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2012/01/22

A great study on hip hop.

『ヒップホップはアメリカを変えたか?』
 S・クレイグ・ワトキンス 著 菊池 淳子 訳 (フィルムアート社) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

2005 年に出版された "Hip Hop Matters: Politics, Pop Culture, and the Struggle for the Soul of a Movement"(Link: Amzn)の訳書で、邦訳の出版は 2008 年。著者のS・クレイグ・ワトキンス(S. Craig Watkins)はテキサス大学(ラジオ / TV / フィルム学部)准教授で社会学アフリカン・アメリカン文化研究を専門にしているという学者なんだけど、エピローグにある記述によると、この本を書くための調査・研究した期間は大学院に在学してた時期らしく、テキサス大学のオフィシャル・プロフィールには生年月日は載ってないけど、けっこう若手の研究者ってことになるのかな。

訳書のサブ・タイトルに「もうひとつのカルチュラル・スタディーズ」、原書には 'Politics, Pop Culture, and the Struggle for the Soul of a Movement' とある通り、ヒップ・ホップ・カルチャーの社会的な側面を考察した本で、ヒップ・ホップに限らず、アフロ・アメリカン・カルチャーを取り上げたこの手の本はわりと好きなんで、なるべく読んでみるようにしてるんだけど、個人的にこの本に魅かれた理由は 2 点ある。ひとつは著者が若く、ヒップ・ホップ・カルチャーとともに育ったヒップ・ヒップ・ホップ世代であること。もうひとつは、出版されたのが 2005 年であり、わりと新しい情報までカヴァーされてること。

この手の本で、(最近のシーンの動きまでわりとスムースにつながる)2000 年以降の動きまで触れてるものは、日本語で読めるモノではそれほど多くないし、しかも、それを書いてるのがヒップ・ホップ・カルチャーをリアルタイムで体験してきた世代っていうのも興味深い。

それでいて、研究者が書いた本とは思えないような読みやすさも維持しつつ、いわゆる 'シーンの中の人' が書いたモノにありがちな閉鎖性というか、「当事者に本物と認められる」ために気を遣いすぎたりもしてないし、ヒップ・ホップの歴史もキチンとカヴァーしながら、ファッションやビジネス等の周辺部分にも言及しながらまとめられてる点も評価できるし。気になる点がまったくないってわけじゃないけど、期待以上に読み応えはあった印象かな。

2011/07/13

Hackers' delight.

『ウィキリークス アサンジの戦争』
 デヴィッド・リー / ルーク・ハーディング
 月沢 李歌子・島田 楓子 訳 (講談社) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp

2007 年にイラク駐留アメリカ軍ヘリコプターがイラク市民・ロイターの記者を銃撃・殺傷した様子が映っている動画、いわゆる 'アパッチ・ヴィデオ' を 2010 年 4 月に公開したこと一躍、世界中の注目を集め、その後のアメリカの外交公電の公開や逮捕劇など、瞬く間に世界情勢に大きな影響を与える存在となったウィキリークス(WikiLeaks)とその創設者のジュリアン・アサンジ(Julian Assange)について、ウィキリークスともっとも親密な(でも、決して馴れ合いではない)関係を築いてきたイギリスの新聞『ガーディアン(The Guardian)』紙の記者が綴ったモノで、出版は原著("WikiLeaks: Inside Julian Assange's War on Secrecy")・訳書ともに 2011 年。今年に入ってからたくさん出版されてるウィキリークス関連の書籍のひとつってことになる。

最大のポイントは、著者が他のメディアに先んじてウィキリークスと協力体制を築いてた『ガーディアン』の記者である点。当然、他メディアでは知り得ないような記述が多くて読み応えは十分。アサンジの生い立ちやキャラクターから始まって、ウィキリークスの設立過程や一連の 'アパッチ・ヴィデオ' 〜 'ケーブル・ゲート' と呼ばれるアメリカ外交公電の公開〜逮捕劇に至るまでの流れをカヴァーしつつ、ウィキリークスが果たした役割や課題、'ウィキリークス以後' の世界でのメディア・個人の在り方みたいな部分まで触れられているんで、バランス良く概要を掴むのにももってこい。読み物としても適度に客観的でありながら、著者(たち)自身がプレーヤーでもあるので、適度にドラマチックに、'読ませる' 感じにまとまってて、決して軽いわけじゃないんだけど、思いの外、すんなりと読めちゃった印象かな。読み物として普通に面白いというか。

2011/04/10

Synphonic beauty.

