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2016/05/15

Keep it cold. Keep it hot.

ハリオ V60 ウチマグ VUW-35B ★★★★☆

HARIO V60 Vacuum Thermal 'Uchi Mug' VUW-35B

Links: Amazon / Rakuten / Official website


ハリオ V60 ウチマグ VUW-35B
発売されたのはたぶん1年くらい前だと思うので今さら感は否めないけど、去年の夏くらいから日常的に使ってきて、やっぱりバッチリいい製品なので備忘も兼ねて一応レヴューしておこうかな、と。

このハリオ V60 ウチマグ(VUW-35B)は、名前からも解る通り、ハリオ(Hario)のコーヒー製品の代名詞と言える V60 の名を冠したサーモ・マグ。真空断熱二重構造なのでホットは冷めにくく、アイスは温くなりにくいというのが特徴で、V60 シリーズのサーバーとかグラスを思わせる「ボコッボコッ」としたシェイプが印象的なデザイン(写真はエントリーの最後に)もシンプルでなかなかいい感じ。買ったのは写真のブラックだけど、他にシルバー(VUW-35HSV)もある。

実際にどれくらい冷めにくくて温くなりにくいかというと、ウェブサイトには「保温効果 73℃ 以上 / 保冷効力 7℃ 以下」なんて書いてあるけど、これは「室温約 20℃ 前後の環境で、約 95℃ のお湯 / 約 4℃ の水を入れてフタをして1時間経ったときの温度」ってことなんだとか。まぁ、いわゆるカタログ・スペックではこういう数値になる、と。

2015/01/10

Art of building. Art of playing.

『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか』 ★★★★☆

 デビッド・C・ロバートソン / ビル・ブリーン 著 黒輪 篤嗣 訳(日本経済新聞出版社)

 Links: Amazon / Rakuten Books 


言わずと知れた世界的なおもちゃ / ブロック・ブランドのレゴ(LEGO / Link: website)に関する書籍で、2014年の春に出版されたモノ。原書は2013年に出版された "Brick by Brick: How LEGO Rewrote the Rules of Innovation and Conquered the Global Toy Industry"(Link: iTunes Store / Amazon / Rakuten Books)で、イノベーションや製品開発の研究を専門とするペンシルベニア大学の教授のデビッド・C・ロバートソン(David C. Robertson)とビジネス・メディアの『ファースト・カンパニー(First Company)』(Link: website)の創設メンバー / 編集主幹であるビル・ブリーン(Bill Breen)の共著。原書の「いかにレゴはイノベーションのルールを書き直し、世界の玩具産業を席巻したか」ってサブタイトルや著者2人の経歴だけでなく、訳書も「最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理」なんてサブタイトルで日本経済新聞社から出版されていることから予想できるように、基本的にはレゴというブロックの楽しさや素晴らしさ、その革新性や普遍性等ではなく、企業としてのレゴの経歴や製品開発といったビジネス面にフォーカスが当てられてる。

特に多くのページが割かれてるのは、存続すら危ぶまれるような危機的状況に陥ったレゴがどのように業績を回復したかという部分で、そのためにどんな策を採ったのか、何が成功して何が失敗したのか、その成功と失敗の原因は何だったのか等といった点を、'イノベーション' って言葉をキーワードにしつつ、レゴという企業(ブランド)固有の要素と業種を問わない普遍的な要素を整理しながら、さまざまなビジネスのヒントや教訓になるように一般化して述べられてる。まぁ、いかにもアメリカの学者やビジネス業界の人間が書いたビジネス書って言ってしまえばまさにその通りなんで、個人的にはそれほど好きなタイプの本ではなかったんだけど、レゴっていう研究対象自体が魅力的だし、思ってた以上に大きな紆余曲折があったし、単にユーザーとして見てただけでは気付かなかった点も多かったんで、思ったよりも楽しんで読めちゃった印象かな。あと、新しい書籍なんで、あまり意識的にはチェックしてなかった21世紀に入って以降の動きが整理・アップデートされてる点も魅力のひとつって言える。

2014/09/11

How many more miles must we march?

BEN HARPER "Welcome to the Cruel World" (Virgin)  ★★★★☆

ベン・ハーパー『ウェルカム・トゥ・ザ・クルーエル・ワールド』

Links: iTunesAmazon / Rakuten


この "Welcome to the Cruel World" はアメリカ人男性シンガー・ソングライター、ベン・ハーパー(Ben Harper)のファースト・アルバムで、リリースされたのは1994年なので今年で20周年ということになる。まぁ、実際のリリースは2月なので厳密にはもう約半年過ぎちゃってるわけで、別に20周年ってタイミングでどうこうというわけじゃないんだけど。ただ、もともと個人的にはすごく好きだったんだけど、最近、改めて聴き直したらすごくグッときちゃって、でも、ちゃんと読めるようなレビューとかを(少なくともインターネット上では)あまり見かけないんで、ちょっと整理しておこうかな、と。

