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2012/08/20

Blue lines for cycling blues.

都道 431 号線(水道道路)西新宿 4 丁目 〜 泉南間 自転車専用レーン ★★★★☆

これまでにも、前にレヴューした『銀輪の巨人 ジャイアント』のレヴュー『自転車はここを走る!』のレヴューをはじめとして、自転車関連のエントリーでたびたび触れてる通り、残念ながら日本は自転車文化後進国で、なかなか気持ちよく自転車で走ることができないのが現状なんだけど、そんな中で、(個人的に知る限り)数少ない '良い施策' のひとつが、右の写真の自転車専用レーン。存在はちょっと前から知ってたし、評判は割と良かったんだけど、実際に走ってみたら、思ってた以上に走りやすくてビックリした。

見ての通り、特別なことをしてるわけじゃなくて、道路交通法で定められてる通りに車道の左端を走りやすくするように、白線を引き、ブルーに塗られ、自転車専用と書かれてるだけ。たったこれだけのことで、ビックリするくらい走りやすい。幅もこれだけあれば十分だし、他の道路でよくあるように(車道の左端ではなく)路肩に追いやられる心配もない。ズバリ、コレが正解なんじゃないかって思っちゃうくらい。

2012/03/22

Simple ideas. Clear visions.

『EARTHLING 地球人として生きるためのガイドブック』
 Think the Earth 編 (ソル・メディア)★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


去年の年末に発売された書籍で、ベースになっているのは、編者になっている Think the Earth が去年の 7 月 30・31 日に開催したイベント、'EARTHLING 2011' の内容を書籍化したモノ。ある種、議事録的な書籍なんだけど、イベントに行けなかったので、なかなか楽しんで読めたかな。

'earthling(アースリング)' ってのは '宇宙人' って言葉に対する概念として '地球人' という意味で使われる言葉で、ロバート・A・ハインラインの 1949 年の SF 小説『レッド・プラネット』(Links: Amzn / Rktn)で使われたのが最初なんだとか(未読だけど)。

イベントには '地球人大演説会' ってサブ・タイトルが付いてて、さまざまなジャンルで 活躍する 30 人のアースリングたちが 1 日 15 人・それぞれ 15 分ずつヴィジュアル・プレゼンテーションを行った、と。プレゼンテーションは Ustream で配信され(いくつかはリアルタイムで観た)、アーカイヴもかなりの本数が残されてるんで、プレゼンテーションの内容を確認することもできるようになってる。

30 人のリストもオフィシャル・サイトで確認できるんだけど、このリストの中には 元サッカー日本代表監督(もちろん、我らが横浜 F・マリノスをリーグ連覇に導いた監督でもある)の岡田武史氏とか、このサイトでもこれまでに何度か取り上げてる作家・写真家の石川直樹氏とか、ガンダムの原作者の富野由悠季氏とか、前にレヴューした虹の戦士翻案者の北山耕平氏とかの名前があって、これだけでも十分魅かれちゃう感じだった。冒頭には、Think the Earth プロジェクトの理事長の水野誠一氏と脳科学者の茂木健一郎氏の対談なんかもあるし。

2012/03/03

Mo' cycling blues.

『自転車はここを走る!』疋田 智・小林 成基 著(エイ出版社)★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


サブ・タイトルに「自転車で安全に走るためのガイドブック」って付いてる通り、昨今の、特に去年の警察庁による自転車の車道通行厳格化の通達以降の日本の危機的な自転車状況の異常性を指摘し、警笛を鳴らしつつ、現実的にどのように自転車に乗ったらいいのかについてまとめられたムックで、著者は NPO 法人・自転車活用推進研究会の理事の疋田智・小林成基の両氏。これまでにもこの手の本はなるべくチェックするようにしてて、でも、その多くはけっこうイマイチな印象なモノが多いんで、あまり期待しないで読んでみたんだけど、正直、期待以上のないようだったかな。