『地球交響曲 第七番』龍村 仁 監督 (龍村仁事務所) ★  
 Link(s): Official Website

イギリスの生物物理学者、ジェームズ・ラブロック博士の唱えるガイア理論の「地球はそれ自体がひとつの生命体である」という考え方に基づき、龍村仁監督によって制作されたオムニバスのドキュメンタリー映画シリーズ、『地球交響曲(ガイア・シンフォニー)』の最新作で、2010 年の作品なんだけど、一般的な映画とは異なったカタチで制作・公開されてるので、実際に見たのは今年に入ってから。確か 1 月頃だったかな。単にレヴューし忘れてただけなんだけど、A311(勝手に作った造語です。もちろん、'after 3.11 ってこと。同様に 'B311' って表現もアリ)の今、いろいろ思うところが多い中でイメージがつながるところが多いというか、あらためて思い出すことが多かったんで。

前に監督の龍村仁氏の著書『地球(ガイア)のささやき』のレヴューでも触れた通り、第一番を大学時代に観て以来、観逃して後から観直したことがあったりはするけど、一応、全作品観てて、どれもすごく好きなんで(特に前に『サーフリアライゼーション』をレヴューしたジェリー・ロペスや登山家のラインホルト・メスナー、素潜りの記録保持者でリュック・ベッソン監督の映画『グラン・ブルー』のモデルにもなったジャック・マイヨール、写真家・エッセイストの星野道夫、前にレヴューした『星の航海師 - ナイノア・トンプソンの肖像』の主人公でカヌー航海者のナイノア・トンプソン、ダライ・ラマ法王なんかのエピソードがお気に入り)、今回もすごく楽しみにしてたんだけど、結論から言っちゃうと、期待を全く裏切らない出来映え。むしろ、A311 には、それまで以上に大きな意味合いを持つんじゃないかって思えちゃう。

2011/01/18

Hip as hip can.

ヒップ - アメリカにおけるかっこよさの系譜学』
 ジョン・リーランド 著 篠儀 直子 / 松井 領明 訳

(P-Vine BOOKs)  Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

去年の夏頃に訳書が出版されて、気にはなってたんだけど読めてなかった一冊。年末から年始にかけてっていう、ある種、1 年で最も読書に適した時期に読んでみた。

内容的には、サブ・タイトルにある通り、'ヒップ' っていう感覚がどういうモノで、どういうカタチで育まれて、どう変化して、現在のカルチャーにどんな影響を影響を与えてきたかについてディープに論じた著作。ページ数的にも情報量的にも内容的にも、かなり読み応えがある。

著者は、ヒップについて「元ヨーロッパ人と元アフリカ人が、この国で交わり踊った複雑なダンス」と語っている。'カッコイイ' って意味で使われてる 'ヒップ' っていう言葉が、どのように生まれて、どういう人・アティテュード・モノ等に対して使われてきたのかを知ることは、即ち、アメリカって国のことを他ならないってことを、とても端的に表してる。

2010/12/18

The shape of energy to come?

平和のエネルギー ー トリウム原子力』 亀井 敬史 著(雅粒社)  
 Link(s): Amazon.co.jp

ガンダムだけの月刊誌『ガンダム A』に「教えてください。富野です」っていう富野由悠季監督の連載ページがあって、毎月、富野監督がゲストを招いてハナシを聞くって内容なんだけど、2009 年 1 月号でゲストに招かれていた著者の本(っていうか、冊子?)が発売されたので、早速チェックしてみた。

サブ・タイトルには「ガンダムは "トリウム" の夢を見るか?」なんて言葉があるんだけど、基本的にはトリウムという物質を使った原子力発電のハナシ。何でも、著者が原子力に興味をもって、その道を志したキッカケはガンダムだったんだとか(ちなみに著者は 1970 年生まれで、財団法人国際高等研究所の招聘研究員)。

2010/09/25

A glance on nature.

地球の上で歩く、食べる、眠る
 
北山 耕平 監修 梶原 光政 編著洋泉社
 Link(s): Amazon.co.jp

どこかで偶然知って、だいぶ前にレヴューした『虹の戦士』の翻案者の北山耕平氏が監修者だったので、あまり下調べもせずに読んでみた一冊。今年の 7 月に出版されたものでサブ・タイトルは「アウトドアのレッスン」。まぁ、先に結論を言っちゃうと、あまりピンとこなかったんだけど。

まぁ、 内容としては、いわゆる「アウトドア・ライフのススメ」的なモノで、メンタリティ的なことから装備・食事等のことまで一通りカヴァーされてて、文量も少なめだし、読みやすい感じでまとめられてるなって印象ではあるかな。実際、すぐに読み終わっちゃったし。


2010/07/23

Life with water.

