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2010/08/29

The rude bwoys' story.

ヤーディヴィクター・ヘッドリー 著 荏開津 広 訳 
トランスワールドジャパン ★ Link(s): Amazon.co.jp

写真には載ってないけど帯に「あぶっては姦って、踊っては、殺す」って何ともナイスで物騒な言葉が踊ってるイギリス人作家、ヴィクター・ヘッドリーのデビュー作で、原著 "Yardie" は 1992 年の出版なんだけど、訳書の出版は今年の春。まぁ、ある種の 'dig'(発掘)ってことになるんだと思うけど、こういう 'dig' はすごくありがたい。

ハナシとしては、安直な言い方をすると、UK ブラック((C) キャロン・ウィラー)のギャングスタ / ハスリングモノって言えちゃうのかな。実は、UK ブラック(ジャマイカ系=アフリカ系イギリス人)ではなくて、'イギリスに来たジャマイカ人' のハナシだったんだけど。
前に『ジミ・ヘンドリックスとアメリカの光と影』のレヴューでも触れた通り、ジャマイカからイギリスへの移民のピークは 1950 年代で、移民は当然、ジャマイカ人なわけで、その後、イギリスで生まれ育った世代がいわゆる 'UK ブラック' ってことになるんだけど、別に移民(や人の行き来)は 1950 年代が多かったってだけで、その後も頻繁に行われてるわけで(親戚が住んでたりするんだから、ある意味当然)、この『ヤーディ』の舞台はおそらく 1990 年代初頭辺り(明示してる部分はなかった気がするけど、シャバ・ランクスやニンジャマン、スーパー・キャットなんて名前が出てきてたからたぶんそうなんじゃないかな)で、主人公はジャマイカからブツを運んできた D. という男なんで、厳密に言えば UK ブラックではなく'イギリスに来たジャマイカ人' ってことになる。
 

2010/08/24

Tropicalismo.

QUANTIC PRESENTA FLOWERING INFERNO "Dog With A Rope" 
(Tru Thoughts) ★☆ Link(s): Amazon.co.jp / iTunes Store

去年リリースしたクアンティック・アンド・ヒズ・コンボ・バルバロ名義のアルバム "Tradition in Transition" も素晴らしい出来映えだったクアンティックことウィル・ホランドの、クアンティック・プレゼンタ・フラワリング・インフェルノ名義の 2 枚目のアルバム。

クアンティックはイギリスのトゥルー・ソーツか らいろんな名義で作品をリリースしてきた DJ / マルチ・インストゥルメンタリスト / プロデューサー、ウィル・ホランドのワン・マン・ユニット。デビューは 2000 年で、当初はわりと典型的な UK ヒップ・ホップなイメージが強くて、けっこうチェックはしてたんだけど、ちょっとイヤな言い方をするとちょっと頭デッカチな印象もあっりした。

2010/06/17

A real good thing going.

MICHAEL JACKSON / JACKSON 5
"HIROSHI FUJIWARA & K.U.D.O. Presents
 MICHAEL JACKSON / JACKSON 5 Remixes" (Motown) 
 Link(s): Amazon.co.jp

モータウン時代のマイケル・ジャクソンの音源(もちろん、ジャクソン 5 も含む)を藤原ヒロシ+ K.U.D.O. の両氏がリミックスした、っていうだけで、もう、悔しいけど(なぜ悔しいかは不明)クオリティ的には間違いないことは予想がつくんだけど、その予想を決して裏切らない出来映えの、まさに至福の 1 枚(っつうか 2 枚)。ちょっと前にゲットしてレヴューし忘れてたんだけど、その間に何回聴いたかわかんないくらい繰り返し聴いてる、まさにヘヴィー・ローテーションの 1 枚。結論から言うと、これはヤバイ。

先に説明しておくと、「っつうか 2 枚」ってのは、初回限定盤のみダブ盤が付いた 2 枚組で、このダブ盤の出来映えが素晴らしいから。まぁ、一応、通常盤も出てるし、iTunes Storeでも売ってるけど、コレに関しては、悪いこと言わないから初回版をゲットしとくべき。間違いない。

2009/07/12

Sound of humidity.

