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2015/01/10

Art of building. Art of playing.

『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか』 ★★★★☆

 デビッド・C・ロバートソン / ビル・ブリーン 著 黒輪 篤嗣 訳(日本経済新聞出版社)

 Links: Amazon / Rakuten Books 


言わずと知れた世界的なおもちゃ / ブロック・ブランドのレゴ(LEGO / Link: website)に関する書籍で、2014年の春に出版されたモノ。原書は2013年に出版された "Brick by Brick: How LEGO Rewrote the Rules of Innovation and Conquered the Global Toy Industry"(Link: iTunes Store / Amazon / Rakuten Books)で、イノベーションや製品開発の研究を専門とするペンシルベニア大学の教授のデビッド・C・ロバートソン(David C. Robertson)とビジネス・メディアの『ファースト・カンパニー(First Company)』(Link: website)の創設メンバー / 編集主幹であるビル・ブリーン(Bill Breen)の共著。原書の「いかにレゴはイノベーションのルールを書き直し、世界の玩具産業を席巻したか」ってサブタイトルや著者2人の経歴だけでなく、訳書も「最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理」なんてサブタイトルで日本経済新聞社から出版されていることから予想できるように、基本的にはレゴというブロックの楽しさや素晴らしさ、その革新性や普遍性等ではなく、企業としてのレゴの経歴や製品開発といったビジネス面にフォーカスが当てられてる。

特に多くのページが割かれてるのは、存続すら危ぶまれるような危機的状況に陥ったレゴがどのように業績を回復したかという部分で、そのためにどんな策を採ったのか、何が成功して何が失敗したのか、その成功と失敗の原因は何だったのか等といった点を、'イノベーション' って言葉をキーワードにしつつ、レゴという企業(ブランド)固有の要素と業種を問わない普遍的な要素を整理しながら、さまざまなビジネスのヒントや教訓になるように一般化して述べられてる。まぁ、いかにもアメリカの学者やビジネス業界の人間が書いたビジネス書って言ってしまえばまさにその通りなんで、個人的にはそれほど好きなタイプの本ではなかったんだけど、レゴっていう研究対象自体が魅力的だし、思ってた以上に大きな紆余曲折があったし、単にユーザーとして見てただけでは気付かなかった点も多かったんで、思ったよりも楽しんで読めちゃった印象かな。あと、新しい書籍なんで、あまり意識的にはチェックしてなかった21世紀に入って以降の動きが整理・アップデートされてる点も魅力のひとつって言える。

2012/03/24

Music of hope.

ESPERANZA SPALDING "Radio Music Society" (Heads Up) ★★★★
Link(s): iTunes Store (Deluxe Edition / Standard Edition) /
Amazon.co.jp

これまでにも何度か取り上げてる才色兼備の女性ジャズ・ベーシスト / シンガー、エスペランサ・スポルディング(ESPERANZA SPALDING)のニュー・アルバムで、2010 年 8 月にリリースされた "Chamber Music Society" に続く通算 4 作目のアルバム。ゲスト参加してたニコラス・ペイトン(NICHOLAS PAYTON)のアルバム "Bitches" のレヴューで「個人的にトップ・クラスに好きな現代の女性ヴォーカリスト」って書いた通り、メチャメチャ好きなアーティストで、しかも、Q・ティップ(Q-TIP)が参加するなんて情報も事前に漏れ聞こえてきたんで(たしか、Q・ティップがそうツイートしてたんだったかな?)、リリース前からすごく楽しみにしてた。まぁ、前作リリース以降の一般的な知名度の急上昇っぷりにはちょっとビックリしてるけど(やっぱり去年のグラミー賞効果なのか? ちなみに、ジャズ・ミュージシャンの最優秀新人賞受賞は史上初なんだとか)。

先に結論を言っちゃうと、期待をまったく裏切らないバッチリな出来映えで、 素直にすごく完成度の高いアルバムに仕上がってる。ソングライティングも抜群だし、洗練されてて音楽性は高いんだけど頭でっかちではないアレンジも絶妙のバランスだし、彼女のチャーミングなヴォーカルも存分に活かさせれてるし。まさに 'エスペランサ' って感じかな。いろんな意味で。

2012/03/22

Simple ideas. Clear visions.