奪われる日本の森 ― 外資が水資源を狙っている』
 平野 秀樹 / 安田 喜憲 著新潮社) 
 Link(s): Amazon.co.jp

何がキッカケだったか覚えていないけど、どこかで知って内容が気になったので読んでみた一冊。著者の平野秀樹氏は東京財団研究員・森林総合研究所理事で、本書は東京財団が 2009 年と 2010 年に発表した論文を中心に、追加・加筆してまとめたモノなんだとか。共著者の安田喜憲氏は国際日本文化研究センターの教授で、現静岡県知事の川勝平太氏との共著書敵を作る文明 和をなす文明』で個人的には馴染みのある人物でもある。構成としては、全体の 3/4 程度の分量を使って具体的な事項を述べてるのが平野氏、最後の約 1/4 で安田喜憲氏がちょっと俯瞰的な視点から森の重要性を説いている感じになってる。

まぁ、内容としては特別難しいわけではなく、文量も決して多いわけじゃないんで、わりとすんなり読めちゃうけど、読み物として単純に面白いかというとちょっと微妙かな。まぁ、ベースになってるのが論文なんで仕方ない部分はあるけど。

2009/10/15

Wild style.

野性の実践』ゲーリー・スナイダー 著 原 成吉重松 宗育 訳
(山と溪谷社) ★★★ Link(s): Amazon.co.jp

今日はブログ・アクション・デイ '09(Blog Action Day '09)で、今年のテーマは 'Climate Change' ってことなので、それに合わせたエントリーを。で、何をピックアップしようかなって考えた中で、一番相応しいというか、個人的に一番シックリくるのはゲーリー・スナイダーのこのクラシックかな、と。

個人的には 'Climate Change' ってテーマ自体、なかなか難易度が高いっていうか、個人的には「一筋縄ではいかない」って印象があるテーマって気がしてて。まぁ、翻訳すると「気候変動」ってことになるんだろうけど、「気候変動」とか、その原因だと言われてる「温暖化ガス(CO2)削減」とか、ちょっと、頭から信用しちゃって平気? みたいなところもあったりして。そんなに簡単にわかったり、割り切れたりする話じゃないと思うんだけど、なんか、その議論抜きで「前提」になっちゃってて、あたかも「それだけやっとけば OK」的な風潮になってる感じにはちょっと違和感があって。ホントにそうなのか? ってのはキチンと議論・検証されるべきだし、決してそれだけで OK なんて話じゃないはずだし。

2009/03/04

Ocean 2 ocean. Mind 2 mind.

ホクレア 星が教えてくれる道 内野 加奈子 著 (小学館)

近代的な航法に頼らずに、星・月・空・潮流・風・漂流物・海鳥などの自然の情報だけを頼りに太平洋の大海原を自在に往来することを可能にしていたスター・ナヴィゲーションと呼ばれる古代ポリネシアに伝わる古式航海術を現代に復活させたハワイのナイノア・トンプソンとホクレア号に関する書籍はこれまでに何冊か取り上げてきたけど、これまでに取り上げたモノと最も大きく違う点は、著者の内野加奈子さんは実際にホクレア号に操舵士として乗船したクルーだってこと。しかも日本人。これが大きなポイントで、本書をとても魅力的にしてる部分でもある。

実際にクルーなのでプラクティカルな面の描写ももちろんすごくリアルだし、同時に、世代のそれほど離れてない(正確な年齢は知らないけど、それほど離れてないはず)日本人である彼女の綴る言葉は、いい意味で親しみやすいっていうか、洋書(の訳書)・古典・学術書なんかで感じがちな「妙な距離感」がなくて、感覚的にもすごくリアルに響いてくる。でも、テクニカルな部分とか歴史とかに関しても適度にキチンと説明されてるし、決して読みやすいだけで内容が薄っぺらなモノでもなくて、ありそうでなかなかない感じの一冊になってる。

2009/02/01

The rebirth of the natural navigation.

星の航海師 - ナイノア・トンプソンの肖像』 星川 淳 著  
幻冬舎)  Link(s): Amazon.co.jp

前にスワミ・プレム・プラブッダ名義の著書『屋久島発 地球感覚、』をレビューした屋久島在住の作家・翻訳家の星川淳氏が、ホクレア号という船で「スター・ナヴィゲーション」や「ウェイ・ファインディング」と呼ばれる古代の航海術を現代に蘇らせたことで知られ、前に著作『地球(ガイア)のささやき』をレビューした龍村仁監督の映画『地球交響曲 第三番』にも出演しているナイノア・トンプソンについてまとめた 1997 年の著作。

ナイノアとスター・ナヴィゲーションには前から興味があって、これまでにもウィル・クセルクの『星の航海術をもとめて - ホクレア号の 33 日』やターザン別冊の『ホクレア号について語ろう! 』をレビューしてるんで、この星の航海師』も当然、前から読んでみたかったんだけど、現在絶版らしく(復刊ドットコムのコメントによるとアマゾンのマーケット・プレイスではけっこうな値がついてたりするんだとか。安く手に入ることもあるみたいだけど)て手に入りにくかったんだけど、やっと読めたので。


2009/01/06

Live tropical.

ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力
 エスクァイア マガジン ジャパン) 

前にレビューした美術展、「ネオ・トロピカリア:ブラジルの創造力」の公式カタログ。

編集・出版は『エスクァイア』誌なだけあってなかなか充実した出来映えで、会場に行かなくても普通に書店で販売されている(そういえば前にレビューしたザ・ノース・フェイスの 40 周年記念の展覧会、DO MORE WITH LESS 40 Years of the North Face」に合わせて出版された『THE EARTH BOOK』もスイッチ・パブリッシングの制作・出版で書店流通だった。最近の傾向なのか?)。


2009/01/04

Don't think twice, it's all right.

『アップルを創った怪物 ― もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝』
 
スティーブ・ウォズニアック 著 井口 耕二 訳
ダイヤモンド社)  Link(s): Amazon.co.jp
  
実は手元には、すぐに読もうと思ってる(というか、途中まで読んでる)本として『プラネット・グーグル』と『偽りのホワイトハウス ー 元ブッシュ大統領報道官の証言』 の 2 冊があるんだけど、せっかく(?)年末年始なんだし、もうちょっとゴキゲンな本を読みたいと思って、年末に読み出したのが本書。ご存知、スティーヴ・ジョブズとともにアップルを創業した「もうひとりのスティーヴ」として知られるエンジニアリング・アーティスト、スティーヴ・ウォズニアック(=ウォズ)の自伝的な作品(ジーナ・スミスがウォズから話を聞き、それをウォズに代わってまとめたもの)で、原書は 2006 年に出版された "iWoz"(サブ・タイトルは 'Computer Geek to Cult Icon: How I Invented the Personal Computer, Co-founded Apple, and Had Fun Doing It')。原書の出版当初から読みたいと思ってた本なんで、待望の訳書なんだけど、この邦題といい、わざわざ撮影したっぽい表紙写真を含む装丁デザインといい、なんでこんな風にしちゃうんだか。日本の出版社(特にビジネス系書籍の多い出版社)がやりがちな感じではあるけど、誰にとってもハッピーな結果になってなくて残念な限り。ただ、訳文はとてもいい。適度にくだけてて、ちょっとユーモラスで、でも読みやすく、ウォズの口調やキャラクターをイメージさせる文体で。

2008/12/28

Revolutionary natural.

自然農法 わら一本の革命福岡 正信春秋社 ★★ 

前に『<自然>を生きる』をレビューした福岡正信氏の代表作で、"The One Straw Revolution: An Introduction to Natural Farming" として英訳もされていて、海外では日本以上に評価・知名度が高いという一冊(その辺の事情は『Spectator』の「Whole Pacific Northwest Life Catalog vol. 1」号でも触れられてる)。ちなみに、今回読んだのは 2004 年に発行された新刊なんだけど、表紙のデザインは 1983 年の原書のほうがカッコイイので、左の写真は原書のモノを載せてる。

1983 年に出版されたこの本の序文には、以下のような辛辣な言葉が書かれている。福岡氏は不耕起・無肥・無農薬の自然農法と、粘土に 100 種類以上の種を混ぜた粘度団子を蒔くことで緑と色のパラダイスを実現することを唱えて自らの農園を営み、2008 年 8 月 16 日に 95 歳で亡くなった人物で、表紙の写真にもある通り、仙人のような雰囲気のキャラクターと、科学や進化論を真っ正面から否定しちゃうような、ある意味ラディカ ルとも言える独特でユーモラスな自然観・哲学の持ち主。曰く、自然農法とは「自然の意志をくみ、永遠の生命が保証されるエデンの花園の復活を夢みる農法で ある」。それこそが、わら一本から起こすことができる革命である、と。

2008/12/15

Natural wisdom. Conscious life.

<自然>を生きる

. :福岡 正信・金光 寿郎 著春秋社 ★★

前にレビューした『Spectator』の「Whole Pacific Northwest Life Catalog vol. 1」号でも紹介されてた『自然農法 わら一本の革命』(英訳 "The One Straw Revolution: An Introduction to Natural Farming" も海外で大人気)で知られる福岡正信氏に、NHK で番組制作を手掛けてきた金光寿郎氏がハナシを聞いたものをまとめた書籍(厳密には、番組で使ったのものをテキスト化したもの)。『自然農法 わら一本の革命』から読もうと思ったんだけど、図書館で先に借りられたのがこれだったので、とりあえず、この<自然>を生きる』から読んでみた(現在は表紙のデザインが違う新装版が出版されてるらしく、新装版のほうが手に入れやすいみたい)。