なんでグッときちゃったかっていうと、単純に、2014年に聴いても作品が持つパワーが衰えてないから。だって、アルバム自体が「無慈悲な世界へようこそ」なんてアイロニカルなタイトルで、1992年に LA で起こった暴動(Link: Wikipedia)の発端(これだけが原因と断定できないけど、トリガーのひとつであったことは間違いない)になったロドニー・キング事件をモチーフに、マーティン・ルーサー・キング Jr.(Martin Luther King Jr.)を引き合いに出して「マーティンの夢はロドニーの最悪の悪夢になった」なんて歌う "Like A King" とか、同じくマーティン・ルーサー・キング Jr. の1962年のワシントン大行進を想起させる「世界を変えたいなら、未来を過去のようにしてはならない。教えてくれ。オレたちは何マイル行進しなきゃならないんだ」なんて歌詞の "How Many Miles Must We March" なんて曲が収録されてるんだけど、20年経った2014年になっても本質的には状況も問題も悲しくなるくらい変わってないから。こないだミズーリ州ファーガソンで起こったことなんかがすぐに思い浮かぶけど、別にアメリカに限った話じゃなくて、ヨーロッパも中東もアジアも(もちろん日本も)同じ問題を抱えてて、むしろ状況は悪化してると思うんで。海外でも日本でもいろんな案件でデモが頻発してて、デモって行為自体はもっともプリミティヴな市民の民主的意思表明としてどんどんやったほうがいいと思ってるけど、でも、やっぱり「あと何マイル行進すればいいんだよ?」って思っちゃうことがないとは言えないところもあったりするんで。

2014/08/13

Drop by drop.

イワキ ウォーター・ドリップ・コーヒー・サーバー KT8644-CL ★★★★☆

IWAKI Water Drip Coffee Server KT8644-CL

Links: Amazon / Rakuten / Official website


ちょっと前に行きつけのロースターで教えてもらって(作ったモノの試飲もさせてもらって)購入を決めたアイスコーヒー・サーバー。挽いた豆と水をセットすると約2時間で、すっきりとしていながらコクのある深い味わいのアイスコーヒーが楽しめる。ミニマルなデザインもなかなか秀逸で、2007年にグッドデザイン賞を受賞していることも納得って感じ。

仕組みは至ってシンプルで、写真の一番上のタンクに水、真ん中のドリッパー部分に挽いたコーヒーの粉をセットすると、抽出されたコーヒーが下のタンクに溜まるようになってる。

なぜ約2時間もかかるかというと、タンクから水が一滴ずつポタポタと垂れるようになっていて、その水がドリッパーのコーヒーの粉をジワジワと湿らせて、ドリッパー底部のフィルターを通って一滴ずつ抽出されるという仕組みだから(実際の抽出のスピードはこの動画を参照)。つまり、セットさえしてしまえば、電気もガスも使わずに、ただ待っていればアイスコーヒーができるということ。ちなみに、約2時間というのは、約 450cc の水と 40g のコーヒーをセットして約 400cc のアイスコーヒーを抽出する場合のマニュアルに記載されてる所要時間。この量が一度に作れる最大の量で、サイト等には約4杯分と記載されているけど、まぁ、実際には2〜3杯程度といった印象(もちろん、個人差の範囲だけど)。所要時間に関しても、「約2時間」と記載されてるけど、使ってみた感じでは、タンクが空になるのは2時間程度だけど、コーヒーの粉を湿らせてる分はタンクが空になってからも多少残っているので、実際には2時間強って感じかな。

肝心の味については、上に「すっきりとしていながらコクのある深い味わい」って書いたけど、「すっきり」よりも「コクのある深い味わい」のほうが強い印象。アイスコーヒーの場合、(長時間水に浸して抽出するオーソドックスな)水出しコーヒーは「すっきり」してるけどちょっと「薄い(軽い)」感じに、それなりに「コクのある深い味わい」のモノだと「イヤな感じの苦さ」も強い感じになりがちだけど、このサーバーだと「すっきり」と「コクのある深い味わい」のバランスが良くて、やや後者の特徴が強い感じがする。大量にゴクゴク飲むというよりも、それほど多くない量を味わって飲むのに適してるって印象かな。

2012/08/20

Blue lines for cycling blues.

都道 431 号線(水道道路)西新宿 4 丁目 〜 泉南間 自転車専用レーン ★★★★☆

これまでにも、前にレヴューした『銀輪の巨人 ジャイアント』のレヴュー『自転車はここを走る!』のレヴューをはじめとして、自転車関連のエントリーでたびたび触れてる通り、残念ながら日本は自転車文化後進国で、なかなか気持ちよく自転車で走ることができないのが現状なんだけど、そんな中で、(個人的に知る限り)数少ない '良い施策' のひとつが、右の写真の自転車専用レーン。存在はちょっと前から知ってたし、評判は割と良かったんだけど、実際に走ってみたら、思ってた以上に走りやすくてビックリした。

見ての通り、特別なことをしてるわけじゃなくて、道路交通法で定められてる通りに車道の左端を走りやすくするように、白線を引き、ブルーに塗られ、自転車専用と書かれてるだけ。たったこれだけのことで、ビックリするくらい走りやすい。幅もこれだけあれば十分だし、他の道路でよくあるように(車道の左端ではなく)路肩に追いやられる心配もない。ズバリ、コレが正解なんじゃないかって思っちゃうくらい。

2012/08/16

A giant story. A giant vision.

