『MOONLIGHT MILE 16 巻』
. :太田垣 康男 著 (小学館) ★★★☆☆
どんどんと大河ドラマ化している『MOONLIGHT MILE』の 16 巻。ムーン・チャイルドの誕生というひとつのクライマックスを迎え、ハナシは一気に次のフェーズへ、というタイミングを描いている、つまりひとつのハナシのエピローグと、次のハナシのイントロダクションという位置にあたるので、そういう意味では読み応え的にはイマイチかも。ただ、このくらいの大河ドラマになるとそういうタイミングは必ずあるものだし、そうは言っても『MOONLIGHT MILE』に貫かれているリアリティと随所に見られるサプライズはあったりするので、決して不満ではないし、ますます次が楽しみになる。
WOWOW で OA されたアニメ版の DVD 発売時に開催されたトーク・ショーで作者のハナシを聞く機会があったんだけど、長い時間をかけて定期的に発表し、読者の反応を考慮しながら、時事的な要素も盛り込みながら創作されるマンガというアートは、内容的にも商業的にもものすごく臨機応変というか、曖昧な要素を孕みながら創られるという意味ですごく特殊な創作物で、作者の太田垣康男氏は、トークの中でも触れてたけど、いい意味でも下世話な意味でもその辺の特徴にすごく自覚的で、なおかつ上手く活かすことができる作家(他の作品は読んでないけど)。そういう意味では、すごくプロフェッショナルだし、すごくエンターテインメントな作品だと言えるかな。
『MOONLIGHT MILE』は、いわゆる宇宙・近未来モノの SF コミックとしては、個人的には『プラネテス』と双璧。設定がリアルで、キャラクターが魅力的で。ガンダム世代としては、イヤでもグッときちゃう。『プラネテス』がより詩的な、アーティスティックでアブストラクトな作品だとすると、『MOONLIGHT MILE』はリアリスティックなエンターテインメント。『プラネテス』の青臭い感じもすごく好きだけど、エンターテインメントととしての完成度では『MOONLIGHT MILE』かな、と。まぁ、どっちも面白いんだけど。
*既発巻:
『MOONLIGHT MILE 1 巻』
『MOONLIGHT MILE 2 巻』
『MOONLIGHT MILE 3 巻』
『MOONLIGHT MILE 4 巻』
『MOONLIGHT MILE 5 巻』
『MOONLIGHT MILE 6 巻』
『MOONLIGHT MILE 7 巻』
『MOONLIGHT MILE 8 巻』
『MOONLIGHT MILE 9 巻』
『MOONLIGHT MILE 10 巻』
『MOONLIGHT MILE 11 巻』
『MOONLIGHT MILE 12 巻』
『MOONLIGHT MILE 13 巻』
『MOONLIGHT MILE 14 巻』
『MOONLIGHT MILE 15 巻』
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