福岡氏は不耕起・無肥・無農薬の自然農法と、粘土に 100 種類以上の種を混ぜた粘度団子を蒔くことで緑と色のパラダイスを実現することを唱えて自らの農園を営み、2008 年 8 月 16 日に 95 歳で亡くなった人物で、表紙の写真にもある通り、仙人のような雰囲気のキャラクターと、科学や進化論を真っ正面から否定しちゃうような、ある意味ラディカルとも言える独特でユーモラスな自然観・哲学の持ち主。その独特の理論をいろいろと批判する人もいるみたいだけど、いくら一生懸命批判しても、どこかチャーミングな福岡氏の魅力を否定できるほど強力(というか、魅力的)じゃなかったりして、やっぱり、なんか魅かれちゃう不思議な存在だ。この版の帯には宮崎駿監督のコメントが掲載されてて、同じことを感じてるっぽいんだけど、たぶんこの人の魅力はロジックにあるんじゃなくて、そういうのとは別の次元にあって、言ってることもやってることも、その存在感自体、ついつい魅かれずにはいられないツボをついてるだと思う。理屈じゃなく。それを、目くじら立ててつまらない正論を振りかざして批判する(というか、重箱の隅を突いて揚げ足を取る)なんて、無粋というか、心にゆとりがないというか、なんかツマンネェヤツらだなぁ、って感じる。最近、やたらと多いけど。数字を振りかざしてつまんない正論をしたり顔で力説するオトナ。ツマンネェヤツらだ。ブラジルに行った時とかに感じたこととも近いけど、福岡氏が日本より海外で評価されてる理由のひとつがそういう部分なのかも? なんて思ったりもする(それすら批判するんだけどね、ツマンネェヤツらは)。

「何もしないこと」の大切さや悦びだったり、「働く」ことよりも「仕事」(「事」に「仕える」こと)って考えだったり、さらには自然観や神についての考え方だったり、いろいろと示唆に富んだ指摘は多く、けっこうハッとさせられる。個人的に好きだったのは、フィリピンの民話に出てくる怠け者、「ホアンタマ」のハナシ。ホアンタマは毎日寝転がって天を向いて口を開けていると、上からパパイヤやマンゴーが落ちてきて楽園のような暮らしをしてる怠け者のことで、フィリピンではネガティヴなモノらしいんだけど、福岡氏はそれこそ素晴らしいライフスタイルだし、そういう民話があるフィリピンはもともとパラダイスのような土地だったんだ、と。すごくいいハナシだなぁ、と。
人間なんかは最後の、地球に緑がなくなって自然が滅びたときに人間も滅びる、その最後の幕引き役として生まれてきた動物ではないか。
福岡氏のこの言葉は、巷で安易に使われてる「地球にやさしく」的なキャッチ・フレーズではまるで言い表してない、「環境問題」の本質をついてる気がする。

なんか、この人、アレステッド・デヴェロップメントのババ・オジェイとイメージがダブる。いるだけでいいっていうか、いるだけでありがたいっていうか。

2008/12/09

Written blues.

『人種の問題コーネル・ウェスト 著 山下 慶親 訳
新教出版社 ★★ Link(s): Amazon.co.jp

前にアルバム "Never Forget: A Journey of Revelations" をレビューしたプリンストン大学宗教学部教授、ドクター・コーネル・ウェストが LA での暴動の翌年の 1993 年に発表し、これまでに 50 万部以上のセールスを記録してベストセラーとなった著作で、原書の出版から 15 年の時を経てやっと邦訳・出版された。原書のタイトルは "Race Matters" で、単に「人種にまつわる問題」という意味と「人種こそが重要な問題だ」という意味のダブル・ミーニングになっている。

学術書でありながら数十万部を売り上げている書籍が 15 年間、邦訳・出版されていなかったのは、ひとえに、表層的にはその影響を享受したり、盲信したりしていながら、本質的には人種の問題に対して無関心であること以外の何物でもないと思うけど(これがウサン臭いビジネス本だったら絶対すぐに出版されたはず)、今回、出版が実現したのは、ちょっと考えれば簡単に想像できる通り、アメリカ大統領選挙におけるバラク・オバマの躍進という「タイムリーなトピック」があったからだとか(訳者のあとがきにそう記されてる。ちなみに、その段階ではまだ選挙結果は出ていなかった)。邦訳・出版が実現したことを喜んでいいのか、こういうことでもないと 15 年間、放置されてるっていう状況を嘆けばいいのか、相反する考えが入り交じったとても複雑な心境。個人的には、15 年前と言えば、大学のゼミで「アフロ・アメリカンの政治文化」を学んでて、論文を書いてた時期だっただけに、出版されてればすごくタイムリーだったのに、なんて 15 年の時を経て思いつつ、まぁ、ともあれ、出版されたこと自体は素直に喜びつつ、早速読んでみた。

2008/12/02

A touch of universe.

