2008/05/18

A part of football life.

サッカー番長 0 号

. :杉山 茂樹 編著飛鳥新社)

ちょっと前に知り合いからもらってたんだけど、ちょこちょこと少しずつ読んでたら
けっこう時間が経っちゃった。とはいえ、別に読みにくいわけではなく、むしろ軽く読めちゃうライトな一冊。

「ヨイショ記事にはもう飽き飽きだ」というサブ・タイトル通り、緩やか(であるが故にタチが悪いんだけど)な言論統制下で退屈な記事ばかりが溢れかえる日本のサッカー界ではあまり目にしないタイプの視点でサッカーをキチンと語ること、というのが読んで伝わってきた編集方針。それが実現できているかというと、個人的には「(完璧ではないけど)思ったより実現されてた」って印象。もうちょっと、お茶を濁してるのかと思ってたので。そういう意味では、期待以上の内容でした。

代表関連の部分に関しては、よく目にする記事と比べると視点が真っ当ではあるとは思いつつも、そもそも代表への期待やロイヤリティがほとんどないので、正直、あんまりどうでもいい。それよりも、インタビューが読み応えがあった。期待以上に。キャリア 40 年以上の超ベテラン新聞記者、荒井義行氏と、ヴェルディの下部組織で活躍し、将来が嘱望されている
息子を持ち、すっかりサッカーにも詳しくなっている元プロ野球選手の高木豊氏に関しては、読む前からある程度期待してたんだけど、まったく期待してなかった松木安太郎・原博実・宮本恒靖・岡野雅行の 4 氏の話が思いのほか面白くて、その点では杉山氏の人選力にちょっと脱帽しました。個別に書くと長くなるので止めとくけど、テレビで伝わってこない(伝えてない)松木さんの想いとか、原さんの監督論、見聞きして(+読んで)いるイメージのまんまでありながらそれ以上のインテリジェンスを感じさせるツネ様、頭がいいのかバカなのかはわかんないけどそういう次元じゃない魅力を感じさせる野人と、それぞれをちょっと見直しちゃうくらい楽しめた。

編著者の杉山氏は、チャンピオンズ・リーグを中心に、ヨーロッパ・サッカーをちょっと変わった視点で精力的に観てるサッカー・ライターで、特に好き嫌いの印象は持ってないんだけど、けっこう引っかかることが多いので、そういう意味ではわりと気にしているライターのひとりとは言えるかもしれない。システム論フェチ過ぎなところと、これだけヨーロッパー・サッカーを観てるのに、代表のサッカーに関しては甘口なところが、
個人的にはちょっと合点がいかないんだけど。直接話したこともないし、著作や原稿をくまなくチェックしてるわけでもないから、仲良くなれそうな感じがする人かどうかはわからないけど、でも、愛すべきサッカー馬鹿であることは伝わってくる。こういうのも、愛すべきフットボールという文化の一部だな、と。まぁ、この装丁(というか大きな意味での全体のデザイン / アート・ディレクション)はどうかと思うけど。

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