『銀輪の巨人 ジャイアント』 野嶋 剛 著(東洋経済新報社) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

これまでありそうでなくて、でも、前から読みたいと思ってたテーマをドンピシャで扱ってくれた書籍で、今年の 6 月に発売された。

「前から読みたいと思ってたテーマ」ってのは、タイトルであり、表紙に写真も載ってる台湾の自転車メーカー、ジャイアント(Giant / Official Website)について。自転車メーカーとしても、純粋にひとつのアジアの企業としても、何かと興味があって、でも、あまり目にすることがないテーマだったんで。自転車雑誌とかを熱心に読んだり、自転車に関する書籍をたくさん読めば触れられてないことはないのかもしれないけど。でも、少なくともちょこちょこと自転車関連の書籍や雑誌、ウェブサイトなんかを見てる限りは見かけたことはなかった。ただ、自転車にまつわるモノはこれまでにもたびたびレヴューしてきた通り、自転車は常に気になってるジャンルのひとつだし、自転車について気にしてれば、当然、ジャイアントは目に入るんで。

最近は日本でもすっかりお馴染みになったジャイアントは、その名の通り、世界の自転車産業の中でも屈指の '巨人' で、台湾の小さな工場として起業し、数十年の間に世界最大の自転車メーカーになったんだけど、特筆すべきはその規模的な成功だけではなく、それ以外にもいろいろ興味深い特徴がある。例えば、台湾の自転車産業は直近の 10 年で、輸出台数がほぼ同じでありながら総輸出額は約 3 倍増させてるんだけど、それを牽引してるジャイアントの業績は、1999 年に 319 万台を売って 118 億台湾ドルを売り上げていたのが、2011 年には 577 万台を売って 474 億台湾ドルを売り上げてる。どちらの数字も販売台数の増加率よりも売り上げの増加率のほうが急激であり、1 台当たりの販売価格を上昇させてるわけで、つまり、より価格の高い自転車を売れるようになったことで成功したってこと。これはすごく重要なポイントで、実は個人的にもすごく実感があったりもする。

2012/07/09

Unique ideas. Unique business.

『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』
 ブライアン・ハリガン / デイヴィッド・ミーアマン・スコット 著

 糸井 重里 監修・解説 渡辺 由佳里 訳 (日経BP) ★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


去年の年末に発売された当初から話題になり、ベストセラーになってた(っぽい)一冊で、ロック史上でも屈指のユニークさで熱狂的な支持を集めてきたグレイトフル・デッド(GRATEFUL DEAD)がやってきたことから、現代のビジネスに応用できるポイントを抽出し、それが解りやすくまとめられてる。

あまりにも評判が良かったんで、ついつい警戒度を上げちゃいつつ、でも、あまり予備情報を頭に入れずに読んだんだんだけど、まぁ、結論としては、評判がいいのも十分に理解できる感じだったかな。

ライブは録音 OK! 音楽は無料で聴き放題。それなのに年間 5000 万ドルも稼ぐ。40 年前からフリーもシェアも実践するヒッピーバンド、それがグレイトフル・デッド。

表紙の表 2 側の折り返し部分にはこんな言葉が書いてあるし、「彼らはそれをやっていた。」と題された前書きから、いきなり、なかなかいいサジ加減で上手いこと言ってて、「ほぉ」なんて思ってたら、書いてるのが「この本を出そう出そうと言った者」こと糸井重里氏だったりして。

ハード・カヴァーで 274 ページあるわりに文章量はそれほど多くないし、文体も柔らかくて読みやすいし、挙げられてる事例も解りやすいんで、そういう点も人気が出た理由なんだろうって推測できる。

あと、個人的にすごく魅かれた点は装丁かな。表紙回りのデザインは原著より出来がいいくらいだし、ページの中にも長年グレイトフル・デッドを撮り続けてきたジェイ・ブレイクスバーグ(JAY BLAKESBERG)による写真が多数、効果的に使われてるし、本文の文字のサイズ・文字間・行間も読みやすいし、単なる単色ではなく、赤をアクセントに使ってるので適度にポップな印象を与えてるし(アマゾンの 'なか見! 検索' で確認できる)。ひどい装丁デザインの本が多い中、かなり秀逸な部類って言えるんじゃないかな。

2012/04/02

Run Free. Run further. Run forever.

MICAH TRUE a. k. a. 'CABALLO BLANCO' (November, 1954 – April 1, 2012) - R. I. P.

