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2008/06/03

A warm vision.

『聞き書き ダライ・ラマの言葉』

. 松本 栄一 著(日本放送出版協会) ★★★☆☆

30 年以上に渡ってダライ・ラマと親交を持ち、撮り続けたカメラマンである筆者が、インタビューをメインに、ブッダガヤやダラムサラ、ラサなどでのエピソードを交えてまとめた著作。250 ページ程度の新書判で、歴史的な背景なども一通り紹介されているので、あまり構えずに入門編としてもサラッと読める一冊。

ただ、単なるライトな入門書かというと、そんなことはなくて、カメラマンの視線で実際に現場で見て、そして実際に会って聞いた上で綴られた言葉には、やはりパワーがある。

他のいろいろメディアなどと同様に、ダライ・ラマ自身は著者の問いかけに真摯に、一貫した考えを貫きながら、それぞれの質問に即したカタチで、時には具体的に、時には抽象的・観念的に、温かい目線で答えていて、ダライ・ラマの考えを知るのにもなかなか良い一冊かな、と。

ちょっと残念なのは、せっかく著者がカメラマンで、30 年以上に渡って貴重な写真をたくさん持ってるんだから、もっと写真を活かせるような装丁だったら良かったのにな、と。まぁ、新書タイプの手軽感を選んだ、ってことなんだと思うけど。カラー写真を入れたりとか、頑張って入るけど。

2008/04/08

Think radically, act optimistically.

『ダライ・ラマ、生命と経済を語る』

. :ダライ・ラマ / ファビアン・ウァキ 著
. :中沢 新一 / 鷲尾 翠 訳(角川書店) ★★★☆☆

最近、にわかに(望ましくない感じで)ニュースなどに登場することが増えたダライ・ラマが、ピンクのチェックに青い文字のロゴでお馴染みのフランスの百貨店、
タチの 2 代目社長のファビアン・ウァキ氏と対談した一冊。別に昨今の騒動(決して暴動ではない)に影響されて読んだわけじゃないですが、まぁ、こういう機会であっても、あらためてダライ・ラマの考えに触れて、あらためて考えてみることは決して悪いことじゃない。

内容的には、本人が書いたモノではなく、対談であるが故に、日頃あまり語られない性のこととか金銭のことについて、かなり穏やかな口調でラディカルなことを言ってて、とても面白い。ファビアン自身は、まぁ、良心的なヨーロッパの金持ちのインテリだなぁ、って印象だけど、これだけの相手を前にして、真摯に、精一杯、なんとかしていいことを引き出そうと頑張ってる感じは伝わってくる。ビミョーにわかりにくい例えとかを使いがちなところもあるけど、まぁ、インテリ・フランス人だから仕方ない気もする。

前書きで、中沢新一は「認識においては徹底したペシミスト、行動においては途方もないオプティミスト」という思想家のグラムシの言葉を引用してるけど、中沢氏も、これほど大胆かつラディカルなダライ・ラマを見るのは初めて、と言ってるように、印象としてはペシミストというよりもラディカリスト。ラディカルに考えてオプティミスティックに行動する感じはすごくリスペクト。