これまでにも自転車関連のレヴューはちょこちょこしてることからもわかる通り、個人的にすごく興味がある(っつうか、危機感を感じてる)テーマでもあって、でも、なかなか「コレ!」ってソリューションがなくてモヤモヤしてるんだけど、本書にはリアリティのあるレベルでのヒントがけっこう含まれてたかな。ちょっと大袈裟な言い方をすると、自転車に乗ってる(及び乗りたいと思ってる)人は、とりあえずプロローグだけでも読んでおいたほうがいいんじゃないかなって思ったくらい。値段も ¥680 とリーズナブルだし、プロローグだけなら楽天ブックスの 'チラよみ' でも読めるし。日本の自転車事情がいかに異常かがわかるんで(ホントは自転車に乗らない人にも知らしめたいんだけど。でも、後述するように、コレはコレで別の大きな問題だったりする)。

最大のポイントは、上に書いた「現実的にどのように自転車に乗ったらいいのか」の '現実的に' の部分。ただ理想を語るんでも、ただ現状の問題点を指摘(糾弾?)するんでもなく、どちらの要素も含みつつ、あくまでも、これだけトンチンカンな自転車事情の中で現実的にどう自転車に乗るべきかを、自転車乗りのリアルな視点で描かれてること。つまり、白と黒をわかった上で、'グレーな部分' を現実的な対処法として示して(+ 肯定して)るってことなんだけど、'グレーな部分' を 'グレーな部分' としてキチンと述べてるモノって、この手のモノでは実はなかなかないので。そういう意味ではそれ自体が希有だし、ただキレイごとを並べてるような本よりもよっぽど誠実だし、同時に、メチャメチャ現実的でもあり、故に実用的でもある。

2012/01/22

A great study on hip hop.

『ヒップホップはアメリカを変えたか?』
 S・クレイグ・ワトキンス 著 菊池 淳子 訳 (フィルムアート社) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

2005 年に出版された "Hip Hop Matters: Politics, Pop Culture, and the Struggle for the Soul of a Movement"(Link: Amzn)の訳書で、邦訳の出版は 2008 年。著者のS・クレイグ・ワトキンス(S. Craig Watkins)はテキサス大学(ラジオ / TV / フィルム学部)准教授で社会学アフリカン・アメリカン文化研究を専門にしているという学者なんだけど、エピローグにある記述によると、この本を書くための調査・研究した期間は大学院に在学してた時期らしく、テキサス大学のオフィシャル・プロフィールには生年月日は載ってないけど、けっこう若手の研究者ってことになるのかな。

訳書のサブ・タイトルに「もうひとつのカルチュラル・スタディーズ」、原書には 'Politics, Pop Culture, and the Struggle for the Soul of a Movement' とある通り、ヒップ・ホップ・カルチャーの社会的な側面を考察した本で、ヒップ・ホップに限らず、アフロ・アメリカン・カルチャーを取り上げたこの手の本はわりと好きなんで、なるべく読んでみるようにしてるんだけど、個人的にこの本に魅かれた理由は 2 点ある。ひとつは著者が若く、ヒップ・ホップ・カルチャーとともに育ったヒップ・ヒップ・ホップ世代であること。もうひとつは、出版されたのが 2005 年であり、わりと新しい情報までカヴァーされてること。

この手の本で、(最近のシーンの動きまでわりとスムースにつながる)2000 年以降の動きまで触れてるものは、日本語で読めるモノではそれほど多くないし、しかも、それを書いてるのがヒップ・ホップ・カルチャーをリアルタイムで体験してきた世代っていうのも興味深い。

それでいて、研究者が書いた本とは思えないような読みやすさも維持しつつ、いわゆる 'シーンの中の人' が書いたモノにありがちな閉鎖性というか、「当事者に本物と認められる」ために気を遣いすぎたりもしてないし、ヒップ・ホップの歴史もキチンとカヴァーしながら、ファッションやビジネス等の周辺部分にも言及しながらまとめられてる点も評価できるし。気になる点がまったくないってわけじゃないけど、期待以上に読み応えはあった印象かな。

2011/12/05

Be thankful for what you've got to be.