『EARTHLING 地球人として生きるためのガイドブック』
 Think the Earth 編 (ソル・メディア)★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


去年の年末に発売された書籍で、ベースになっているのは、編者になっている Think the Earth が去年の 7 月 30・31 日に開催したイベント、'EARTHLING 2011' の内容を書籍化したモノ。ある種、議事録的な書籍なんだけど、イベントに行けなかったので、なかなか楽しんで読めたかな。

'earthling(アースリング)' ってのは '宇宙人' って言葉に対する概念として '地球人' という意味で使われる言葉で、ロバート・A・ハインラインの 1949 年の SF 小説『レッド・プラネット』(Links: Amzn / Rktn)で使われたのが最初なんだとか(未読だけど)。

イベントには '地球人大演説会' ってサブ・タイトルが付いてて、さまざまなジャンルで 活躍する 30 人のアースリングたちが 1 日 15 人・それぞれ 15 分ずつヴィジュアル・プレゼンテーションを行った、と。プレゼンテーションは Ustream で配信され(いくつかはリアルタイムで観た)、アーカイヴもかなりの本数が残されてるんで、プレゼンテーションの内容を確認することもできるようになってる。

30 人のリストもオフィシャル・サイトで確認できるんだけど、このリストの中には 元サッカー日本代表監督(もちろん、我らが横浜 F・マリノスをリーグ連覇に導いた監督でもある)の岡田武史氏とか、このサイトでもこれまでに何度か取り上げてる作家・写真家の石川直樹氏とか、ガンダムの原作者の富野由悠季氏とか、前にレヴューした虹の戦士翻案者の北山耕平氏とかの名前があって、これだけでも十分魅かれちゃう感じだった。冒頭には、Think the Earth プロジェクトの理事長の水野誠一氏と脳科学者の茂木健一郎氏の対談なんかもあるし。

2012/02/11

Rappers' delight.

『HOW TO RAP 104 人のラッパーが教えるラップの神髄』
 ポール・エドワーズ 著 池城 美菜子 訳 (P-Vine Books)★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

去年の年末に出版されて、「こんな本、見たことない!」って一部で大きな話題になってた一冊。まぁ、これは読まない手はないだろ、と。

何でかっていうと、本自体は 100 人以上のラッパーに 'ラップの仕方' についての質問をして得られた返答をテーマごとにまとめたっていう、言ってみればスゲェ直球なモノなんだけど、その質問が「こんなこと、今まで誰も訊いてなかったよな?」って内容だったから。具体的には、「リリックを何所で書くか」とか「どんな道具で書くか」みたいな、「そんなこと、普通は改まって訊かねぇよなぁ」的なことから、実際にラップをやったことのない人間にはイマイチピンとこないようなテクニカルでマニアックな部分まで、すごく多岐に渡る質問が網羅されてて、その返答が「コンテンツ / 中身(CONTENTS)・フロウ(FLOW)・ライティング(WRITING)・デリバリー(DELIVERY)」っていう 4 つのテーマに分けてまとめられてる。

率直な感想としては、「こんな本、見たことない!」ってのは間違いない。ただ、誰にでもオススメかっていうと、ちょっとビミョーなところはなくはないかな。ある程度のヒップ・ホップ / ラップ・リテラシーみたいなモノを求められる気がするし。まぁ、それを踏まえた上でも、個人的には普通にヒップ・ホップ / ラップに関する読み物としてすごく面白く読めたんだけど。純粋にある種のエンターテインメントとして。あと、ちょっと堅い言い方をすると、'ラップ' っていうヴォーカリゼーション / 口頭文学表現(なんて言葉があるのか知らないけど。まぁ、文字ではなく音で聞かせる詩的・文学的表現ってこと)をより深く理解するための分析としてもすごく貴重だし。

2012/01/24

Running as human nature.