"Inner Exile"

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LEE EVERTON(Rootdown

去年リリースされてけっこう話題になってたけど、なんか機会を逃して聴きそびれてたスイス人アーティスト、リー・エヴァートンのデビュー・アルバムを遅ればせながらチェック。漏れ聞いてた評判によると、今〜これからの時期にピッタリっぽいんで。

漏れ聞いてた評判では「レゲエ・シーンのジャック・ジョンソン」みたいな、かなり安直な、でも、ある意味、すごくわかりやすい感じの言われ方をしてたんで、正直、ちょっとビミョーな感じもしてたんだけど、まぁ、確かにアコースティックでオーガニックでシンプルなサウンドで、ブルースとかフォークのテイストも感じさせつつも全体としてルーツ・レゲエをベースにしてて、ナチュラルなソングライティングとヴォーカルって意味では、そう言いたくなる気持ちも解らないではない。

でも、正直言うと、漏れ聞いてた評判ほどの出来じゃないような印象を持っちゃったのも事実。少なくとも、ボブ・マーリーとかボブ・ディランとかヴァン・モリソンを引き合いに出すようなレベルではないな、と。ビックリしたんだけど、ホントにそういうのをどっかで見たんで。まぁ、そんな風に書かれちゃうとどうしても期待値がガーンって上がっちゃうから、聴くときの耳も厳しくもなるんだけど。それに、別に本人が言ったわけじゃないだろうし。もちろん「影響を受けた」くらいのことは言ってるかもしれないけど(この手の音楽をやってて、この 3 人の影響を受けてないアーティストなんているのか? ってハナシだし)、それと、そういった名前を引き合いに出してリー・エヴァートンを紹介することは全然意味合いが違うから。

まぁ、そんな経緯があったからか、個人的には思ったほどじゃなかったというか、それほどシックリきたわけじゃないってのが正直なところ。なんでだろう? ソングライティングがちょっと弱いのかな。声質が好みじゃないのかな。別に出来が悪いわけではないし、湿度が高くなってきた今の時期に、どっかでフツーに耳にしたりする分には全然 OK な音ではあるんだけど。ただ、個人的には、似たような印象の(近いファンクションを持った)アルバムだったら、レゲエ・テイストのモノならミシカの "Above the Bones"、レゲエ・テイストにこだわらないならドナヴォン・フランケンレイターの "Donavon Frankenreiter" とかジャック・ジョンソンの "Sleep Through the Static"、特に "Donavon Frankenreiter" のほうが愛聴度が高いかな。


LEE EVERTON "So Proud Of You" (From "Inner Exile")








2009/05/13

Organic vibes.

"Above the Bones"

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MISHKA(J.K. Livin Records)

気がつけば 30 代の半ばを過ぎても 1 年の半分くらいをショーツ・パンツで過ごしてるわけだけど(温暖化に伴ってその傾向は強くなってる)、ここのところすっかりショート・パンツ向きな季節になってきてて、当然、聴きたい音楽もそういう気分を反映したようなモノになったりする。そんな最近のヘヴィー・ローテーションのひとつがちょっと前にリリースされたミシカのサード・アルバム。俳優のマシュー・マコノヒーの主宰する J. K. リヴィン・レコーズの第 1 弾リリースなんだとか。ハリウッドのこととか疎い(というか、興味がない)んで、よく知らないけど。

