2010/07/23

Life with water.

奪われる日本の森 ― 外資が水資源を狙っている』
 平野 秀樹 / 安田 喜憲 著新潮社) 
 Link(s): Amazon.co.jp

何がキッカケだったか覚えていないけど、どこかで知って内容が気になったので読んでみた一冊。著者の平野秀樹氏は東京財団研究員・森林総合研究所理事で、本書は東京財団が 2009 年と 2010 年に発表した論文を中心に、追加・加筆してまとめたモノなんだとか。共著者の安田喜憲氏は国際日本文化研究センターの教授で、現静岡県知事の川勝平太氏との共著書敵を作る文明 和をなす文明』で個人的には馴染みのある人物でもある。構成としては、全体の 3/4 程度の分量を使って具体的な事項を述べてるのが平野氏、最後の約 1/4 で安田喜憲氏がちょっと俯瞰的な視点から森の重要性を説いている感じになってる。

まぁ、内容としては特別難しいわけではなく、文量も決して多いわけじゃないんで、わりとすんなり読めちゃうけど、読み物として単純に面白いかというとちょっと微妙かな。まぁ、ベースになってるのが論文なんで仕方ない部分はあるけど。

ただ、述べられてる内容自体は全然笑えないもので、「資源のない国」と言われ続けてきた日本が実はちょっとした資源大国で、でも、その資源自体が特殊な法制度や行政の無策等のせいで大きな危機に晒されてることがよく解る。

その資源ってのはタイトルにもある通り「水」で、末端小売価格で比べると石油よりも高い値段が当たり前になってる(ガソリンスタンドでのガソリンの値段とペットボトルのミネラルウォーターの値段を比べてみればすぐ解るはず)くらい希少な(そして、これからその希少性は世界的に高まることが予想される)資源が豊かにある国でありながら、その事実を認識せず、活かすことも守ることもできてない、と。

まぁ、ちょっと前に水源保護のために東京都が奥多摩の森林を買ってるってニュースを見て、それはそれでいいことだとは思うけど、それができるのはやっぱり東京都の財政には比較的余裕があるからなわけで、どこでもできることではないし。もっと本質的な理解と対応が必要なのは言うまでもない。

思えば、ミネラルウォーターが一般的に普及したのは高校〜大学時代辺りのことだったと思うけど、当時(そして、基本的には今も)、「水を買う」って行為には違和感を感じたことを覚えてる。しかも、それがエビアンだったりして。まぁ、その状況は基本的にはそれほど変わってないわけだけど、それこそ、ちゃんとデザイン+ブランディングすれば輸出産業にもなりそうなのに。

最後の安田氏の部分は、畑作牧畜民(及び文明)と稲作漁労民(及び文明)についてのハナシなので、他の著作で読んだことのあるハナシではあるんだけど、まぁ、初めて安田氏の考えに触れる人には解りやすくまとまってるんじゃないかな、と。この見方というか、安田氏の文明論自体はかなり興味深いんで。

まぁ、水っていう資源がそれこそ石油以上に重要な資源になりつつあるのは多分間違いないし、今、そこに差し迫った危機っていう意味では、決して見過ごせない問題であることは間違いない感じがする。
ダメな奴らが走るんだ。相手をもっと走らせろ。

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