『なぜ人は走るのか』トル・ゴタス 著 楡井 浩一 訳(筑摩書房) ★★★★☆ 
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

民俗学と文化史を専門にしているというノルウェー人の作家による著作で、サブ・タイトルに 'ランニングの人類史' って付いてる通り、人類と走ることの歴史について綴ったモノ。個人的には、前にレヴューした『BORN TO RUN 走るために生まれた』と対になってる印象かな。わりと淡々と事実を綴ってる感じなんで、文体とか本としてのテイストが似てるってわけでは全然ないんけど。

内容的には、古今東西の文明・社会の中で、人は何のために走り、その社会の中でどういう意味や役割があったのかについてまとめたモノで、なかなか興味深い内容なんだけど、個人的にすごく魅かれたのは、それ以前に、生物としてのヒトの進化とランニングがすごく密接に関係しているってこと。曰く、「走ることで人類は人間になった」と。これは、『BORN TO RUN』で触れられてた狩猟のハナシにもつながる部分なんだけど、ランニングの根源的な部分を探る上ですごく興味深い。

あと、もう 1 点、トップ・レヴェルの競技としてではなく、一般に広く行われる楽しみのひとつとしての、いわゆる 'ジョギング 〜 ランニング' の成立・発展の部分もすごく興味深いかな。トップ・レヴェルのランナーのすごさとかノウハウ的なハナシよりも、個人的にはランニングの文化的な側面のほうが興味があったりするんで。

まぁ、総合的には、読み物として特別凝ってるわけではないし、ランニングに対するモチヴェーションが著しく上がるとか、タイムが縮まるとかダイエット効果があるとか、そういう類いの本ではないけど、いろいろ重要な示唆に富んでるし理解は深まるかな。

2012/01/12

Still got a lot in common.

COMMON "The Dreamer / The Believer" (Think Common Music) ★★★★☆
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

前にも書いたけど、「1972 年生まれのソウル好き」って共通点から勝手に親近感を抱いてるヴェテラン・ラッパー、コモン(COMMON)の通算 9 枚目のアルバムで、リリースは 2011 年の 12 月。前作の "Universal Mind Control" のリリースが 2008 年だったから、けっこう久々のリリースってことになる。トピック的には、久々のリリースであるだけでなく、ワーナー・ブラザース(Warner Bros)移籍第 1 弾リリースでもあり、アルバム全体のプロデュースをシカゴの朋友であるノー・ID(NO ID)が手掛けてたりする等、わりと話題には事欠かない感じだった。

特に、オールド・ファンとしては気になったのはやっぱりノー・ID の起用。まぁ、正直なところ、そのハナシを聞いたときは、嬉しいような、でも、同時に「今、コモンとノー・ID の組合せってアリなのか?」的な感じもあって、半信半疑っていうか、楽しみと警戒感が半々くらいだった感じかな。

ただ、実際にアルバムを聴いてみたら、そんな心配は取り越し苦労だったっていうか、何の問題もない出来映えで、結果的にノー・ID の起用は成功だったって印象。コモンらしさを上手く引き出しつつ、でも、決して単なる懐古主義的な感じではなくて。コモンってアーティストのスタンスとかキャリアを鑑みても、なかなか意味深い感じに仕上がってるようにも思えてくるし。

2012/01/09

Funky minimal beauty.

GREEN BUTTER "Get Mad Relax" (P-Vine) ★★★
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

ブダモンク(BUDAMUNK)とマバヌア(MABANUA)のコンビによるユニット、グリーン・バター(GREEN BUTTER)が 2011 年 12 月にリリースしたファースト・アルバム。ユニット自体は別にパーマネントなモノではなくて、ある種の単発企画的な感じなのかな?

プロダクション面の特徴としては、サンプリングをメインに作られたブダモンクのトラックとマバヌアの生楽器の演奏がオーガニックに融合してる点で、全 13 曲のうち、女性ヴォーカルが 2 曲(と言っても、そのうち 1 曲はコーラス的に 薄く入ってる程度だけど)とラップが 1曲フィーチャーされてる以外はすべてインストゥルメンタル・トラックとして仕上げられてる。

前評判では「メロウでリラックスした」的な感じのことを聞いてたんだけど、実際に聴いた印象としては「メロウでリラックス」ではあるんだけど、決してヌルくなくて、むしろ選りすぐられた最小限のサウンドで作られたミニマルなインストゥルメンタル・ヒップ・ホップって印象。決して派手ではないんだけど、聴けば聴くほどジワジワと効いてくるグルーヴ感がなかなかアディクティヴで、けっこういろんなシチュエーションとか気分にもフィットするんで、気が付くと何度も繰り返し聴いちゃってる。

2011/12/17

The art of the storytelling.