"DON'T BUY THIS JACKET" Black Friday / Cyber Monday Ad (Patagonia) ★★★★★ 
 Link(s): The Cleanest Line website (English / Japanese)

先月のアメリカの感謝祭の翌日のブラック・フライデーにパタゴニア(Patagonia)がニュー・ヨーク・タイムズ(New York Times)に掲載した広告。週明けの月曜日、いわゆるサイバー・マンデーにも同内容のメール・マガジンが送信された(右の写真はメール・マガジン版)。

見ての通り、上部にドン! と書かれてるメイン・キャッチコピーは 'DON'T BUY THIS JACKET'。まぁ、普通に考えれば、小売業の企業が使うキャッチコピーとは思えないような、ある種、ちょっと挑発的な(?)言葉遣いが、すごく印象的でパタゴニアらしい広告。目的は、当然、大量(過剰)消費が自然環境に与える負荷についての意識を高めるために、購買の必要性について考えることを促すモノ。アメリカで消費が爆発的に増える感謝祭のタイミングに合わせて行われた。

ちょっと時間が経っちゃったし、感謝祭って日本ではイマイチ馴染みがないんでそれほどピンとこない類いの話題かもしれないけど、個人的にはすごく気になる動きだったんで、メモを兼ねて。

2011/11/05

United we stand. Fight the power.

RAHEEM DEVAUGHN "Freedom Fighter" (368 Music Group) ★★★★☆ 
Link(s): Bandcamp

2008 年にグラミー賞の最優秀男性 R&B ヴォーカル・パフォーマンス部門でノミネートされたことでも知られるアメリカの実力派 R&B / ソウル・シンガー・ソングライター、ラヒーム・デヴォーン(RAHEEM DEVAUGHN)によるミックステープ。Bandcamp のページで公開されていて、無料でストリーミング / ダウンロードできる。

コンセプトとして 'Power to 99% of the people.' って言葉が掲げられてる通り、ウォール・ストリートで始まり、アメリカ国内だけでなく世界各地に広がっている 'Occupy' ムーヴメント(日本語だと「XXXXX を占拠せよ!」って表現されてるのかな?)に呼応し、その動きをサポートするサウンドトラック的な内容で、曲の合間にコーネル・ウェスト(CORNEL WEST)やルイス・ファラカーン(LOUIS FARRAKHAN)、マーティン・ルーサー・キング Jr.(MARTIN LUTHER KING JR.)のスピーチが挟まれているなど、政治的なメッセージ色が濃い。

具体的な構成としては、いわゆる 'ミックステープ' という体裁ではなく、無音状態なく曲をつなげている感じで、DJ マネー(DJ MONEY)がシークエンスを担当してる。収録曲は別に新曲ってわけではないんだけど、ジル・スコット(JILL SCOTT)やビラル(BILAL)、アンソニー・ハミルトン(ANTHONY HAMILTON)、ドウェレ(DWELE)、リュダクリス(LUDACRIS)、DJ ジャジー・ジェフ(DJ JAZZY JEFF)等、収録曲には豪華なゲストが参加してるし、ラヒーム・デヴォーンの音楽性と政治的なスタンスがよくわかる仕上がりで、なかなか聴き応えがある。

2011/08/27

Mind the gap.

『地球の論点 ー 現実的な環境主義者のマニフェスト』
 スチュアート・ブランド 著 仙名 紀 訳 (英治出版) ★★★☆☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp

著者紹介に '未来学者' なんて肩書きが書かれてるスチュアート・ブランド(Stewart Brand)の最新作で、今年の 6 月に出版されたモノ。

原著は 2009 年出版の "Whole Earth Discipline: An Ecopragmatist Manifesto"(Links: iTS / Amzn)なので、タイトル周り的にはかなり直球っていうか、あまり奇を衒ってない感じで、変なタイトルの訳書が多い中で、なかなか良心的な印象(ただ、帯はちょっとやりすぎ感があるけど)。

タイトルと著者名でわかる人にはわかる通り、著者のスチュアート・ブランドは、1968 年から出版されてた伝説の雑誌、"Whole Earth Catalog" の発行人・編集者として著名な人物。特に、アップルのスティーヴ・ジョブズ(Steve Jobs)が 2005 年 6 月にスタンフォード大学で行った卒業生向けのスピーチ(iTunes でポッドキャストとして公開されてる)で、若い頃に強く影響を受けた雑誌として名前を挙げたことで近年、あらためて注目を集め、特に、"Whole Earth Catalog" の最終号で使われた "Stay hungry, stay foolish." って台詞は、スピーチの締めくくりの言葉として印象的に引用されたこともあって、すごく有名になった。

2011/07/30

Life as travel. Travel as life.

