか、経済的徴兵制とか。ただ、しっくりくる部分もたくさんあるけど、個人的には、ちょっとはポジティヴな側面みたいなモノも拾っててもいいのにって印象もあったりはするかな、正直なところ。まぁ、まったくないってことなのかもしれないけど。『ルポ 貧困大国 アメリカ』もそうだったし。

2009/02/13

The change has come to the world.

COURRiER Japon 2009 年 3 月号』(講談社 ★

前にも宮沢和史責任編集のブラジル特集号をレビューしたことがある『COURRiER Japon』の最新号の特集は 'THIS DAY OF CHANGE'。つまり、バラク・オバマが大統領に就任した 1 月 20 日の世界の様子を追った特集で、日本語のタイトルは「世界の写真家 100 人が撮った 1.20」という、なかなか面白い企画。二重になってる表紙のデザインもすごくクール。

内容は、世界の 100 人のフォトグラファーが世界約 60 カ国で 'HOPE' をテーマに撮影した写真の一部を紹介しつつ、『COURRiER Japon』らしくオバマの大統領就任を世界のメディアがどう報じたか(例えば、"Gramma" に発表したフィデルの寄稿とか)とか、一躍有名になった若きスピーチ・ライター、ジョン・ファヴローをはじめとするスタッフについての記事(これを読めば、オバマ自身がキチンとスピーチの内容にコミットしてることがよくわかる)とかが紹介されてるんだけど、同時に特設サイトとも連動してて、特設サイトではトータルで 1000 枚にも及ぶ写真を順次公開していって、最終的には 4 月末に写真集になり、写真展もやるっていう大掛かりな企画なんだとか。

誌面はもちろん、特設サイトもすごくよくできてるし、写真自体もどれも素晴らしい(公開されてるのはまだまだ本の一部だけど)んだけど、その後の写真集・写真展って展開まで全部ひっくるめた企画全体としてすごくダイナミックだし、クリエイティヴでインスピレーションに富んでる。こういう企画は大歓迎だし、写真集・写真展もすごく楽しみ。

2008/12/19

Time for hope.

"TIME (Vol. 172 No. 26 / Dec 29, 2008) Person of the Year 2008
(Time Inc.) ★★

アメリカの "TIME" 誌が毎年行っている 'Person of the Year' 特集号。表紙を見ての通り+大方の予想通り、バラク・オバマが選ばれてる。そのこと自体は何の驚きもないんだけど、内容というか、その取り上げ方や使ってる素材のクオリティがとても素晴らしい。ちなみに、ここで取り上げるのは実際の雑誌ではなく、ウェブ版。純粋にウェブ・コンテンツとしてのクオリティがとても高いと思うので。

まず、カバー・アートワークを手掛けてるのはオベイ(OBEY)でお馴染みのフランク・シェパード・フェアリー。1 月の時点で 'HOPE' をモチーフにしたアートワークを手掛けていることも考えると不思議なことではないんだけど、ストリート系のアーティストが "TIME"の 'Person of the Year' のカバー・アートワークを手掛けるなんて、ちょっと感慨深かったりもする(フランクのビデオ・インタビューがサイトで見れる)。

2008/10/25

Will 2008 be like "1984"?

Naomi Klein "China's All-Seeing Eye" (from "Rolling Stone" Issue 1053)
(Rolling Stone) 

ナオミ・クラインが出演した『デモクラシー・ナウ』でのインタビューで知ったアメリカ版『Rolling Stone』誌 1053 号(今年の 5 月発売の号)に掲載された彼女の記事(同誌は日本版も出てるけど、この記事が掲載されたのかは未確認)。中国の公共セキュリティ対策とアメリカ企業の関係についてのなかなか読み応えのある興味深い記事で、サイトに記事の全文と補足的な Q&A写真も紹介されている。

内容としては、オリンピック開催を契機として中国政府がセキュリティ強化の必要性を理由に街中に膨大な数の監視カメラを設置、そのカメラを市民の監視に使っていて、その機器はアメリカの大企業から購入している、というハナシ。アメリカ(欧米)人がやたらと例に挙げるのが好きなジョージ・オーウェルの『1984 年』のビッグ・ブラザーと旧ソ連に象徴される社会主義体制下の監視国家のイメージを重ね合わせつつ、その「道具」となっているハード・ソフトをアメリカの電気・軍事関係企業が提供しているという点を指摘してる。



2008/10/06

Power to the people.