THE ROOTS "Undun" (Def Jam) ★★★★☆ 
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

'史上最高のヒップ・ホップ・バンド' として絶大な信頼を得ているだけでなく、もはや最も新しい 'リヴィング・レジェンド' と呼ぶに相応しい存在感すら放ちつつあるザ・ルーツ(THE ROOTS)の新作。初期の作品とかコラボレーション作品の数え方が難しいんだけど、通算で 10 作目のオリジナル・フル・アルバムってことでいいのか?

まぁ、結論を先に言っちゃうと、内容的にはメチャメチャディープでタイトで、同時にかなり意欲的なコンセプト・アルバムに仕上がってる。正直なところ、ザ・ルーツに関しては期待の初期設定値がかなり高いんだけど、そのラインは軽々と超えてる。相変わらず、まったく期待を裏切らない出来映えとしか言えない感じかな。

2011/12/08

Sweet melancholies.

TOKiMONSTA "Creature Dreams" (Brainfeeder) ★★★★☆
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp


前にティーブス(TEEBS)の "Ardour"サンダーキャット(THUNDERCAT)の "The Golden Age of Apocalypse" をレヴューしたけど、このトキモンスタ(TOKiMONSTA)の "Creature Dreams" もその 2 枚と同様、フライング・ロータス(FLYING LOTUS)率いるブレインフィーダー(Brainfeeder)からのリリースで、個人的には、メチャメチャ愛聴してる 1 枚。まぁ、別に新しいわけじゃないんだけど。

リリースは今年の春で、収録曲は全 7 曲。本人曰く、アルバムではなく 'EP' って認識らしい。

サンダーキャットの "The Golden Age of Apocalypse" のレヴューで「最近のブレインフィーダーのリリースの充実ぶりがハンパじゃない。あらためてチェックしてみたら、このブログでは全然レヴューしてなかった(ことに我ながら驚いた)んだけど、ここ数年のリリースの個人的な打率は相当高い」って書いけど、まさにブレインフィーダーの充実ぶりを象徴してる作品って言えるんじゃないかな。

2011/12/07

Good jobs.

『ジョブズ・ウェイ』
 ジェイ・エリオット / ウィリアム・L・サイモン 著 中山 宥 訳
(ソフトバンククリエイティブ) ★★★  Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

今年の 8 月に訳書が発売されたジョブズ本のひとつで、原著は 3 月に発売された "The Steve Jobs Way: iLeadership for a New Generation"(Link: Amzn)。タイミング的にはジョブズの体調が悪くなった後ではあるけど、亡くなる前に執筆・出版されたってことになる。

サブ・タイトルは「世界を変えるリーダーシップ」で、紹介文には「ジョブズはいかにしてアップルを No. 1 企業へ導いたのか? 彼の仕事ぶりを間近でつぶさに見てきた著者が、その秘密を初めて明かします。ヴィジョンの共有、モチヴェーションの高め方など、あらゆるビジネスマンが参考にできるリーダーシップの極意が学べます」なんて書いてあって、しかも原著のタイトルも 'iLeadership' なんてビミョーなワードが使われてるんで、どうしてもちょっと警戒心を抱いちゃうっていうか、巷に溢れてる 'いわゆるジョブズ本' のひとつかなってどうしても思っちゃいがちなんだけど、著者がジェイ・エリオット(JAY ELLIOT)だったんで、あまり先入観を持たずに読んでみたんだけど、結果としては、いわゆる 'この手のビジネス本としてのジョブズ本' にしてはわりと読み応えがあったかな。

なんで「著者がジェイ・エリオットだったんで」かというと、ジェイ・エリオットはスティーヴ・ジョブズ(STEVE JOBS)の側近のひとりとしてアップル(Apple)でヴァイス・プレジデント(上級副社長)として働いてた人物だから。当然、そこらの胡散臭い 'いわゆるジョブズ本' とは全然違う内容が期待できるだろ、と。

2011/12/02

La búsqueda de más a la música cubana.