前にレヴューした傑作『BORN TO RUN 走るために生まれた』でメイン・キャラクターの 1 人として取り上げられてたランナーで、ウルトラマラソンの先駆者でありベアフット・ランニングの伝導者としても知られる 'カバーヨ・ブランコ(CABALLO BLANCO)' ことミカ・トゥルー(MICAH TRUE)の訃報が伝えられた。享年 58 歳。

カバーヨ・ブランコは火曜日にランニングに出かけたまま戻らず、翌日から『BORN TO RUN』の著者のクリストファー・マクドゥーガル(CHRISTOPHER McDOUGALL)等のヴォランティアを含めた多くの人々が捜索に当たったものの、ニュー・メキシコ南西部の荒野で発見されたのは土曜日になってからで、既に死亡していたとのこと。詳しい死因等はまだわかってないっぽい。特別な目的ではなく、ごく日常的なランニングに出かけただけだったんだとか。行方不明になったってニュースを知ったときから、心配しつつもどっかで「ひょっこり帰ってこねぇかなぁ」って祈ってたんだけど。

カバーヨ・ブランコは 1954 年コロラド州ボルダー出身で、英語でカッパー・キャニオン(Copper Canyon)と呼ばれるメキシコのチワワ州にあるバランカ・デル・コブレ(Barranca del Cobre / 銅峡谷)でカッパー・キャニオン・ウルトラマラソン(Copper Canyon Ultramarathon)を開催したことで知られる人物。このバランカ・デル・コブレはタラウマラ山脈の 6 つの峡谷からなる峡谷地帯で、タラウマラ(Tamahumara)族の伝統的な居住地でもあることが、'史上最強の走る民族' と言われるタラウマラ族につながる部分で、ここでのタラウマラ族の '走りの秘密' をめぐるエピソード『BORN TO RUN』の主題(のひとつ)になり、それがウルトラマラソンとベアフット・ランニングにもつながった、と。ちなみに、'カバーヨ・ブランコ(caballo blanco)' ってのはスペイン語で '白馬' って意味なんだとか。

2012/03/22

Simple ideas. Clear visions.

『EARTHLING 地球人として生きるためのガイドブック』
 Think the Earth 編 (ソル・メディア)★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


去年の年末に発売された書籍で、ベースになっているのは、編者になっている Think the Earth が去年の 7 月 30・31 日に開催したイベント、'EARTHLING 2011' の内容を書籍化したモノ。ある種、議事録的な書籍なんだけど、イベントに行けなかったので、なかなか楽しんで読めたかな。

'earthling(アースリング)' ってのは '宇宙人' って言葉に対する概念として '地球人' という意味で使われる言葉で、ロバート・A・ハインラインの 1949 年の SF 小説『レッド・プラネット』(Links: Amzn / Rktn)で使われたのが最初なんだとか(未読だけど)。

イベントには '地球人大演説会' ってサブ・タイトルが付いてて、さまざまなジャンルで 活躍する 30 人のアースリングたちが 1 日 15 人・それぞれ 15 分ずつヴィジュアル・プレゼンテーションを行った、と。プレゼンテーションは Ustream で配信され(いくつかはリアルタイムで観た)、アーカイヴもかなりの本数が残されてるんで、プレゼンテーションの内容を確認することもできるようになってる。

30 人のリストもオフィシャル・サイトで確認できるんだけど、このリストの中には 元サッカー日本代表監督(もちろん、我らが横浜 F・マリノスをリーグ連覇に導いた監督でもある)の岡田武史氏とか、このサイトでもこれまでに何度か取り上げてる作家・写真家の石川直樹氏とか、ガンダムの原作者の富野由悠季氏とか、前にレヴューした虹の戦士翻案者の北山耕平氏とかの名前があって、これだけでも十分魅かれちゃう感じだった。冒頭には、Think the Earth プロジェクトの理事長の水野誠一氏と脳科学者の茂木健一郎氏の対談なんかもあるし。

2012/03/12

Modern day jazz stories.

THE ROBERT GLASPER EXPERIMENT "Black Radio" (Blue Note) ★★★

前に近作の "Double Booked" と "In My Element" をまとめてレヴューした ジャズ・ピアニストのロバート・グラスパー(ROBERT GLASPER)のニュー・アルバムで、前作のリリースが 2009 年なので約 3 年ぶりの新作ってことになる。

"Double Booked" は前半がオーソドックスなピアノ・トリオのロバート・グラスパー・トリオ(ROBERT GLASPER TRIO)名義、後半がエレクトリック楽器を導入したロバート・グラスパー・エクスペリメント(THE ROBERT GLASPER EXPERIMENT)名義っていう変則的なアルバムだったんだけど、今作はアルバム全体がロバート・グラスパー・エクスペリメント名義って点が最大の特徴。ロバート・グラスパー・エクスペリメント名義の初のフル・アルバムってことになる。

