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2009/11/21

Africa inspired.

JIMI TENOR & TONY ALLEN "Inspiration Information, Vol. 4"
(Strut  Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

これまでにもアンプ・フィドラー + スライ & ロビー盤アシュレイ・ビードル + ホレス・アンディ盤ザ・ヒーリオセントリックス + ムラトゥ・アスタトゥケ盤をレビューしたイギリスのストラット・レーベルのコラボレーション・アルバム・シリーズ、"Inspiration Information" の第 4 弾で、今回はジミ・テナーとトニー・アレン。これまた、かなり意外で、でも、ちょっと楽しみな、なかなか絶妙な組み合わせで。

ジミ・テナー(アートワーク写真右)はフィンランド出身の変人マルチ・インストゥルメンタリスト。もともとは、今年、めでたく 20 周年を迎えたワープからリリースした作品で注目を集めたからか、わりとテクノ寄りなアーティストなイメージがあったけど、とても「テクノ」の一言では片付けられないというか、一筋縄ではいかない独特のサウンドを聴かせてきたプロデューサー / ミュージシャンで、まぁ、なかなか掴みどころがない、でも、独特の存在感を放ってる不思議なヤツって印象(ルックスも相俟ってかも?)。

2009/04/15

Deep inspirations.

"Inspiration Information, Vol. 3"

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THE HELIOCENTRICS & MULATU ASTATKE(Strut)

前にもアンプ・フィドラーとスライ & ロビー盤アシュレイ・ビードルとホレス・アンディ盤をレビューしたイギリスのストラット・レーベルのコラボレーション・アルバム・シリーズの第 3 弾で、前にストーンズ・スロウからリリースしたアルバム "Out There" をレビューしたイギリスの 9 人組のジャズ・ファンク系バンドのザ・ヒーリオセントリックスとエチオピア人のジャズ・レジェンド、ムラトゥ・アスタトゥケのコラボレーション。スライ & ロビーホレス・アンディと来たんでレゲエをベースにしたシリーズなのかと思いきや、別にそういうわけではないらしい。ただ、時代と国境を越えて、ルーツと現代のコラボレーションを実現するってことらしく、やっぱり、すごくいいプロジェクトだし、ただ企画がいいだけじゃなく、出来映えも抜群で、期待を裏切らないディープな仕上がり。

ムラトゥ・アスタトゥケといえば、'Ethiopiques' シリーズで有名な、言わずと知れたアフリカン・ジャズのリヴィング・レジェンドなわけで、2005 年にはジム・ジャームッシュ監督の映画『ブロークン・フラワーズ』のサウンドトラックでも知られるミュージシャン。一方のザ・ヒーリオセントリックスは、サン・ラを彷彿とさせるような壮大なスピリチュアル・ジャズを聴かせる9 人組のバンド。もともとアフロセントリックな要素も持ってるんで、ムラトゥとの相性が悪いわけもない。

もともとは、2008 年にイギリスでムラトゥがライヴを行ったときにザ・ヒーリオセントリックスがバックを務めたのがきっかけだったらしい。リハーサル 1 日で臨んだというそのライヴの出来映えも素晴らしかったらしく、その流れでこのレコーディングになったってことなんだけど、そういう流れで実現したレコーディングで出来が悪い作品ができるわけがない(ストラットの作ったプロモーション用のインタヴュー・ビデオを観ると雨漏りするスタジオで録ってるんだけど)。アンプ・フィドラーとスライ & ロビー盤アシュレイ・ビードルとホレス・アンディ盤と比べると、異種格闘技戦色が薄いというか、わりとジャンルが近いのと、ライヴ同様、ムラトゥをザ・ヒーリオセントリックスをバックアップしてる感じが強いからか、本来、ザ・ヒーリオセントリックスにはもうちょっと雑食性があるけどそれが抑えめで、異ジャンルのコラボレーションから生まれる意外性みたいなモノというよりは、よりオーソドックスな、いい意味でコラボレーションっぽくないというか、違和感のない仕上がりって印象ではある。でも、保守的だったり緩かったりするわけじゃなくて、実験的なフュージョンではあったりするから不思議なんだけど。

そういえば、ムラトゥはモチーラの主宰するタイムレスでストーンズ・スロウ・クルーとも共演してたし、ここにきてにわかに活動が活発化してきてていい感じ。いいカタチで新しいアーティストとフック・アップして、一緒に何かをやりながら、お互いの持ち味を出して、大事なモノを継承しながら作り上げていく感じは、音楽に限らず、いろんなジャンルですごく大事なことだと思ってる(特に高齢化が進む日本では)んで、そういう意味でもすごく参考になるというか、インスピレーションになる。


THE HELIOCENTRICS & MULATU ASTATKE "Cha Cha"
(From "Inspiration Information, Vol. 3")










2009/03/06

Vibe 2 vibe.