"180° SOUTH" クリス・マロイ 監督(キングレコード) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp (DVD / Blu-ray)

かなり前にジャック・ジョンソン(JACK JOHNSON)主宰のレーベル、ブラッシュファイア(Brushfire)からリリースされたサウンドトラックをレヴューしてた映画『180° South(ワン・エイティ・サウス) 』。劇場公開時に観ててレヴューし忘れてたんだけど、DVD がリリースされてたんで。DVD はまだ観てないんだけど、でも、また観たい、っつうか、いつでも観れるように持っていたいって思える映画なんで。まぁ、個人的には、DVD ってメディアはキライなんで、できれば iTunes Store で販売・レンタルしてもらえたほうがいいんだけど(現時点では iTunes Store にはないらしい)。

映画は、パタゴニア(Patagonia)の創業者のイヴォン・シュイナード(YVON CHOUINARD)とザ・ノース・フェイス(The North Face)の創業者のダグ・トンプキンス(DOUGLAS TOMPKINS)の 2 人が 1960 年代(つまり、それぞれのブランドを始める前)に行ったパタゴニア地方への旅を今、あらためてトレースしたドキュメンタリーで、サーフ・ドキュメンタリーの傑作 "Thicker Than Water"(Link: Amazon.co.jp)で知られるクリス・マロイ(CHRIS MALLOY)が監督を務めてる。

2011/07/13

Hackers' delight.

『ウィキリークス アサンジの戦争』
 デヴィッド・リー / ルーク・ハーディング
 月沢 李歌子・島田 楓子 訳 (講談社) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp

2007 年にイラク駐留アメリカ軍ヘリコプターがイラク市民・ロイターの記者を銃撃・殺傷した様子が映っている動画、いわゆる 'アパッチ・ヴィデオ' を 2010 年 4 月に公開したこと一躍、世界中の注目を集め、その後のアメリカの外交公電の公開や逮捕劇など、瞬く間に世界情勢に大きな影響を与える存在となったウィキリークス(WikiLeaks)とその創設者のジュリアン・アサンジ(Julian Assange)について、ウィキリークスともっとも親密な(でも、決して馴れ合いではない)関係を築いてきたイギリスの新聞『ガーディアン(The Guardian)』紙の記者が綴ったモノで、出版は原著("WikiLeaks: Inside Julian Assange's War on Secrecy")・訳書ともに 2011 年。今年に入ってからたくさん出版されてるウィキリークス関連の書籍のひとつってことになる。

最大のポイントは、著者が他のメディアに先んじてウィキリークスと協力体制を築いてた『ガーディアン』の記者である点。当然、他メディアでは知り得ないような記述が多くて読み応えは十分。アサンジの生い立ちやキャラクターから始まって、ウィキリークスの設立過程や一連の 'アパッチ・ヴィデオ' 〜 'ケーブル・ゲート' と呼ばれるアメリカ外交公電の公開〜逮捕劇に至るまでの流れをカヴァーしつつ、ウィキリークスが果たした役割や課題、'ウィキリークス以後' の世界でのメディア・個人の在り方みたいな部分まで触れられているんで、バランス良く概要を掴むのにももってこい。読み物としても適度に客観的でありながら、著者(たち)自身がプレーヤーでもあるので、適度にドラマチックに、'読ませる' 感じにまとまってて、決して軽いわけじゃないんだけど、思いの外、すんなりと読めちゃった印象かな。読み物として普通に面白いというか。

2011/06/18

The legendary bluesologist.

GILBERT 'GIL' SCOTT-HERON (Apr 1, 1949 - May 27, 2011) - Rest in peace, brother.

もうけっこう時間がたっちゃったけど、先月 27 日にギル・スコット・ヘロン(GIL SCOTT-HERON)の訃報が伝わってきた。

ギル・スコット・ヘロンといえば、アフロ・アメリカン・カルチャーを代表する詩人であり、作家であり、ミュージシャンであり、ある種のアクティヴィストであり、ラップに多大な影響を与えたことで知られてるアーティスト。訃報はまず Twitter で知り(最近、このパターンが多い)、その後、Google News で(主に英語ソースの)各種報道を併読して詳細を確認したところ、死亡した事実と人物紹介はされてるものの、どうも、詳しい死因は報じられてないっぽい。享年 62 歳。思ってた印象よりも若い。

個人的にはメチャメチャ好きなアーティストの 1 人なんで、そういう意味では、もちろん、すごくショックだし悲しいんだけど、一方で、死亡したって事実自体にはそれほど驚かなかったって面もあったりして(年齢を考えると、もちろん、若すぎるとは思うけど、そもそも、もっと年齢が上だと思ってたんで)、一見相反するような感情が共存するような、ちょっと変な気持ちだったりもしてる。

2011/05/02

Earth day. Earth music.