アルバム全体を見渡してまず目につくのはヒップ・ホップ 〜 R&B 系のゲストの多さ。ザ・サー・ラー・クリエイティヴ・パートナーズ(THE SA-RA CREATIVE PARTNERS)のシャフィーク・フセイン(SHAFIQ HUSAYN)、エリカ・バドゥ(ERYKAH BADU)、ダニー・ハサウェイ(DONNY HATHAWAY)の実娘のレイラ・ハサウェイ(LALAH HATHAWAY)、ルーペ・フィアスコ(LUPE FIASCO)、ビラル(BILAL)、レディシ(LEDISI)、ミュージック・ソウルチャイルド(MUSIQ SOULCHILD)、クリセット・ミッシェル(CHRISETTE MICHELE)、ミシェル・ンデゲオチェロ(ME'SHELL NDEGEOCELLO)、ミント・コンディション(MINT CONDITION)のストークリー・ウィリアムス(STOKLEY WILLIAMS)、モス・デフ(MOS DEF)改めヤシーン・ベイ(YASIIN BEY)等、名前を並べてみるだけでも相当豪華な顔ぶれで、これだけでもやっぱり期待は高まっちゃうんだけど、結論として、期待をまったく裏切らない出来映えだったかな。いろんな意味で、すごく抑制が効いてて、何とも言えない絶妙なバランスで成り立ってる感じで。

2012/03/10

It's like this y'all.

『文化系のためのヒップホップ入門』 
 長谷川 町蔵 / 大和田 俊之 著(アルテスパブリッシング) ★★★☆☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

前にレヴューした『HOW TO RAP 104 人のラッパーが教えるラップの神髄』と並んで、年末に発売されてちょっと話題になってたヒップ・ホップ関連書籍で、同じ時期に読んでたんだけど、レヴューし忘れてた一冊。一般的な評価は「ヒップ・ホップ入門書としては最適」的な感じになってるらしい。

構成は、さまざまな音楽(特にアフロ・アメリカン・ミュージック)に造詣が深いにも関わらず、つい最近まで「ヒップ・ホップの壁を越えられなかった」(のが、あるキッカケで急にその気持ち良さに気付いた)というアメリカ文学者の大和田俊之氏と、『HOW TO RAP』の巻末の解説も書いてた音楽ライターの長谷川町蔵氏の対談って形式。内容的には、あくまでも日本に住んでる日本人としての目線で語られてて、黎明期のエピソードから時代に沿った東海岸・西海岸・南部の動き、R&B の関係やジェンダー、さらに前にレヴューした『ミックステープ文化論』的な最近の動向までカヴァーされてるし、ディスク・ガイドも充実してる。

しかも、わりとフランクな会話で構成されてるんで、実はわりと難しいことを言ってたりしてもあまりそうは感じさせないし、何というか、'スパイス' みたいなモノが適度に効いてる感じでもあるんで、確かに読みやすい。その 'スパイス' ってのは、主に長谷川氏が使うかなりバッサリとした乱暴な表現と喩え。例えば、「ヒップ・ホップは音楽ではない」なんて言ってたり、「ヒップホップは少年ジャンプである」「ヒップホップはプロレスである」「ヒップホップはお笑いである」なんて喩えも、メチャメチャキャッチーだし、言い得て妙でもある。他にも、「上手いこと言うなぁ」的な部分は多い。でも、ちょっと誤解を招きそうな乱暴な単純化な感じがしなくもなくて、ちょっと抵抗を感じたのも事実だったりしたかな。まぁ、ある種の芸風というか、あえてそういう 'キャッチーな' 表現を使ってるんだろうけど。

何と言うか、決して面白くないって感じてるわけじゃないし、むしろ、「解りやすさ」の面では、数ある類書の中でもすごくいい出来だと思うくらいなんだけど、でも、読んでるときも、読み終わった後も、ある種の違和感を拭えなかったのは事実。そこがなかなか評価を下しにくいポイントだったりするんだけど。

2012/03/03

Mo' cycling blues.

『自転車はここを走る!』疋田 智・小林 成基 著(エイ出版社)★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


サブ・タイトルに「自転車で安全に走るためのガイドブック」って付いてる通り、昨今の、特に去年の警察庁による自転車の車道通行厳格化の通達以降の日本の危機的な自転車状況の異常性を指摘し、警笛を鳴らしつつ、現実的にどのように自転車に乗ったらいいのかについてまとめられたムックで、著者は NPO 法人・自転車活用推進研究会の理事の疋田智・小林成基の両氏。これまでにもこの手の本はなるべくチェックするようにしてて、でも、その多くはけっこうイマイチな印象なモノが多いんで、あまり期待しないで読んでみたんだけど、正直、期待以上のないようだったかな。

これまでにも自転車関連のレヴューはちょこちょこしてることからもわかる通り、個人的にすごく興味がある(っつうか、危機感を感じてる)テーマでもあって、でも、なかなか「コレ!」ってソリューションがなくてモヤモヤしてるんだけど、本書にはリアリティのあるレベルでのヒントがけっこう含まれてたかな。ちょっと大袈裟な言い方をすると、自転車に乗ってる(及び乗りたいと思ってる)人は、とりあえずプロローグだけでも読んでおいたほうがいいんじゃないかなって思ったくらい。値段も ¥680 とリーズナブルだし、プロローグだけなら楽天ブックスの 'チラよみ' でも読めるし。日本の自転車事情がいかに異常かがわかるんで(ホントは自転車に乗らない人にも知らしめたいんだけど。でも、後述するように、コレはコレで別の大きな問題だったりする)。