ブログ 世界を変える個人メディア

. :ダン・ギルモア 著
. :平 和博 訳(朝日新聞社

だいぶ前に買って、ちょこちょことつまみ読みはしてたんだけど、あらためて通して読みました。アメリカのジャーナリストによる、メディア / ジャーナリズムとしてのインターネットとブログの可能性と危険性の両面について、インターネットとブログに対してポジティヴな姿勢で記したもの。原書の出版元は、今ではすっかり懐かしい言葉になった 'Web 2.0' という言葉の生みの親、ティム・オライリーのオライリー・メディア(O'Reilly Media)。クオリティの高い書籍で知られる会社だけあって、なかなか読み応えのある内容でした。

ただ、
オライリー・ジャパン技術系の書籍をメインにしてるのか、読み物系の本書の日本語版は朝日新聞社からの発売。"We the Media" という原題も微妙なタイトルに変えられてて、ニュアンスが台無しにされてたり、2005 年 8 月の発売(原書の出版は 2004 年)という時期もあってか、帯にホリエモンの顔写真と推薦表記があったりして(画像は帯のないモノを使いました)、これまた微妙な装丁デザインも含めて(原書の装丁が決してカッコいいわけではないけど)、書店で目にしても手に取る気が失せること甚だしい、そういう意味ではとても不幸な一冊です。

原書のタイトルになっている "We the Media" ってタイトルは、アメリカ合衆国憲法前文の書き出しの部分、'We the people'(我々人民は)から取られているようだけど、名は体を表すという言葉があるように、根底にあるのは「誰もがジャーナリストになれる」インターネットとブログの時代のジャーナリズムの在り方を、とても注意深く、でも、すごくポジティヴに捉えるという、ある意味とてもリベラルなアメリカ人インテリらしい姿勢。日本でインターネットに触れているとなかなか感じられない、すごくポジティヴで建設的にインターネットとブログを捉えてて、なんか、ちょっと、読んでて元気が出ました(本当はそういう類いの本ではないとは思いますが)。インターネットの世界ってすごく混沌としてて、ある意味アナーキー(だからこそ、面白かったりもする)で、その社会の実情を(面識がなかったり、匿名だったりするが故に実社会以上に)如実に(赤裸々に)映し出す鏡のようなモノだと思うんだけど、全てに諸手を挙げて賛成なわけではないものの、こういう本が出ること自体、アメリカという社会の良い面の表れだと思うし、その本をこのタイトルで、帯に変な写真を載せて、この装丁で出してしまうのが日本の大手新聞社というのも、また、日本の社会の表れなのかな、と。悲しいかな。

2008/08/18

What a unbalanced world.

『百年の愚行 ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY』 
(Think the Earth Project Links: Amazon.co.jp / Rakuten Books

100 枚の写真で、過去 100 年の人間の活動を振り返る、とてもシンプルな Think the Earth Project による写真集。まぁ、内容はタイトルの通り、とても強烈。いわゆる環境破壊のだけではなく、戦争や難民といった問題(これも広い意味では環境問題だけど)まで含めて、直視に耐えないくらい痛い現実を、1 枚のシンプルな写真がとても雄弁に語ってる。

思うところはたくさんあるけど、一番感じるのは「とても傲慢でアンバランスだ」ってこと。人間ってヤツは。傲慢で、バランス感覚が欠如してる。環境問題ってのは「地球に優しく」なんて上から目線で語ることじゃないのに。地球にとっては人間ごときに優しくされようがどーでもいいハナシで、自分勝手なことやってる人間って種がいなくなったって地球自体には何の関係もない、つまり、環境問題っつうのは、あくまでも人間って種が地球(=ガイアという生命体)の一部として生き残っていくためにはもっと利口で謙虚にならなきゃならない、っていう自己生存=サバイバルのハナシでしかないのに。そのことに気付けなかった結果が、ここに 100 枚の写真で紹介されてるようなバランスのとれてない状態を生んだんだし。まさに「愚行」。まぁ、残念ながらその傾向は全然変化してないみたいだけど。

2008/05/18

A part of football life.

