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2012/02/11

Rappers' delight.

『HOW TO RAP 104 人のラッパーが教えるラップの神髄』
 ポール・エドワーズ 著 池城 美菜子 訳 (P-Vine Books)★★★★☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

去年の年末に出版されて、「こんな本、見たことない!」って一部で大きな話題になってた一冊。まぁ、これは読まない手はないだろ、と。

何でかっていうと、本自体は 100 人以上のラッパーに 'ラップの仕方' についての質問をして得られた返答をテーマごとにまとめたっていう、言ってみればスゲェ直球なモノなんだけど、その質問が「こんなこと、今まで誰も訊いてなかったよな?」って内容だったから。具体的には、「リリックを何所で書くか」とか「どんな道具で書くか」みたいな、「そんなこと、普通は改まって訊かねぇよなぁ」的なことから、実際にラップをやったことのない人間にはイマイチピンとこないようなテクニカルでマニアックな部分まで、すごく多岐に渡る質問が網羅されてて、その返答が「コンテンツ / 中身(CONTENTS)・フロウ(FLOW)・ライティング(WRITING)・デリバリー(DELIVERY)」っていう 4 つのテーマに分けてまとめられてる。

率直な感想としては、「こんな本、見たことない!」ってのは間違いない。ただ、誰にでもオススメかっていうと、ちょっとビミョーなところはなくはないかな。ある程度のヒップ・ホップ / ラップ・リテラシーみたいなモノを求められる気がするし。まぁ、それを踏まえた上でも、個人的には普通にヒップ・ホップ / ラップに関する読み物としてすごく面白く読めたんだけど。純粋にある種のエンターテインメントとして。あと、ちょっと堅い言い方をすると、'ラップ' っていうヴォーカリゼーション / 口頭文学表現(なんて言葉があるのか知らないけど。まぁ、文字ではなく音で聞かせる詩的・文学的表現ってこと)をより深く理解するための分析としてもすごく貴重だし。

2011/11/09

Minimal freestyle art of words.

"太平洋をつなぐ詩の夕べ ゲーリー・スナイダー & 谷川俊太郎
 An evening with GARY SNYDER & SHUNTARO TANIGAWA" ★★★★☆
 Link(s): Website

10 月 29 日に新宿の明治安田生命ホールで、同年代であり、今もなお現代の日本とアメリカを代表する詩人として活躍しているゲーリー・スナイダー(GARY SNYDER)と谷川俊太郎の 2 人が出演したポエトリー・リーディングのライヴ・イヴェントが行われた。

ゲーリー・スナイダーは 1930 年生まれで、谷川俊太郎は 1931 年生まれ。1950 年代に詩人としてのキャリアをスタートさせたっていう共通点を持ち、1971 年に谷川俊太郎がゲーリー・スナイダーのキット・キット・ディジーの自宅を訪ねているなど、親交の深い 2 人が同じステージに立つっていう、なかなか豪華且つ興味深いイヴェントだったんで、ちょっと日が経っちゃったけど、一応、感想をまとめておこうかな、と。

会場の雰囲気としては、基本的には谷川俊太郎ファンが多かったような気がする(まぁ、当然って言えば当然だけど)けど、個人的な目当ては圧倒的にゲーリー・スナイダー。これまでにもゲーリー・スナイダーについては何度か取り上げてる通り、すごく好きな詩人 / 作家なので。

もうそれなりに高齢ということもあり、次にライヴを観れる機会がいつあるのかわからない(もちろん、特に他意はないけど、まぁ、年齢を考えれば、そう考えざるを得ない)って意味でも、これは行っとかないとまずいな、と。ゲーリー・スナイダー自身は日本との関係も深くて、わりと頻繁に来日はしてるんだけど、実はライヴを観るのは初めてだったりしたんで。

2011/06/18

The legendary bluesologist.

GILBERT 'GIL' SCOTT-HERON (Apr 1, 1949 - May 27, 2011) - Rest in peace, brother.

もうけっこう時間がたっちゃったけど、先月 27 日にギル・スコット・ヘロン(GIL SCOTT-HERON)の訃報が伝わってきた。

ギル・スコット・ヘロンといえば、アフロ・アメリカン・カルチャーを代表する詩人であり、作家であり、ミュージシャンであり、ある種のアクティヴィストであり、ラップに多大な影響を与えたことで知られてるアーティスト。訃報はまず Twitter で知り(最近、このパターンが多い)、その後、Google News で(主に英語ソースの)各種報道を併読して詳細を確認したところ、死亡した事実と人物紹介はされてるものの、どうも、詳しい死因は報じられてないっぽい。享年 62 歳。思ってた印象よりも若い。

個人的にはメチャメチャ好きなアーティストの 1 人なんで、そういう意味では、もちろん、すごくショックだし悲しいんだけど、一方で、死亡したって事実自体にはそれほど驚かなかったって面もあったりして(年齢を考えると、もちろん、若すぎるとは思うけど、そもそも、もっと年齢が上だと思ってたんで)、一見相反するような感情が共存するような、ちょっと変な気持ちだったりもしてる。

2008/12/29

Deep voice of Philadelphia.

"Ruckus Soundsysdom". URSULA RUCKER(Five Six Media) ★★★★☆

フィラデルフィアの女流詩人、アースラ・ラッカーの 4 枚目のフル・アルバムで、同郷のソウルメイト、キング・ブリットの主宰するプロダクション / レーベル、ファイヴ・シックス・メディアからのリリース。

アースラのことを初めて知ったのは、同じく同郷のザ・ルーツのアルバム "Do You Want More?!!!??!" に収録されてた "The Unlocking" だったと思うんだけど、最初に強烈なインパクトを受けたのは 4 ヒーローのアルバム "Two Pages" のオープニング・トラック、"Loveless" を聴いたとき。"Two Pages" 自体も、印象的に使われているストリングスなどのライヴ・インストゥルメントを全面に導入した斬新で音楽性の高いサウンドとソングライティングで、ドラムンベースって枠を軽々と超えて当時のドラムンベース / クラブ・ミュージック・シーンの度肝を抜き、新しい時代の扉を開けたクラシック・アルバムだと思うけど、そのアルバムの革新性と音楽性の高さを象徴していたのが "Loveless" で、アースラのポエトリー・リーディングのメッセージが効果的に、メチャメチャ強烈に心に響いてきた。