"GILLES PETERSON Presents Havana Cultura: The Search Continues"
(Brownswood) ☆ Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

前にレヴューした "GILLES PETERSON Presents Havana Cultura - New Cuba Sound" の続編で、元トーキング・ラウド(Talkin' Loud)/ 現ブラウンズウッド(Brownswood)主宰者であり、DJ / コンパイラーとして世界的に大きな人気を誇るジャイルス・ピーターソン(GILLES PETERSON)の '音楽の旅・キューバ編' の第 2 弾。'The Search Continues' ってサブ・タイトル通り、'旅の続き' って言える感じかな。

これまでにも関連作品をたびたびレヴューしてることからもわかる通り、個人的にはジャイルス・ピーターソンとはかなりツボがカブってる(もちろん、間接的に教えてもらってきたって意味でもある)し、前作も秀逸な内容だったんで、今回もかなり期待してたんだけど、決して期待を裏切ることのない出来映えで、「さすがジャイルスだなぁ」と素直に感心しちゃうような内容。かなり聴き応えがある出来映えに仕上がってる。アートワークの写真も、適度にベタで、メチャメチャいい感じだし。

2011/11/30

The finale.

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 23 巻 ひかる宇宙編』
   安彦 良和 著 矢立 肇 / 富野 由悠季 原案(角川グループパブリッシング)★★★★★
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


月刊『ガンダム A』で 2001 年から連載している安彦良和先生によるファースト・ガンダムの描き下ろしリライト版『THE ORIGIN』が、約 10 年をかけて遂にこの 23 巻で完結を迎えた。連載開始当初から、安彦先生の健康が何よりも心配だったので(連載前に入院していたんで。それに、最初の数話を読んだだけで、ある意味、クオリティに関しては何の心配もなかったんで)、まずはこうして無事に完結を迎えたことが嬉しい限りだし、感慨深い。

この『THE ORIGIN』シリーズに関しては、17 巻以降、最新巻が発売されるたびにレヴューしてきたんだけど、当然、それ以前からも読んでたわけで、もっと厳密にいうと、『ガンダム A』で連載開始時から毎月読んできたんで、この機に作品全体を振り返ってみようかな。まぁ、細かいエピソードを拾っていくとキリがないんでやめとくけど。

『THE ORIGIN』は、ファースト・ガンダムのキャラクター・デザインと作画監督を務めていた安彦先生が、あらためてそのストーリーや細かい設定を見直し、再解釈・再設定しながら(メカニック・デザインのリファインは大河原邦男先生が担当してる)コミックとして描き直した作品。基本的にはファースト・ガンダムのストーリーに沿って進行していくんだけど、アニメ版や映画版との変更点も多く、初めて語られるエピソードも多くて、特に 9 巻・10 巻の「シャア・セイラ編」〜 11 巻・12 巻の「開戦編」〜 13 巻・14 巻の「ルウム編」で開戦前からガンダム登場までの時期(つまり、ジオンの独立やシャアとセイラの物語、モビルスーツ開発のエピソード等)のストーリーまで描かれた点は大きな特徴であり、古いガンダム・ファンにとっては最大級の嬉しいサプライズだった。

2011/11/09

Minimal freestyle art of words.

"太平洋をつなぐ詩の夕べ ゲーリー・スナイダー & 谷川俊太郎
 An evening with GARY SNYDER & SHUNTARO TANIGAWA" ★★★★☆
 Link(s): Website

10 月 29 日に新宿の明治安田生命ホールで、同年代であり、今もなお現代の日本とアメリカを代表する詩人として活躍しているゲーリー・スナイダー(GARY SNYDER)と谷川俊太郎の 2 人が出演したポエトリー・リーディングのライヴ・イヴェントが行われた。

ゲーリー・スナイダーは 1930 年生まれで、谷川俊太郎は 1931 年生まれ。1950 年代に詩人としてのキャリアをスタートさせたっていう共通点を持ち、1971 年に谷川俊太郎がゲーリー・スナイダーのキット・キット・ディジーの自宅を訪ねているなど、親交の深い 2 人が同じステージに立つっていう、なかなか豪華且つ興味深いイヴェントだったんで、ちょっと日が経っちゃったけど、一応、感想をまとめておこうかな、と。

会場の雰囲気としては、基本的には谷川俊太郎ファンが多かったような気がする(まぁ、当然って言えば当然だけど)けど、個人的な目当ては圧倒的にゲーリー・スナイダー。これまでにもゲーリー・スナイダーについては何度か取り上げてる通り、すごく好きな詩人 / 作家なので。

もうそれなりに高齢ということもあり、次にライヴを観れる機会がいつあるのかわからない(もちろん、特に他意はないけど、まぁ、年齢を考えれば、そう考えざるを得ない)って意味でも、これは行っとかないとまずいな、と。ゲーリー・スナイダー自身は日本との関係も深くて、わりと頻繁に来日はしてるんだけど、実はライヴを観るのは初めてだったりしたんで。

2011/10/19

Soul deep.

