2008/05/23

Radical operator.

現代思想 2008 年 5 月 臨時増刊 総特集 フィデル・カストロ

(青土社)


前にゲバラの特集号も読んだ『現代思想』の最新増刊はカストロの特集。第一線を退く旨を発表したのが 2 月だから、それを受けての特集ということで、過去〜現在を幅広く、さまざまな視点で捉えながら考察しつつ、今後に思いを馳せるにはもってこいの内容。

まぁ、とかくゲバラと比較されて、理想主義者のゲバラに対して現実主義者のフィデル、みたいな単純な語られ方もしがちなフィデルだけど、「殉死」じゃないけど、死んじゃったゲバラと生きているフィデルを単純に比較するのはどうかと思うし、ロック・スターなんか典型的だけど(ジョン・レノンとかブライアン・ジョーンズとかキース・ムーンとかね)、死んじゃったほうが美しく語られがちだし、そんなのばかり目にしているとちょっとフィデルの肩も持ちたくなるっつうか、フィデルはフィデルでやっぱカッコイイな、と思うわけで、いろいろ具体的な事象に関しては賛否はあるだろうけど、興味は尽きない。

まぁ、内容的には、生い立ちから革命以前のこと、革命のこと、ゲバラとのこと、ソ連とのこと、アメリカとのこと、貧困のこと、医療制度のこと、ソ連崩壊後のこと、チャベスとのこと、ラウルのこと…、当然語られるべきことはもちろん、近年はどんな考え方をしてるのかからディエゴとの関係まで、とても多岐に渡ってて、いろんな論者がいろんなことを語ってるんで、すべてを共感できるわけではないけど、いろいろ示唆に富んでるし、情報量も十分だし、ここからどんどん拡げていくこともできそうだし、ヴィジュアル素材が少ないのがいつもながらの問題ではありつつも、雑誌としてはとても読み応えがある。

ちなみに、来年はキューバ革命 50 周年。いろいろと考えてみるいい機会になるのは間違いない。

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