ユニバソロジの世界観』
 ー『未来創発Vol. 14Vol. 15Vol. 16Vol. 17 より

. :毛利 衛 著(
野村総合研究所★★

前のエントリーで取り上げた
果てしない宇宙のなかで思う未来のことのレビューでも触れた野村総合研究所の広報誌『未来創発』の Vol. 14Vol. 15Vol. 16Vol. 17 に掲載された毛利衛さんの全 4 回のエッセイ(それぞれリンク先に PDF で公開されてる)。『果てしない宇宙のなかで思う未来のこと』の中で毛利さんが触れてた「ユニバソロジ」の世界観に沿って書かれてて、「つながり」「携帯電話」「挑戦」「自然への気づき」をテーマにしてる。

「ユニバソロジ(universe + -logy = universology)」というのは、『果てしない宇宙のなかで思う未来のこと』の中では毛利さんが自分で考えた造語って言ってるんだけど、英英辞典や英語版のウィキペディアなんかをちょっと調べてみたところ、言葉自体は以前からあったみたいで、完全に毛利さんのオリジナルって言えるかどうかは確証はないけど、少なくとも毛利さんは英英辞典に載ってる 'The science of the universe, and the relations which it involves.' って意味よりもだいぶ拡大したイメージで捉えてるっぽい。

果てしない宇宙のなかで思う未来のこと』の中で毛利さんと対談した作家の瀬名秀明が見事に「ユニバソロジ」のイメージを要約してた(そして毛利さん自身、「使わせて欲しいほどいい表現」と言ってたほど的を得てるらしい)言葉によると、「自然現象の時間とか空間とかいろいろスケールの違 うものを、自分の心の中で比較したり組み合わせたり融合させたりすることによって、地球上で暮しているだけ では見えてこなかった違った観点を ー 無意識のうちに感じてるのかもしれないけれど気が付かないようなものを ー 気付かせるような発想」。キーになるのは時間と空間の感覚で、それはこのエッセイの根底にも流れてる。個人的には「顕微鏡の中に見える細胞と、ふと見上げた丸い窓から見えた地球がすごく似てた」というエピソードがすごくツボだった。

このエッセイは、野村総合研究所の広報誌って媒体の特質、及び見開き 2 ページ x 4 回ってスペースの都合上、それほど深いハナシにはなってなくて、わりとマジメで具体的な例を挙げながら、「触り」の部分を紹介してるって感じだけど、入り口としてはなかなか面白いし、もっといろいろ知りたくなってくる。

あと、直接関係ないけど、この『未来創発』って、最近は川崎和男先生のコラムが載ってたりして、なかなか面白い。さっき、「野村総合研究所の広報誌って媒体の特質」って書いたわりに、実はどんな媒体なのかよくわかってないんだけど。実物を見たことないし、どんな人が読んでるんだかイメージしにくい。まぁ、堅い感じは伝わってくるけど。でも、内容はけっこう興味深かったりするし、バックナンバーも含めて記事がウェブ上にアーカイブされてるのもありがたいし。更新情報を RSS 配信してくれてるともっとありがたいんだけど。

2008/11/24

Realized as you surf.

『サーフリアライゼーション』
 ジェリー・ロペス 著 岡崎 友子・中富 浩 訳 (美術出版社
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

伝説のサーファーとして知られる「ミスター・パイプライン」ことジェリー・ロペスが「サーファーとしてのライフスタイル」を綴った著作で、パタゴニアから今年出版された "Surf Is Where You Find It"(ボックス入りの豪華版もあり)の訳書。原題は「サーフ(≒いい波)なんて、自分次第でどこにでもあるんだよ」みたいな意味だと思うけど、日本語のタイトルにしにくかったからか、訳書はタイトルを変更してる。

訳書のタイトルとなった「サーフ・リアライゼーション(surf realization)」ってのは、「サーフィンから学んだこと(そして、サーフィンでなく、人生の中でも役立つこと)」という意味で本文中に何度も登場する言葉。日本語として伝わりやすい言葉ではない(タイトルを見て意味がすぐに伝わりにくい)とは思うけど、とても象徴的な意味合いで使われてる言葉なので、それをタイトルに使ったのはすごくいい判断だと思う。ただ、それを補完したかったんだろうけど、「サーフィンの神様、ジェリー・ロペスが綴るライフスタイルストーリー」ってサブ・タイトルはどうなんだろ? 超違和感を感じる。日本人は無闇且つ安直に「神様」って言葉を濫用(乱用)するけど、そんなに簡単に使っていい単語じゃないと思うし。これを知ったら、本人はどう思うんだろう? これだけはガッカリ。

An aloha lifestyle.

Coyote No.12 特集 ジェリー・ロペスの静かな暮らし 
(スイッチ・パブリッシング ★

2006 年発行で、発売当時に読んだ号だけど、今年出版されたジェリー・ロペスの著書『サーフリアライゼーション』を読むに際して、読み直したのであらためてレビューを。

取材が行われたのは、現在、彼が住むオレゴン州のベンドという街。オレゴン州は太平洋に接しているけど、ベンドはカスケード山脈を越えた東側にある。つまり、ハワイアンであり、伝説的なサーファーであるジェリーが海のないセントラル・オレゴンに住んでるってこと。それだけでも十分興味深い。もともとは奥さんが気に入った土地らしいけど、今ではスノーボードを楽しみつつ、時にはカスケード山脈を越えて海に出たり、川でリバー・サーフィンをしたりしてるらしい(ジャック・ジョンソンのミュージック・ビデオにも使われてる場所なんだとか)。


 メインとなるのは、ベンドの街でジェリーとともに過ごしながら行われた長いインタビュー記事。両親のことや家族のこと、ハワイのこと、ベンドのこと等、いろいろなことを語っているそのインタビューの中で、「サーフィンの魅力は何ですか?」というストレートな質問に対してジェリーは「待つことにある」と答えてるのがとても印象的だった。曰く、「サーフィンの本質は 99%、待つことにある。そして自分と対峙することかもしれない」「待つことは禅に似ている。人は荒立っていたら待ってはいられない。内なる平安がないと待ってはいられない」と。

2008/10/30

Culture and role.