最大のポイントは、上に書いた「現実的にどのように自転車に乗ったらいいのか」の '現実的に' の部分。ただ理想を語るんでも、ただ現状の問題点を指摘(糾弾?)するんでもなく、どちらの要素も含みつつ、あくまでも、これだけトンチンカンな自転車事情の中で現実的にどう自転車に乗るべきかを、自転車乗りのリアルな視点で描かれてること。つまり、白と黒をわかった上で、'グレーな部分' を現実的な対処法として示して(+ 肯定して)るってことなんだけど、'グレーな部分' を 'グレーな部分' としてキチンと述べてるモノって、この手のモノでは実はなかなかないので。そういう意味ではそれ自体が希有だし、ただキレイごとを並べてるような本よりもよっぽど誠実だし、同時に、メチャメチャ現実的でもあり、故に実用的でもある。

2012/02/11

Rappers' delight.

『HOW TO RAP 104 人のラッパーが教えるラップの神髄』
 ポール・エドワーズ 著 池城 美菜子 訳 (P-Vine Books)★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

去年の年末に出版されて、「こんな本、見たことない!」って一部で大きな話題になってた一冊。まぁ、これは読まない手はないだろ、と。

何でかっていうと、本自体は 100 人以上のラッパーに 'ラップの仕方' についての質問をして得られた返答をテーマごとにまとめたっていう、言ってみればスゲェ直球なモノなんだけど、その質問が「こんなこと、今まで誰も訊いてなかったよな?」って内容だったから。具体的には、「リリックを何所で書くか」とか「どんな道具で書くか」みたいな、「そんなこと、普通は改まって訊かねぇよなぁ」的なことから、実際にラップをやったことのない人間にはイマイチピンとこないようなテクニカルでマニアックな部分まで、すごく多岐に渡る質問が網羅されてて、その返答が「コンテンツ / 中身(CONTENTS)・フロウ(FLOW)・ライティング(WRITING)・デリバリー(DELIVERY)」っていう 4 つのテーマに分けてまとめられてる。

率直な感想としては、「こんな本、見たことない!」ってのは間違いない。ただ、誰にでもオススメかっていうと、ちょっとビミョーなところはなくはないかな。ある程度のヒップ・ホップ / ラップ・リテラシーみたいなモノを求められる気がするし。まぁ、それを踏まえた上でも、個人的には普通にヒップ・ホップ / ラップに関する読み物としてすごく面白く読めたんだけど。純粋にある種のエンターテインメントとして。あと、ちょっと堅い言い方をすると、'ラップ' っていうヴォーカリゼーション / 口頭文学表現(なんて言葉があるのか知らないけど。まぁ、文字ではなく音で聞かせる詩的・文学的表現ってこと)をより深く理解するための分析としてもすごく貴重だし。

2012/01/31

Insanely great old days.

『バトル・オブ・シリコンバレー』
 マーティン・バーク 監督 (ワーナー・ブラザース) ★★★★☆
 Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp / Rakuten Books

アップル(Apple)のステーヴ・ジョブズ(STEVE JOBS)とマイクロソフト(Microsoft)のビル・ゲイツ(BILL GATES)という、言わずと知れたパーソナル・コンピュータ史に燦然と輝く 2 人の巨人の若き日のライバル関係を描いたマーティン・バーク監督の作品。もともとは TV 映画として制作されたもので、アメリカでは 1999 年 4 月に OA された。

たしか 1999 年当時は日本ではも TV での放映も劇場公開もなかったんじゃなかったかな? その後、VHS で日本語字幕版は観たんで発売かレンタルかはされたと思うんだけど、まぁ、基本的には「アップル好きの間ではわりと知られてる」程度な感じだった印象かな。長い間、DVD 化もされてなかったし。

まぁ、別に新しい作品ってわけでもないし、歴史的な名作でもないと思うけど(正直、監督も出演俳優もよく知らなかったし)、VHS のリリース当時には観てて、個人的にはわりと好きで。ちょうど、去年の年末に DVD と iTunes Store での取り扱いが始まってて(スティーヴ・ジョブズの逝去のせいなのかな?)、最近、あらためて観直したんで、あらためてレヴューしとこうかな、と。iPod とか iPhone 以降のスティーヴ・ジョブズに関してはそこら中で語られてるけど、パーソナル・コンピュータ黎明期のエピソードはあまり語られてない感じがするというか、わりと知らない人が多いみたいなんで。まぁ、逝去がキッカケってのはあまりいいキッカケじゃないけど、知らないより知ってたほうがいいハナシだとは思うんで。それこそ、もはや現代生活の基礎知識のレベルで。

2012/01/29

Mixing ideas. Mixing culture.