SOUL FLOWER ACOUSTIC PARTISAN Live at Earth Day Tokyo 2011 ★

4 月 24 日(日)に代々木公園の野外音楽堂で行われたアース・デイ東京 2011 でのソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン(SOUL FLOWER ACOUSTIC PARTISAN)のフリー・ライヴについて。

ソウル・フラワーのライヴを観るのはいつぶりだろう? ってくらい久々だったけど、結論としては、とても素晴らしいライヴで、やっぱ、地力のあるバンドは違うなぁ、ってのが率直な感想。演奏自体は 10 曲程度だったんで、 ライヴとしての評価っつうか、レヴューって感じなのもどうかと思うし(星が 4 つなのもその理由から)、バタバタしてるうちに時間が経っちゃったけど、やっぱり、ちょっとグッときちゃったんで。

ちなみに、この写真は iPhone で撮ったモノなのでメンバーの様子はよくわからないけど、手前で菜の花が振られ、その奥に反核を訴えかける旗が振られる向こうでソウル・フラワーが演奏してるっていう、A311 の 2011 年 4 月というタイミングを象徴するような写真が撮れたので使ってみた。

2011/04/14

Mind the gap of the A311 anthem.

斉藤和義『ずっとウソだった』 ★ Link(s): Unofficial Website

4 月 7 日木曜日に YouTube で公開されて一気に話題になった斉藤和義の楽曲。動画の削除と拡散のイタチごっこを繰り返しつつ Twitter などで拡散して、結果的に大きなニュースになったという意味ですごく現代的な現象だった。

もうすっかり知られてる通り、これは去年リリースされたシングル『ずっと好きだった』を原発政策・電力会社批判の辛辣な歌詞に変えたメッセージ・ソングで、『ずっとウソだった』ってタイトル自体もオフィシャルで発表されたモノじゃない。まぁ、一連の出来事の顛末はウィキペディアに まとめられてるのがわりとわかりやすいのであらためて詳しくは触れないけど。でも、なんか、一気に広がった反動からか、週末に都知事選であまりにもガッカ リしたからか、週が明けてからちょっと騒ぎが収まっちゃった感もあるんで、だからこそ、あえてレヴューを。この時期のトピックとして、どう感じたかをやっ ぱりキチンと残しとくべきだと思ったし、いろんな意味ですばらしい出来映えだと思ってるんで。まぁ、一言でいえば全面支持なんだけど。

2011/02/19

Stay wired. So weird.

サイバービア 電脳郊外が "あなた" を変える』 ジェイムス・ハーキン 著 吉田 晋治 訳
(NHK 出版)  Link(s): Amazon.co.jp

どっかの書店の店頭で見かけたのかな? タイトルに魅かれて読んでみた一冊(造語の語感は好きじゃないけど)。タイトルの 'サイバービア' は、'サイバー(cyber)+ サバービア(suburbia)'って意味の造語で、サブ・タイトルにある通り、'電脳郊外' みたいな意味。このタイトルを見て真っ先に思い出すのは「サバービアの憂鬱」って言葉だったりするんだけど、ロジカルな意味ではなくて、まず直感的なレベルでピンとくるというか、つながる感覚は、確かにある。

サバービアの憂鬱』ってのは大場正明氏が 1993 年に出した本で、'憂鬱' っていう通り、豊かな社会のある種の象徴的なイメージだったはずの '郊外' (インナー・シティやゲットーと対比した意味合いで)の '病んだ' 部分について、アメリカ社会の '郊外=サバービア' の発展過程やそこで生じている諸問題を多角的に検証して綴ったモノだったはず(だいぶ前に読んだんで、記憶にはイマイチ自信がないけど…)。でも、リアルタイムで観たり聴いたりしてきた映画や音楽等なんかのことを思い出せばその通りだったし、その裏返しがヒップ・ホップに代表されるアフロ・アメリカン・カルチャーだったりもする。しかも、今にして思うと、それはアメリカ社会に限られたハナシじゃなくて、(ちょっと形態は違うけど)自分がまさにリアルタイムで経験してきた日本社会においても十分リアリティがあったりする。今回、あらためて調べてみたら、ウェブサイトで全文(+ 追加テキスト)が公開されてたりするんで、読み直してみようと思ってるけど、まぁ、今回はそのハナシではないんで。