Google との闘い ― 文化の多様性を守るために

. :ジャン-ノエル・ジャンヌネー 著
. :佐々木 勉 訳(岩波書店

フランスの国立図書館の元館長で、ミッテラン政権の通商政務次官もと務めたという著者による、グーグルに象徴されるアメリカ(≒英語)主導のインターネット界のグローバリゼーションに関して、主に Google Book Search を例に挙げて、その裏に孕んでいる画一化の危険性に対して警鐘を鳴らしている一冊。原著("Quand Google défie l'Europe: Plaidoyer pour un sursaut")は 2005 年、訳書は 2007 年の出版で、ちなみに原題は「グーグルがヨーロッパに挑むとき ー 驚愕の理由」という意味だとか。

まぁ、言わんとしてることは解る。ある面で正しい。でも、簡単な問題でもない。グーグルに関するいろいろな本などを読む限り、Google Book Search の「過去に出版された書籍に含まれている膨大な量の情報をデジタル・データ化して検索可能にしたい」という欲求は、グーグルの創設者のふたりにはかなり昔から強くあると思われる。しかも、かなり純粋且つアカデミックなレベルで。たぶん、そこには悪意はない。ただ、悪意がなければいいのか、というとそうでもないのが難しいところ。その辺のことを指摘してるんだと思います。著者の立場は当然、フランス人であり、フランス語圏の人間であり、ヨーロッパ人である、というところ。「ヨーロッパは、市場のために重要なルールを都合よく曲げることさえ辞さないアメリカを理解するうえで、絶好の位置にある」と述べているように、インテリなアメリカ人特有の考え方や価値観がそのままグローバル・スタンダードになってしまうことに危惧を抱かざるを得ないという著者の立場は、英語圏どころかアルファベット圏でもない日本人なら容易に理解できるし、私企業であり、収益を広告に依存しているグーグルのビジネス・モデル自体が内在している危険性も理解できる(大企業に有利になりやすいし、ポピュリズム的な単純化の傾向を促進する可能性もある)。要するに、インターネットの世界(が本来持っていたはず)の公共性と多様性をどのように担保していくのか、ということなんだろうけど、これに関してはもちろん簡単なハナシじゃないし、単純でパーフェクトな解決策があるわけでもない。官と民のバランスと役割の問題でもある。これはグーグルに限らず、マイクロソフトなんかにも言えることだろうし、もっと言えば、インターネットの世界に限ったハナシでもない。政治・経済・文化等、あらゆる分野に言えることだし、「全世界アメリカ化」的な経済の動きが大きな破綻をきたしている今、なおさら強くそう感じるし、その傾向に大きな変化が生じる時なんじゃないかとも思ったりする。

本書を読んで強く感じたのは「それぞれの国や文化が持つ役割」ということ。新しいことを効率重視でドンドン推し進めちゃうのがアメリカの役割なら、ちょっとヒネくれた目でそれを注視して、違う見方を示すのはフランスの役割。アメリカには、アメリカという「若い」国が掲げる(ざるを得ない)理念という価値判断基準があるし、フランスには、アメリカにはない長い歴史の中で育まれたフランスならではの価値判断基準がある。アメリカっていろいろ面白いものを生み出してきた国ではある。でも、やっぱり歴史が短いし、国としてのベースが脆弱だから、どうしても理屈っぽくなったり、数値に頼りすぎるところがあると思うんだけど、それは必ずしも正解ではないと思うので。アメリカ人の考える「合理性」が、他の国の人にとって必ずしも「合理的」であるとは限らないので(「合理的」って「効率がいいこと」と同義語だと考えられがちだけど、本来は、文字通り「理性に合う」という意味なので。そして、「理性」は必ずしも「効率」と合致するとは限らない)。グーグルに代表されるシリコン・バレーに関しても、いい面もたくさんあるけど、足りない部分もいっぱいあると思うし。その点、フランスをはじめとするヨーロッパ諸国には、理屈じゃないレベルでの価値判断基準、歴史と文化の中で育まれてきた価値判断基準があると思うし、フランスなんかはその筆頭だと思うので(その主張の強さも含めて)。どっちが正しいとかではなくて(著者もグーグルを全面的に批判しているわけではない)、こういう意見がキチンと主張されることだったり、それが考慮されうることってのは、とても大切だな、と。もちろん、ヨーロッパ以外の国でもそういうモノを持っている国はあるし、日本にも日本ならではの価値判断基準があるはずなんだけど、ホントは。まるで役立てられてない気がするけど。残念ながら。日本は逆に孤立化に向かっている気もするし。安易にグローバリズムに流れるのはどうかと思うけど、一方で、世界の多様性を見ずに狭い世界に閉じこもってそれがすべてであるかのように振る舞うのもまたとても危険なことなわけで。この辺は、肝に命じておかなければならない日本の重大な問題な気がする。