『ミックステープ文化論』 小林 雅明 著
(avex marketing Inc. / Avex Music Publishing Inc.)★★★★☆
 Link(s): App Store

右の写真だと新書みたいだけど、iPhone / iPad 用のデジタル・ブック・アプリケーションの『音専誌 The Music Mag』内でアドオンとして出版されたデジタル・コンテンツで、『音専誌』自体は無料だけど、この『ミックステープ文化論』は 350 円の有料アドオンとして発売されてて(上のリンクは『音専誌』のリンク。『音専誌』をアプリケーションし、そのアプリの中から購入するカタチになってる)、アプリケーションをインストールすれば冒頭部分を '立ち読み' ができる。

前にレヴューしたブライアン・コールマンの『チェック・ザ・テクニーク』の監訳者でもある著者の小林雅明氏は、R&B / ヒップ・ホップ系のライターとして古くから活躍してきた人で、個人的には、それこそ学生の頃くらいからいろいろなところで原稿を目にしてきたような感じ。まぁ、安直な言い方をすると、昔から「信頼できる R&B / ヒップ・ホップ系のライター」って思ってきた人の 1 人ってことになるのかな。

内容としては、インターネットを通じて大量に流通しているフリー音源、特に、ヒップ・ホップ / R&B のシーンを中心に 'ミックステープ' と呼ばれてるタイプの音源と、そういう状況が音楽シーン / ビジネスでどのような意味を持っているかってことについて、その起源から変遷を辿りながら、現在どのようになっていて、どんなことを示唆してるかについてまで言及してる。多くの音楽ファンが日々、忙しくチェックしてるであろうフリー音源の興味深い考察って感じかな。

個人的にはかなり興味深くて、同時に、わりと馴染みのあるテーマでもあったんで、わりと一気に読めちゃったかな。ちなみに、文字量は約 50000 字らしいんだけど、そう言われても、正直、イマイチピンとこなかったりする。文字の表示サイズを変更できるからページ数も意味がないし。まぁ、ヴォリューム的には新書くらいな感じなのかな? そのくらいの感じでサクッと読み切れた感じだった。

2012/01/24

Running as human nature.


『なぜ人は走るのか』トル・ゴタス 著 楡井 浩一 訳(筑摩書房) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

民俗学と文化史を専門にしているというノルウェー人の作家による著作で、サブ・タイトルに 'ランニングの人類史' って付いてる通り、人類と走ることの歴史について綴ったモノ。個人的には、前にレヴューした『BORN TO RUN 走るために生まれた』と対になってる印象かな。わりと淡々と事実を綴ってる感じなんで、文体とか本としてのテイストが似てるってわけでは全然ないんけど。

内容的には、古今東西の文明・社会の中で、人は何のために走り、その社会の中でどういう意味や役割があったのかについてまとめたモノで、なかなか興味深い内容なんだけど、個人的にすごく魅かれたのは、それ以前に、生物としてのヒトの進化とランニングがすごく密接に関係しているってこと。曰く、「走ることで人類は人間になった」と。これは、『BORN TO RUN』で触れられてた狩猟のハナシにもつながる部分なんだけど、ランニングの根源的な部分を探る上ですごく興味深い。

あと、もう 1 点、トップ・レヴェルの競技としてではなく、一般に広く行われる楽しみのひとつとしての、いわゆる 'ジョギング 〜 ランニング' の成立・発展の部分もすごく興味深いかな。トップ・レヴェルのランナーのすごさとかノウハウ的なハナシよりも、個人的にはランニングの文化的な側面のほうが興味があったりするんで。

まぁ、総合的には、読み物として特別凝ってるわけではないし、ランニングに対するモチヴェーションが著しく上がるとか、タイムが縮まるとかダイエット効果があるとか、そういう類いの本ではないけど、いろいろ重要な示唆に富んでるし理解は深まるかな。

2012/01/22

A great study on hip hop.

『ヒップホップはアメリカを変えたか?』
 S・クレイグ・ワトキンス 著 菊池 淳子 訳 (フィルムアート社) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

2005 年に出版された "Hip Hop Matters: Politics, Pop Culture, and the Struggle for the Soul of a Movement"(Link: Amzn)の訳書で、邦訳の出版は 2008 年。著者のS・クレイグ・ワトキンス(S. Craig Watkins)はテキサス大学(ラジオ / TV / フィルム学部)准教授で社会学アフリカン・アメリカン文化研究を専門にしているという学者なんだけど、エピローグにある記述によると、この本を書くための調査・研究した期間は大学院に在学してた時期らしく、テキサス大学のオフィシャル・プロフィールには生年月日は載ってないけど、けっこう若手の研究者ってことになるのかな。

訳書のサブ・タイトルに「もうひとつのカルチュラル・スタディーズ」、原書には 'Politics, Pop Culture, and the Struggle for the Soul of a Movement' とある通り、ヒップ・ホップ・カルチャーの社会的な側面を考察した本で、ヒップ・ホップに限らず、アフロ・アメリカン・カルチャーを取り上げたこの手の本はわりと好きなんで、なるべく読んでみるようにしてるんだけど、個人的にこの本に魅かれた理由は 2 点ある。ひとつは著者が若く、ヒップ・ホップ・カルチャーとともに育ったヒップ・ヒップ・ホップ世代であること。もうひとつは、出版されたのが 2005 年であり、わりと新しい情報までカヴァーされてること。