"Inspiration Information, Vol. 2"

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HORACE ANDY / ASHLEY BEEDLE(Strut)

前にアンプ・フィドラーとスライ & ロビーのアルバムをレビューしたイギリスのレーベル、ストラットのコラボレーション・アルバム・シリーズの第 2 弾。今回は、X- プレス 2ブラック・サイエンス・オーケストラブラック・ジャズ・クロニクルズ等、数多くの名義を使い分けながら良質な作品を数多くリリースし、クラブ・シーンを支えてきたプロデューサー、アシュレイ・ビードルが、1970 年代から活躍し、マッシヴ・アタックとの共演でジャンルを超えた人気を誇るレゲエ・レジェンドと呼ぶに相応しいヴォーカリスト、ホレス・アンディを迎えた意欲作。期待を裏切らない 1 枚になってる。

コマーシャルな面で一番成功してるのが X- プレス 2 なせいか、フロア・オリエンテッドなハウス系のイメージが強いアシュレイだけど、ブラック・サイエンス・オーケストラブラック・ジャズ・クロニクルズではブラックネス溢れるサウンドを聴かせてたりもする生粋の UK ブラック。1 皮を剥けば中身はやっぱりブリティッシュ・ルード・ボーイなわけで、レゲエ・レジェンドのホレス・アンディとの共作というだけでテンションが上がるのは当たり前。ホレスの「声」を最大限に活かすべくベースをレゲエ / ダブに置きつつ、なかなか熟れたプロダクション・ワークを披露してる。アシュレイの作品は昔からかなり好きで、できれば一緒に仕事をしたいと思ってたくらいなんで、シングルしかリリースしてないような名義の作品まで含めて、かなり熱心に追いかけてたプロデューサーのひとりで、その中にはレゲエのトラックもあったんで、そういう意味ではある程度期待はしてたけど、やっぱり期待を裏切らないいい仕事を見せてる。そしてもちろん、ホレス・アンディのヴォーカル。もう 60 歳近いはずなのに、全然そんなことを感じさせない味わい深いヴォーカルを聴かせてくれる。この人の声は、熱く歌い上げすぎないのに、すごくソウルフルで、温かさや優しさを感じさせるから不思議。ボブ・マーリーやジミー・クリフほどのビッグ・ネームではないけど、やっぱりレゲエを語る上で欠かせないひとりであることは確かだな、とあらためて思ったり。あと、変わったところではザ・ローリング・ストーンズの "Angie" のカヴァーなんてのも入ってて、なかなか聴きどころが多い。

大西洋と世代を超えて結び付いたヴァイブが表現されてるようなピースフルな 1 枚で、聴いてると何故か、20 年近く前に体験したノッティング・ヒル・カーニヴァルの記憶が頭に浮かんできた(特に "Hypocrite Dog" とか)。ノッティング・ヒル・カーニヴァルといえば、ヨーロッパ最大のストリート・フェスティヴァルであり、カリブ海 / ジャマイカ系移民の祭典。サウンドシステムから鳴り響いてたのは、日差しがジリジリと肌を焼くような熱さを感じさせる純ジャマイカ産のレゲエとは一味違う、洗練されてて、陽気なのに、なぜかロンドンの曇り空によく似合う、ちょっとセンチメンタルな趣きを持った優しくて、でもドープなサウンド。あれ以来、一度も行ってないけど、たぶん今でも変わらずにそういうサウンドが鳴ってるはず。このアルバムを聴いてたら、なぜかそんなことを思い出した。

2009/02/08

Inspired and mixed-up.

"Inspiration Information, Vol. 1"

. AMP FIDDLER / SLY & ROBBIE(Strut)

イギリスのレーベル、ストラットのコラボレーション・アルバム・シリーズの第 1 弾で、アンプ・フィドラーとスライ & ロビーのコラボレーションによるフル・アルバムだって言われれば、もちろんチェックせずにはいられない。

シャギー・オーティスの名盤からタイトルが取られたと思われるこのシリーズの第 2 弾としてアシュレイ・ビードルとホレス・アンディのアルバムがもうすぐリリースされるってニュースを聞いて、詳細を調べてたら 2008 年の秋にリリースされてたこのアルバムのことを知ったんだけど、片や最近のデトロイトを代表するマルチ・ファンキー・ソウル・マン、片やジャマイカン・リヴィング・レジェンド。この組み合わせだけで、作品に対する期待値はついつい上がっちゃう。アンプ・フィドラーがキングストンのスライ & ロビーのもとを訪れて制作されたらしいだけど、仕上がりはなかなかドープ。ファンクで、ソウルで、もちろんレゲエ。デトロイトとキングストンという、北中米でも屈指のソウル・シティであり、お互いに刺激し合いながら、世界の音楽シーンに大きな影響を及ぼしてきたふたつの街をグルーヴが融合した、期待に違わぬ出来映えの 1 枚。

こういうジャンルを超えたコラボレーションって、1 + 1 が 2 以上になるケミストリーが起こりやすいし、アーティストにとってもリスナーにとっても、そしてジャンルレスなグッド・ミュージックのためにすごく有意義なことだと思う。