MAKOTO "Souled Out" (Human Elements) ★★★★★ 
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

これまでにも何度かレヴューしてきた日本人ドラムンベース・プロデューサー / DJ の MAKOTO(マコト)のニュー・アルバム。オリジナル・アルバムとしては、2003 年リリースの "Human Elements"(Link: Amzn)、2007 年リリースの "Believe In My Soul" 以来の作品ってことになる。

先に結論から言っちゃうと、上で星 x 5 個にしてることからもわかる通り、かなりいい出来映え。すごく MAKOTO らしいっていうか、MAKOTO ならではっていうか、MAKOTO じゃないとできないような、アーティスト性がすごくキチンと表現されたディープなアルバムに仕上がってる。さすがのクオリティっていうか、傑作っていうか、そういう印象かな。

まぁ、「ドラムンベース・アルバムなのか?」って訊かれると微妙だけど。でも、そもそもそんな質問には本質的には何の意味もないし。あと、同時に、ある意味ではドラムンベース・アーティストじゃないとできないような作品だとも言えると思うんで。

2011/10/12

iRIP.

Steven Paul 'STEVE' JOBS (Feb 24, 1955 - Oct 5, 2011) - Rest in peace.


病気を理由に 8 月にアップル(Apple)の CEO を退き、その病状が心配されてたスティーヴ・ジョブズ(STEVE JOBS)の訃報が日本時間の 10 月 6 日の朝に報じられた。

これまでにも、ジョブズ / アップル関連のモノはわりとたくさんレビューしてきてることからもわかるように、ジョブズはもちろん、個人的にメチャメチャ思い入れのある人物。だから、もちろんすごくショックだし、訃報を聞いて(見て)以来、茫然自失というか、なんか心ここにあらずな心理状態が続いてたりもする。

2011/08/22

Electronic ambience. Electronic comfort.

SATURN NEVER SLEEPS "Yesterday's Machine" (SNS) ★ 
Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

DJ クール・ハーク(DJ KOOL HERC)へのトリビュート・コンピレーション、"We Love DJ Kool Herc" のレヴューで、その企画の発起人として触れたサターン・ネヴァー・スリープス(SATURN NEVER SLEEPS)のファースト・アルバム。今月初めに自身のウェブサイトで発表され、iTunes Store や Amazon 等でデジタル・リリースされてる(CD も追ってリリースされるらしい)。

"We Love DJ Kool Herc" のレヴューで触れた通り、サターン・ネヴァー・スリープスは、フィラデルフィア出身のベテラン DJ / プロデューサー / アーティストのキング・ブリット(KING BRITT)が、女性プロデューサー / ヴォーカリスト / マルチメディア・アーティストのルシール(RUCYL)と結成した 2 人組ユニット。サウンド的には、テクノというよりもエレクトロニカ的なサウンドで、事前にライヴとかフリー・ダウンロードで発表されたトラック等でそのディレクションは何となく見えてたんだけど、今回、リリースされたアルバムは思ったよりもメロウな仕上がりでかなりいい感じ。けっこう期待値は上げてたんだけど、正直、期待以上の出来映えだったかな。もう何回も繰り返し聴いてるけど、個人的には最近のムードにかなりシックリきてる。

2011/06/18

The legendary bluesologist.

GILBERT 'GIL' SCOTT-HERON (Apr 1, 1949 - May 27, 2011) - Rest in peace, brother.