2011/02/12

New world order

日本人が知らないウィキリークス』
 小林 恭子 / 白井 聡 / 塚越 健司 /  津田 大介 / 八田 真行 / 浜野 喬士 / 孫崎 亨 著
(洋泉社) ★ Link(s): Amazon.co.jp 

あまり新書は読まないんだけど、これはタイミング的には読んどきたいかな、と。タイトル通り、去年から世界中を騒がせてるウィキリークスについて、その概要にはじまって、ジャーナリズム、インターネット / メディア、技術と思想、外交、理念等を、それぞれの専門家が綴ったモノ。あまりキチンと紹介されることがないウィキリークスについての概要を多角的に整理されている感じって言えるかな。

ウィキリークスの概要については、去年の 12 月にニコニコ動画(それにしてもヒドイ名前だな、こうやって活字で書くと)のこの動画と NHK の『クローズアップ現代』がなかなかわかりやすいんだけど、 やっぱり観終わってもキチンと整理されないっていうか、ちょっとモヤモヤした感じが抜けなくて。まぁ、ある意味、映像の宿命って部分もあるけど。概要を伝えたり、インパクトを与えたりするのには向いてるんだけど、深い理解はさせてくれない感じ。しかも、わかった気にさせちゃいがちだから厄介なんだけど。

2011/01/18

Hip as hip can.

ヒップ - アメリカにおけるかっこよさの系譜学』
 ジョン・リーランド 著 篠儀 直子 / 松井 領明 訳

(P-Vine BOOKs)  Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

去年の夏頃に訳書が出版されて、気にはなってたんだけど読めてなかった一冊。年末から年始にかけてっていう、ある種、1 年で最も読書に適した時期に読んでみた。

内容的には、サブ・タイトルにある通り、'ヒップ' っていう感覚がどういうモノで、どういうカタチで育まれて、どう変化して、現在のカルチャーにどんな影響を影響を与えてきたかについてディープに論じた著作。ページ数的にも情報量的にも内容的にも、かなり読み応えがある。

著者は、ヒップについて「元ヨーロッパ人と元アフリカ人が、この国で交わり踊った複雑なダンス」と語っている。'カッコイイ' って意味で使われてる 'ヒップ' っていう言葉が、どのように生まれて、どういう人・アティテュード・モノ等に対して使われてきたのかを知ることは、即ち、アメリカって国のことを他ならないってことを、とても端的に表してる。

2010/12/10

Deeper understandings. Shallower understandings.

ネット・バカ』 ニコラス・G・カー 著 篠儀 直子 訳(青土社)  
 Link(s): Amazon.co.jp  / Rakuten Books 

前にレヴューした『クラウド化する世界』の著者の新刊で、サブ・タイトルは「インターネットがわたしたちの脳にしていること」。原著は今年発行された "The Shallows: What the Internet Is Doing to Our Brains" なので、サブ・タイトルはほぼ直訳だけど、タイトルは相当な意訳。『クラウド化する世界』のレヴューでも書いたけど、けっこう悪質というか、正直、ヒドイ邦題だと思う(ちなみに、『クラウド化する世界』の原題は "The Big Switch: Rewiring the World, from Edison to Google")。

一応、本書の基になったのが "Is Google Making Us Stupid?"(「グーグルは我々をどんどんバカにしているのか?」って感じかな)って論文だからってエクスキューズが付いてるけど、それにしてもかなり印象が違うし、実際の内容とも違ってるし。せっかく、内容はわりと面白いのに。まぁ、著者や訳者じゃなくて編集社(編集者)がやってることだってのは解ってるけど、それにしてもセンス(と常識)を疑いたくなるし、単純に、こういうのって、なんか、すごいイヤな気分になる。

2010/11/24

Growth is addictive.