この手の本で、(最近のシーンの動きまでわりとスムースにつながる)2000 年以降の動きまで触れてるものは、日本語で読めるモノではそれほど多くないし、しかも、それを書いてるのがヒップ・ホップ・カルチャーをリアルタイムで体験してきた世代っていうのも興味深い。

それでいて、研究者が書いた本とは思えないような読みやすさも維持しつつ、いわゆる 'シーンの中の人' が書いたモノにありがちな閉鎖性というか、「当事者に本物と認められる」ために気を遣いすぎたりもしてないし、ヒップ・ホップの歴史もキチンとカヴァーしながら、ファッションやビジネス等の周辺部分にも言及しながらまとめられてる点も評価できるし。気になる点がまったくないってわけじゃないけど、期待以上に読み応えはあった印象かな。

2012/01/12

Still got a lot in common.

COMMON "The Dreamer / The Believer" (Think Common Music) ★★★★☆
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前にも書いたけど、「1972 年生まれのソウル好き」って共通点から勝手に親近感を抱いてるヴェテラン・ラッパー、コモン(COMMON)の通算 9 枚目のアルバムで、リリースは 2011 年の 12 月。前作の "Universal Mind Control" のリリースが 2008 年だったから、けっこう久々のリリースってことになる。トピック的には、久々のリリースであるだけでなく、ワーナー・ブラザース(Warner Bros)移籍第 1 弾リリースでもあり、アルバム全体のプロデュースをシカゴの朋友であるノー・ID(NO ID)が手掛けてたりする等、わりと話題には事欠かない感じだった。

特に、オールド・ファンとしては気になったのはやっぱりノー・ID の起用。まぁ、正直なところ、そのハナシを聞いたときは、嬉しいような、でも、同時に「今、コモンとノー・ID の組合せってアリなのか?」的な感じもあって、半信半疑っていうか、楽しみと警戒感が半々くらいだった感じかな。

ただ、実際にアルバムを聴いてみたら、そんな心配は取り越し苦労だったっていうか、何の問題もない出来映えで、結果的にノー・ID の起用は成功だったって印象。コモンらしさを上手く引き出しつつ、でも、決して単なる懐古主義的な感じではなくて。コモンってアーティストのスタンスとかキャリアを鑑みても、なかなか意味深い感じに仕上がってるようにも思えてくるし。

2011/12/17

The art of the storytelling.

THE ROOTS "Undun" (Def Jam) ★★★★☆ 
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

'史上最高のヒップ・ホップ・バンド' として絶大な信頼を得ているだけでなく、もはや最も新しい 'リヴィング・レジェンド' と呼ぶに相応しい存在感すら放ちつつあるザ・ルーツ(THE ROOTS)の新作。初期の作品とかコラボレーション作品の数え方が難しいんだけど、通算で 10 作目のオリジナル・フル・アルバムってことでいいのか?

まぁ、結論を先に言っちゃうと、内容的にはメチャメチャディープでタイトで、同時にかなり意欲的なコンセプト・アルバムに仕上がってる。正直なところ、ザ・ルーツに関しては期待の初期設定値がかなり高いんだけど、そのラインは軽々と超えてる。相変わらず、まったく期待を裏切らない出来映えとしか言えない感じかな。

2011/12/10

Living in the mountains. Living with the mountains.

『岳 15 巻』 石塚 真一 著(小学館 / ビッグコミックス) ★★★★☆

これまでにも出るごとにレヴューしてきた『』の最新巻。前のエントリーでレヴューした『宇宙兄弟 15 巻』と同様、レヴューし忘れてて発売からかなり経っちゃったんだけど、抜かすのも気持ち悪いんで。

ハナシは、これまでに何度も書いてる通り、主人公の山岳救助ボランティアの '山バカ' こと島崎三歩と、山をこよなく愛する周辺の人たちの、山にまつわる心温まるエピソードって感じで、昨今のちょっとした(?)山登りブームのベースを支える要因のひとつになってる(ような気がする)コミック。決してミラクルがあったり超人が出てきたりするわけじゃないんだけど、そこが逆に、なんかグッとくる。そんな絶妙なサジ加減が魅力って言えるかな。

これまでは、基本的には 1 話(または数話)完結型の 'ちょっといいハナシ' 的なエピソードがメインだったんで、まぁ、良くも悪くもマンネリになりやすいっていうか、(もちろん、キャラクターの成長とかは描かれてるんだけど)どうしても似たようなハナシになりやすかったんだけど(だからこそ、わりとどこからでも読めるとも言えるんだけど。いわゆる、'偉大なるマネリズム' 的な)、この 15 巻はストーリー的にちょっと転機になる一冊って言えるのかな。