ミシカといえば、カリブ海のボートの上で育ったっていう異色の経歴を持つカナダ人のアーティスト(同じ境遇で育った姉はヘザー・ノヴァだったりする)。仕事で行ったフジ・ロックでライヴを観たことがある。1999 年にクリエイションからファースト・アルバム "Mishka" がリリースされた後だったかな。レーベルがクリエイションだったからか、ちょっとロックっぽいプロモーションがされてたようなイメージがあって、でも、ライヴはシンプルでアコースティックな、まぁ、言っちゃえば地味な感じで、レゲエの印象がけっこう強かった。そんなギャップのせいもあったのか、はたまた知名度が低かっただけだったのか、あまり人が集まってなかったような記憶がある。でも、個人的にはそれが逆に良かったんだけど。ボケッとノンビリ楽しめて。ライヴ自体はすごく良かったし。(最近は行ってないから、どうなのかわかんないけど)フジ・ロックみたいなイベントって、どうしてもネーム・ヴァリューがあって、ヒット曲のあるアーティスト(=ビッグ・ネーム)に有利に、新人に不利になりがち(実力とは別の次元で)。ステージがひとつのイベントならどんなに知名度のない新人でもとりあえず観て(聴いて)はもらえるから、ライヴが良ければ「勝てる」けど、ステージが複数あるイベントだと観てすらもらえないから。ちょっとハナシがズレちゃったけど、そんなわけで、ミシカにはわりといい印象があって、メチャメチャ好きってわけではないものの、まぁ、リリースがあればちょっと気になる存在だった。

アルバムとしては、2006 年にリリースしたセカンド・アルバム "One Tree" 以来のリリースになるんだけど、ルーツ・レゲエ / ロック / フォーク / ブルース / ソウルなんかの影響を消化したアコースティックでレイド・バックしたサウンドもソウルフルなヴォーカルも健在。メチャメチャ名盤ってわけじゃないし、特にキャッチーな曲が入ってるわけではないけど、アルバム全体に貫かれてるオーガニックなグルーヴがなかなか心地いい。最近は、ジャック・ジョンソンなんかに代表されるようなサーフ・ミュージック的な文脈でとらえられてるみたいだけど、まぁ、その気持ちもよくわかるかな。演ってることはファーストの頃から全然変わってないけど。


MISHKA "My Love Goes With You" (From "Above the Bones")









2009/03/06

Vibe 2 vibe.

"Inspiration Information, Vol. 2"

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HORACE ANDY / ASHLEY BEEDLE(Strut)

前にアンプ・フィドラーとスライ & ロビーのアルバムをレビューしたイギリスのレーベル、ストラットのコラボレーション・アルバム・シリーズの第 2 弾。今回は、X- プレス 2ブラック・サイエンス・オーケストラブラック・ジャズ・クロニクルズ等、数多くの名義を使い分けながら良質な作品を数多くリリースし、クラブ・シーンを支えてきたプロデューサー、アシュレイ・ビードルが、1970 年代から活躍し、マッシヴ・アタックとの共演でジャンルを超えた人気を誇るレゲエ・レジェンドと呼ぶに相応しいヴォーカリスト、ホレス・アンディを迎えた意欲作。期待を裏切らない 1 枚になってる。

コマーシャルな面で一番成功してるのが X- プレス 2 なせいか、フロア・オリエンテッドなハウス系のイメージが強いアシュレイだけど、ブラック・サイエンス・オーケストラブラック・ジャズ・クロニクルズではブラックネス溢れるサウンドを聴かせてたりもする生粋の UK ブラック。1 皮を剥けば中身はやっぱりブリティッシュ・ルード・ボーイなわけで、レゲエ・レジェンドのホレス・アンディとの共作というだけでテンションが上がるのは当たり前。ホレスの「声」を最大限に活かすべくベースをレゲエ / ダブに置きつつ、なかなか熟れたプロダクション・ワークを披露してる。アシュレイの作品は昔からかなり好きで、できれば一緒に仕事をしたいと思ってたくらいなんで、シングルしかリリースしてないような名義の作品まで含めて、かなり熱心に追いかけてたプロデューサーのひとりで、その中にはレゲエのトラックもあったんで、そういう意味ではある程度期待はしてたけど、やっぱり期待を裏切らないいい仕事を見せてる。そしてもちろん、ホレス・アンディのヴォーカル。もう 60 歳近いはずなのに、全然そんなことを感じさせない味わい深いヴォーカルを聴かせてくれる。この人の声は、熱く歌い上げすぎないのに、すごくソウルフルで、温かさや優しさを感じさせるから不思議。ボブ・マーリーやジミー・クリフほどのビッグ・ネームではないけど、やっぱりレゲエを語る上で欠かせないひとりであることは確かだな、とあらためて思ったり。あと、変わったところではザ・ローリング・ストーンズの "Angie" のカヴァーなんてのも入ってて、なかなか聴きどころが多い。

