『DNA でたどる日本人 10 万年の旅』 崎谷 満 著(昭和堂) ★★★☆☆
Link(s): Amazon.co.jp
なんで知ったのか忘れちゃったけど、日本人のルーツを分子生物学の最先端、DNA 多型分析で紐解いた書籍。まぁ、それほど解りやすい本ではないけど、なかなか興味深い。
なんで気になったかっていうと、やっぱりワールドカップとかあると、どうしても「日本人とは?」的なことをどうしても考えちゃうわけで、でも、安直な「日本人は単一民族」的な紋切り型の論調(と、何の疑問も感じずにそれを受け入れる思考停止的な風潮)にはかねがね違和感があったんで。
もちろん、「日本人は単一民族」的なロジックはアイヌや沖縄を軽視(無視)してるって問題もあるんだけど、「その論拠になってる部分に関しても、実はそうでもないらしい」ってのが、この本のテーマだったりして。
まぁ、細かいことは専門的になっちゃうからここでは触れない(っつうか、触れられるほど理解できてるとは思えない)けど、まぁ、要するに日本人(と現在呼ばれている集団)は実はメチャメチャハイブリッドで、「生物学的には単一なんて言えなくね?」ってこと。どうも、「日本人は単一民族」的なロジックを振り翳しがちな人って、多分にイデオロジカルな意味合いに偏重しがちで、しかも原理主義的な感じも強かったりするところがなんか胡散臭いっていうか、イマイチ馴染めない感じだったりするけど、どうも、問題の本質はそんなところにはないらしい、と。そう考えると、「日本人とは?」ってことが全く違って見えてくるし、当然、歴史であったり政治であったり音楽であったりサッカーであったり、いろいろな面に応用して考えられる。
やっぱり、多様性とかハイブリッドさみたいなモノが文化のダイナミズムを作り出すんだし、そこで、っつうか、そこにいる人がどんな風土の中でどんな風にどんな文化が育まれたかが重要だし、面白いわけで。それを安易に単純化したり、それをベースに思考停止したりすることは文化に対する冒涜だし、本質的な理解の妨げにしかならないな、と。まぁ、単純化と思考停止については、何にでも言えることっつうか、すごく本質的で危険な問題だなって、最近特に強く感じてることなんだけど。
個人的には、アイヌや沖縄なんかについても、キチンとその意義を触れてるし、多様性の現代的なサンプルとしてカタルーニャなんかにも触れられてる辺りは結構ツボで、読み応えもあったかな。今後の、来るべき社会の在り方に想いを馳せる上で。
We're sおもtill in the Nuclear Age
0 comment(s)::
Post a Comment