もうけっこう時間がたっちゃったけど、先月 27 日にギル・スコット・ヘロン(GIL SCOTT-HERON)の訃報が伝わってきた。

ギル・スコット・ヘロンといえば、アフロ・アメリカン・カルチャーを代表する詩人であり、作家であり、ミュージシャンであり、ある種のアクティヴィストであり、ラップに多大な影響を与えたことで知られてるアーティスト。訃報はまず Twitter で知り(最近、このパターンが多い)、その後、Google News で(主に英語ソースの)各種報道を併読して詳細を確認したところ、死亡した事実と人物紹介はされてるものの、どうも、詳しい死因は報じられてないっぽい。享年 62 歳。思ってた印象よりも若い。

個人的にはメチャメチャ好きなアーティストの 1 人なんで、そういう意味では、もちろん、すごくショックだし悲しいんだけど、一方で、死亡したって事実自体にはそれほど驚かなかったって面もあったりして(年齢を考えると、もちろん、若すぎるとは思うけど、そもそも、もっと年齢が上だと思ってたんで)、一見相反するような感情が共存するような、ちょっと変な気持ちだったりもしてる。

2011/05/02

Earth day. Earth music.

SOUL FLOWER ACOUSTIC PARTISAN Live at Earth Day Tokyo 2011 ★

4 月 24 日(日)に代々木公園の野外音楽堂で行われたアース・デイ東京 2011 でのソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン(SOUL FLOWER ACOUSTIC PARTISAN)のフリー・ライヴについて。

ソウル・フラワーのライヴを観るのはいつぶりだろう? ってくらい久々だったけど、結論としては、とても素晴らしいライヴで、やっぱ、地力のあるバンドは違うなぁ、ってのが率直な感想。演奏自体は 10 曲程度だったんで、 ライヴとしての評価っつうか、レヴューって感じなのもどうかと思うし(星が 4 つなのもその理由から)、バタバタしてるうちに時間が経っちゃったけど、やっぱり、ちょっとグッときちゃったんで。

ちなみに、この写真は iPhone で撮ったモノなのでメンバーの様子はよくわからないけど、手前で菜の花が振られ、その奥に反核を訴えかける旗が振られる向こうでソウル・フラワーが演奏してるっていう、A311 の 2011 年 4 月というタイミングを象徴するような写真が撮れたので使ってみた。

2011/04/20

Gifted unlimited rhymes universal.

Keith Edward Elam a. k. a. GURU (July 17, 1961 – April 19, 2010) - R. I. P.

早いものでグールーが亡くなってちょうど 1 年。すごく好きなアーティストなのにこれまでにこのブログではなぜか取り上げてなかったので、この機会にあらためて(もちろん、代表的な作品を交えながら)。

'gifted unlimited rhymes universal' ことグールー(GURU)は、言うまでもなく、DJ プレミア(DJ PREMIER)とのコンビ、ギャング・スター(GANG STARR)のラッパー。1985 年から 2004 年までギャングスターとして活動して 6 枚のアルバムをリリースした後、ソロとして活動をしてたんだけど、2010 年 2 月に心停止して昏睡状態に陥り、去年の 4 月 19 日に闘病の末に享年 43 歳という若さで癌で亡くなった。

2011/04/19

Light ideas. Right ideas.

『ウルトラライトハイキング』 土屋 智哉 著(山と溪谷社) ★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jpRakuten Books

アウトドア〜トレッキング界隈で、近年、もっとも大きな注目を集めている動きである 'ウルトラライト(ultralight)' についての今年 2 月出版の書籍で、著者は三鷹にあるウルトラライトの専門ショップ、ハイカーズデポの店主であり、アウトドア関連の雑誌などで目にする機会の多い土屋智哉 氏。近年、著者自らいろいろな雑誌などでその意味や魅力を、その雑誌の特集の内容等にあわせて断片的に語っていたウルトラライトについて、その概要を一通り網羅したモノで、ウルトラライトの考え方や実践方法がシンプルにまとめられている。

'ウルトラライト(ultralight)' とは、文字通り、超軽量ということ。自分で必要な装備をすべて背負って、自分の足で移動することが前提のトレッキング〜バックパッキングでは、装備・道具の重さは常に大きな問題のひとつであったことは古今東西、変わることのない永遠のテーマだったんだけど、 近年、その流れの中から、従来の常識だった考え方を根本的に見直すような動きがあって、しかも、それは、実は新しい考え方であると同時に、ある種の原点回帰的な考え方でもある。そんな '古くて新しい' 考え方とすれを実践することの総称が、'ウルトラライト' だってことになる。