最後に、具体的な指摘で面白いかった点をいくつか。
  • まず「現在まで、書籍は(出版者自身の広告を除けば)広告を含まない唯一の情報媒体だったということを思い出して欲しい」ということ。言われてみれば当たり前だけど、これは書籍の特殊性を理解する上で忘れちゃいけないことかも。
  • 図書館員や書店の店員の重要性がなくなるどころか大きくなる、って指摘もすごく大事。アルゴリズムはそこまで万能ではない、と。これは、アマゾンの「おすすめ商品」とか iTunes Store の 'Just For You' あらため 'Genius サイドバー'(既に持っている曲の傾向に合わせた別の曲をお薦めしてくれる機能)のような、購入履歴等のデータを基にしたアルゴリズムを用いた「パーソナライズド・リコメンデーション」の精度を考えればわかる。悪くはないし、それなりに役には立つけど、例えば、行きつけのショップの店員とか、プロのコンシェルジェに敵わないわけで。専門的で幅広い知識を持った図書館員や書店の店員は、一流のコンシェルジェとして扱うべきだし、そうあって欲しい。あと、こういうハナシをするときにはハードのハナシに偏りがちなので、そういう意味でも重要なポイント。
  • 分散コンピューティング的な手法を取り入えることを提案していること。最近、すごくいろんなところで見る「分散コンピューティング」。やっぱり何かあるかもな、と。確かに、ある種の公共性を持つプロジェクトは、多国籍な NPO / NGO 的な団体がこういう手法でやることが相応しいような気がする。資金源やクリエイティビティの問題はあるけど。
  • 「本は全体として設計されたもので、連続的または蓄積的に読まれるべきものである」という指摘。これはとても大事なポイント。きっかけとして部分的に見れることは有益だけど、それだけで安易に「わかった気になる」ことはすごく危険だし、インターネットの世界では、この問題はすごく大きな問題だと思う。
  • 「読書を通じて己を磨くには、読むだけでは不十分だ。我々は本に書かれている社会に出ていかなければならない」というジュリアン・グラックの『偉大な道への切符』からの引用も重要なポイント。頭でっかちになるなよ、と。
トータルで考えると、現状ではグーグルがベストであるのは、たぶん間違いない。いろいろなサービスにおいて。でも、「現状では」ということと、グーグルがどういうものかということは、常に頭に入れといて、動向は見ておく必要はあるし、他の選択肢も持っておく必要もある、と。そういう当たり前の結論にしかならない。特にこの世界の「常識」なんて、アッという間に変わっちゃうから(検索はヤフーが「常識」だった時期もあるし)。一番危険なのは、盲目的・近視眼的になって与えられた情報を鵜呑みにすることだってこと。結局、得た情報を解釈するのは人間の仕事だから(残念ながら、アルゴリズムは「解釈」はしてくれないから)。

2008/10/29

Good, old things.

『智慧の実を食べよう。』
 糸井 重里 / 吉本 隆明 / 谷川 俊太郎 / 藤田 元司 / 詫摩 武俊 / 小野田 寛郎 著
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『智慧の実を食べよう 学問は驚きだ。』
 糸井 重里 / 岩井 克人 / 川勝 平太 / 松井 孝典 / 山岸 俊男 著
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だいぶ前に読んだ本だけど、最近読み返してみたら、やっぱりとても面白かったので、あらためて。

日本屈指のモンスター・サイト、ほぼ日刊イトイ新聞が主催したイベントの模様を収めた本。「出口の見えない時代だからこそ、長老の話を!!」というテーマで開催されたイベントで、講演した詫摩武俊(心理学者)、吉本隆明(詩人・文芸評論家)、藤田元司(野球解説者)、小野田寛郎(小野田自然塾理事長)、谷川俊太郎(詩人)の 5 人の合計年齢は 378 歳。6 時間に渡って行われた伝説のイベントなんだとか。その辺の事情は知らずに読んだんだけど、確かに内容はとても面白くて、示唆に富んでて、心に染みる。やっぱり伊達に年をとってるわけじゃないというか、年寄りの話は面白い。実際に話した口調をそのままテキスト化しているので、文体も柔らかくて読みやすい。人選の妙だけでなく、この辺のサジ加減の絶妙さはさすがに糸井重里かな、と。