大西洋と世代を超えて結び付いたヴァイブが表現されてるようなピースフルな 1 枚で、聴いてると何故か、20 年近く前に体験したノッティング・ヒル・カーニヴァルの記憶が頭に浮かんできた(特に "Hypocrite Dog" とか)。ノッティング・ヒル・カーニヴァルといえば、ヨーロッパ最大のストリート・フェスティヴァルであり、カリブ海 / ジャマイカ系移民の祭典。サウンドシステムから鳴り響いてたのは、日差しがジリジリと肌を焼くような熱さを感じさせる純ジャマイカ産のレゲエとは一味違う、洗練されてて、陽気なのに、なぜかロンドンの曇り空によく似合う、ちょっとセンチメンタルな趣きを持った優しくて、でもドープなサウンド。あれ以来、一度も行ってないけど、たぶん今でも変わらずにそういうサウンドが鳴ってるはず。このアルバムを聴いてたら、なぜかそんなことを思い出した。

2009/02/16

Cloudy but lovely.


. THE WILD BUNCH(Ariwa)

前のエントリーからの続きというか、ワイルド・バンチつながりでメチャメチャ懐かしいアルバムを一緒に聴き直したので、合わせてレビューを。

'この' ワイルド・バンチはサンドラ・クロスをヴォーカリストとしたバンドで、このアルバムは 1984 年にマッド・プロフェッサーの主宰するアリワからリリースされたモノ。プロデューサーも当然、マッド・プロフェッサー。最高にダサカッコよすぎるアートワークの写真同様、サウンドも相当イナタいラヴァーズ・ロックで、チープなサウンドがたまらん。別に、誰にでもオススメしたい名盤って感じじゃないけど、B 級グルメっぽい味わいがある(好きな人にはたまらないんじゃないかな)。

実は、個人的には天気が良さそうなイメージのジャマイカン・レゲエより、ドンヨリ曇り空でちょっと洗練された UK レゲエ〜ラヴァーズ・ロックのほうが好きなモノが多かったりして(もちろん、ルーツ・レゲエは好きだけど)、そういう意味でもけっこうツボだったりする。 古き良き時代のラヴァーズ・ロック。こんなアルバム、今となっちゃそうそう売ってないだろ、と思ったら iTunes Store で売ってた。いい時代だ。

2009/02/08

Inspired and mixed-up.

"Inspiration Information, Vol. 1"

. AMP FIDDLER / SLY & ROBBIE(Strut)

イギリスのレーベル、ストラットのコラボレーション・アルバム・シリーズの第 1 弾で、アンプ・フィドラーとスライ & ロビーのコラボレーションによるフル・アルバムだって言われれば、もちろんチェックせずにはいられない。

シャギー・オーティスの名盤からタイトルが取られたと思われるこのシリーズの第 2 弾としてアシュレイ・ビードルとホレス・アンディのアルバムがもうすぐリリースされるってニュースを聞いて、詳細を調べてたら 2008 年の秋にリリースされてたこのアルバムのことを知ったんだけど、片や最近のデトロイトを代表するマルチ・ファンキー・ソウル・マン、片やジャマイカン・リヴィング・レジェンド。この組み合わせだけで、作品に対する期待値はついつい上がっちゃう。アンプ・フィドラーがキングストンのスライ & ロビーのもとを訪れて制作されたらしいだけど、仕上がりはなかなかドープ。ファンクで、ソウルで、もちろんレゲエ。デトロイトとキングストンという、北中米でも屈指のソウル・シティであり、お互いに刺激し合いながら、世界の音楽シーンに大きな影響を及ぼしてきたふたつの街をグルーヴが融合した、期待に違わぬ出来映えの 1 枚。

こういうジャンルを超えたコラボレーションって、1 + 1 が 2 以上になるケミストリーが起こりやすいし、アーティストにとってもリスナーにとっても、そしてジャンルレスなグッド・ミュージックのためにすごく有意義なことだと思う。