サッカー番長 0 号

. :杉山 茂樹 編著飛鳥新社)

ちょっと前に知り合いからもらってたんだけど、ちょこちょこと少しずつ読んでたら
けっこう時間が経っちゃった。とはいえ、別に読みにくいわけではなく、むしろ軽く読めちゃうライトな一冊。

「ヨイショ記事にはもう飽き飽きだ」というサブ・タイトル通り、緩やか(であるが故にタチが悪いんだけど)な言論統制下で退屈な記事ばかりが溢れかえる日本のサッカー界ではあまり目にしないタイプの視点でサッカーをキチンと語ること、というのが読んで伝わってきた編集方針。それが実現できているかというと、個人的には「(完璧ではないけど)思ったより実現されてた」って印象。もうちょっと、お茶を濁してるのかと思ってたので。そういう意味では、期待以上の内容でした。

代表関連の部分に関しては、よく目にする記事と比べると視点が真っ当ではあるとは思いつつも、そもそも代表への期待やロイヤリティがほとんどないので、正直、あんまりどうでもいい。それよりも、インタビューが読み応えがあった。期待以上に。キャリア 40 年以上の超ベテラン新聞記者、荒井義行氏と、ヴェルディの下部組織で活躍し、将来が嘱望されている
息子を持ち、すっかりサッカーにも詳しくなっている元プロ野球選手の高木豊氏に関しては、読む前からある程度期待してたんだけど、まったく期待してなかった松木安太郎・原博実・宮本恒靖・岡野雅行の 4 氏の話が思いのほか面白くて、その点では杉山氏の人選力にちょっと脱帽しました。個別に書くと長くなるので止めとくけど、テレビで伝わってこない(伝えてない)松木さんの想いとか、原さんの監督論、見聞きして(+読んで)いるイメージのまんまでありながらそれ以上のインテリジェンスを感じさせるツネ様、頭がいいのかバカなのかはわかんないけどそういう次元じゃない魅力を感じさせる野人と、それぞれをちょっと見直しちゃうくらい楽しめた。

編著者の杉山氏は、チャンピオンズ・リーグを中心に、ヨーロッパ・サッカーをちょっと変わった視点で精力的に観てるサッカー・ライターで、特に好き嫌いの印象は持ってないんだけど、けっこう引っかかることが多いので、そういう意味ではわりと気にしているライターのひとりとは言えるかもしれない。システム論フェチ過ぎなところと、これだけヨーロッパー・サッカーを観てるのに、代表のサッカーに関しては甘口なところが、
個人的にはちょっと合点がいかないんだけど。直接話したこともないし、著作や原稿をくまなくチェックしてるわけでもないから、仲良くなれそうな感じがする人かどうかはわからないけど、でも、愛すべきサッカー馬鹿であることは伝わってくる。こういうのも、愛すべきフットボールという文化の一部だな、と。まぁ、この装丁(というか大きな意味での全体のデザイン / アート・ディレクション)はどうかと思うけど。

2008/04/18

Business as usual.

ルポ 貧困大国 アメリカ
. :堤 未果 著 (岩波新書)
個人的には、朝日ニュースターの「デモクラシー・ナウ」や
ニュースの真相 evolution」でお馴染みなんだけど、世間的にはそうでもないらしく、ちょっと前の結婚報道でも旦那さんのほうにスポットライトが当たってて、彼女に関してはそれほど触れられてなかった。まぁ、旦那は国会議員で、ある種、「パブリック」な存在なのに対して、彼女は「ジャーナリスト」という、「ある程度の公共性はありつつも、必ずしも前面に出るべきではない」存在だから、当然と言えば当然だけど。この本も、実はかなり売れてるらしいんだけど、売れてる新書にありがちな(特に、彼女のように才色兼備ならなおさら)帯に写真をドーンと出して、みたいなデザインじゃないところも、好感が持てる。

新書らしく少ない情報量で読みやすくまとまっていつつも、内容自体はかなりヘビー。ある程度はいろいろなところで見聞きしていた情報ではあるけど、実例が挙げられていて、生の声が取り上げられてるだけに、やっぱりリアルで、それゆえにヘビー。まぁ、アメリカなんて国を信じられなくなって久しいけど、それはそれとして、その先にあるもの、つまり、決して対岸の火事ではなく、かといって、日本だけの問題だけでもなく、って部分まで気をつけとかないと。