『経済成長なき社会発展は可能か?〈脱成長〉と〈ポスト開発〉の経済学
 
セルジュ・ラトゥーシュ 著 中野佳裕 訳 (作品社)  
 Link(s): Amazon.co.jp

何のキッカケで読もうと思ったか忘れたけど、すごく興味があったテーマなんで、本についても著者についても特に予備知識のないまま読んでみた一冊。かなり、手強い内容だったけど。

内容は、タイトルにある通り、「脱成長(デクロワランス / decroissance)」ってキーワードでこれからの社会の在り方を論じたモノ。著者はフランスを代表する経済哲学者・思想家のセルジュ・ラトゥーシュで、本書は 2004 年の『〈ポスト開発〉という経済思想』と 2007 年の『〈
脱成長(デクロワランス)〉による新たな社会発展』の 2 冊をまとめて、日本語訳のための序文が追加されてる。

基本的には、「経済成長」という信仰の呪縛から逃れ、「ポスト開発」ってプロセスを経て
「脱成長(デクロワランス)」って段階にいく(いかなければならない)というハナシ。まぁ、中身自体はかなり手強くて、正直なところ、読み終えてこんなに自分の理解度が低い感じがするのも久しぶりな感じなんだけど、でも、要所要所で、日頃、事あるごとに感じながらも、何故かほとんど指摘されない「経済成長に関する思考停止状態」へ明確に言及(というか批判)してくれてるので、読んでてなかなか気持ちいい。

2010/10/09

Words 2 words. World 2 world.

ゲバラ世界を語るチェ・ゲバラ 著 甲斐 美都里 訳 中央公論新社
 Link(s): Amazon.co.jp 

前のエントリー、10 月 9 日はジョン・レノンの誕生日だってことに触れたけど、そのジョン・レノンに「世界で一番カッコイイ男」と言わしめたエルネスト・チェ・ゲバラの命日でもある。亡くなったのは 1967 年なんで、別に切りがいい年なわけじゃないけど。そうは言っても、やっぱり区切りの日であることは間違いないんで、これまでにもチェ絡みのモノはいろいろレヴューしてきたけど、まだレヴューしてなかったモノを。

この『ゲバラ世界を語る』は、タイトルの通り、チェの演説や論文、インタビューをセレクトしてまとめたコンピレーション的な本で、まぁ、簡単に言っちゃうと、チェが自らの言葉で世界観を語った、クラシックなパンチライン満載の一冊ってことになる。


Nutopian minds. Nutopian people.

JOHN LENNON "Mind Games" (Apple / EMI)
Link(s): Amazon.co.jp / iTunes Store

今日、10 月 9 日はジョン・レノンの誕生日。1940 年生まれなので生誕 70 年ってことになる。なので、"Happy birthday, John" ってことで、ジョン・レノンのアルバムを。

この "Mind Games" は 1973 年リリースで、ザ・ビートルズ解散後にリリースした 4 枚目のソロ・アルバム。たぶん、一般的には、ジョンのアルバムの中でそれほど人気があるアルバムではないと思うんだけど、個人的には一番好きな 1 枚だったりする。

2010/10/06

Alone together.

孤独なボウリング 米国コミュニティの崩壊と再生
 
ロバート・D・パットナム 著 柴内康文 訳 柏書房
 Link(s): Amazon.co.jp 

けっこう前に読んでてレヴューし忘れてたんだけど、わりと興味深かった一冊。まぁ、700 ページ近くあるヴォリュームも、価格もなかなかヘヴィーなんだけど、内容も負けず劣らずなかなかヘヴィー。基本的にはアメリカの話だけど、日本人にとっても笑えない話だし。

原書は 2001 年に出版された "Bowling Alone: The Collapse and Revival of American Community" で、訳書も含めてまずタイトルに
かれちゃう。'Bowling Alone / 孤独なボウリング' ってなかなか秀逸なタイトル。一瞬、ちょっと違和感があって、でも、内容をキチンと示唆していて。まぁ、ご多分に漏れず、あまり基礎知識もなく、タイトルに魅かれて読んだんだけど。

内容的には、「米国コミュニティの崩壊と再生」という
サブ・タイトルの通り、現代のアメリカ社会でのコミュニティの崩壊について、その時期・背景・理由等を膨大な調査とデータを用いて分析したモノ。著者はハーバード大学の教授。経済行為に関わる '物的資本' や高等教育に関わる '人的資本' と並ぶ豊かな社会形成に不可欠な '財' である '社会関係資本' について述べられていて、著者は '社会関係資本' 論の第一人者なんだとか。