"LA ♥ JPN ♥ LA Vol. 1 / Vol. 2" (disques corde) ★★★★☆
Link(s): iTunes Store (Vol. 1 / Vol. 2)
この "LA ♥ JPN ♥ LA" シリーズは、LA 界隈のアンダーグラウンド・シーンが中心になってコンパイルされた 311 のチャリティ・コンピレーション。ヴォリューム 1 は 7 月に、ヴォリューム 2 は今月リリースされてて、LA 界隈のアーティストだけでなく、日本人アーティストの音源も収録されてる。あと、それぞれ 25 曲以上収録されてて価格は ¥900 なのでかなりユーザー・フレンドリー。売り上げはすべて日本赤十字社とシヴィック・フォース(Civic Force)に寄付されるという。
具体的に参加してるアーティストは、ヴォリューム 1 はラス・G(Ras G)やダム・ファンク(Dam-Funk)、カルロス・ニーニョ(Carlos Nino)、ミゲル・アットウッド・ファーガソン(Miguel Atwood-Ferguson)、ギャビー・ヘルナンデス(Gaby Hernandez)等、ヴォリューム 2 はトキモンスタ(Tokimonsta)、ライフ・フォース・トリオ(The Life Force Trio)、フリー・ザ・ロボッツ(Free the Robots)等、LA 界隈のシーンを代表するアーティストたちがトラックを提供してる。
また、日本からも DJ ミツ・ザ・ビーツ(DJ MITSU THE BEATS)やブン(Bun)、インナー・サイエンス(Inner Science)らが参加してて、まぁ、間違いないっつうか、かなり聴き応えのある内容に仕上がってる。
Bandcamp のページ(Vol. 1 / Vol. 2)があるんで全曲プレヴューできるかなと思ったんだけど、プレーヤーが何故か上手く張り付けられない(エラーが出る)んで、代わりにハシム B がこのコンピレーションの収録曲を使ったミックスを(podomatic のページからダウンロードもできる)。全体の雰囲気はつかめると思うんで。
聴いての通り、基本的にはヒップ・ホップをベースにしたトラックが中心になってるんだけど、アーティストによってよりエレクトロニックなサウンドだったり、よりファンクなサウンドだったり、よりジャジーなサウンドだったり、よりアコースティックな感じだったりと、ヴァラエティに富んでいながら、共通した何かを感じさせる内容になってるのが特徴かな。
ちょっとハナシがズレるけど、'この手の' サウンドって、何て呼んでいいのか、適した言葉がみつからなくてすごく苦労してる。単なるヒップ・ホップではない(っていうか、一般的な意味でのヒップ・ホップとはひと味違う)けど明らかにヒップ・ホップで、モノによってはテクノ / エレクトロニカとかファンク / ソウル・ミュージックとかジャズとかレゲエ / ダブとかの要素が色濃く混ざってて、エクスペリメンタルでディープでドープな印象で。しかも、個人的には、最近、一番好きなタイプだったりするんで、適した呼び名がないことがすごくもどかしくて、同時に不便なんだけど。
ハナシを "LA ♥ JPN ♥ LA" シリーズに戻すと、もうひとつ、大きな特徴って言えるのが参加アーティストのラインアップ。まさに 'LA - JPN コネクション' とでも言うべき豪華なアーティストが参加してるんだけど、この辺はさすがハシム B(HASHIM B)のコンパイルって感じかな。上に貼ったミックスも手掛けてるハシム B は、前に書いたカルロス・ニーニョとミゲル・アットウッド・ファーガソンの "Suite For Ma Dukes" のレヴューの追記の中に名前が出ている「バルーチャ・ハシムくん」のことで、今、どういうスタンスで活動してるのか詳細はわかんないんだけど、LA 在住のバイリンガルの DJ / プロデューサーであり、同時にライター業や通訳・翻訳なんかもやってるアーティスト。個人的にも、日本で活動してた頃に何度か一緒に仕事をさせてもらったこともあったりする。いつから LA に拠点を移したのかは知らないけど、良質なインターネット・ラジオの老舗として知られる dublab 界隈でも名前を見かけることが多い。この "LA ♥ JPN ♥ LA" シリーズでは 'compiled and produced by Hashim Bharoocha' ってカタチでクレジットされてるんだけど、このシーンの 'LA - JPN コネクション' をつなぐ人物としてはまさに最適で、ハシム B ならではのコンピレーションだし、すごくいい仕事だなって素直に思う。
まぁ、コンピレーションなんで、多少、散漫な印象っていうか、全体としてのまとまりみたいなモノがちょっと欠けてる感は否めないけど、個々の曲のクオリティは間違いない。今はデジタル・ダウンロードの時代だから好きなトラックだけを買うこともできるし、そういうスタイルが一般的なのかもしれないけど、それぞれ 25 曲以上収録されててアルバムとしての価格は ¥900 だし、コンピレーションってカタチで聴くことで知らないアーティストとの新たな出会いや発見もあったりするし、チャリティ・コンピレーションだし、アルバムとしてまとめて買っといていい感じ。
311 関連のチャリティ・アルバムでは、これまでにもドイツのテクノ・レーベルのコンパクト(Kompakt)がリリースした "Kompakt Benefit Compilation for Japan"、日本のドラムンベース・レーベルの HE デジタル(HE:Digital)がリリースした "Something We Can Do"、イギリスのアブストラクト・ヒップ・ホップ系のレーベルのア・ブリッジ・トゥー・ファー・レコーディングス(A Bridge Too Far Recordings)の "The Sun Still Rises In The East" の 3 枚をレヴューしたけど、この "LA ♥ JPN ♥ LA" シリーズもかなりいい出来映え。企画としてもバッチリだし、ヴォリューム的にもクオリティ的にも聴き応え十分だし。
* Related Item(s):
"Kompakt Benefit Compilation for Japan" Link(s): entry on Apr 15, 2011
ドイツの老舗テクノ・レーベル、コンパクト(Kompakt)の震災支援コンピレーション。全 34 曲収録。
"Something We Can Do" Link(s): entry on Apr 4, 2011
日本人のドラムンベース・アーティストたちが集結した震災支援コンピレーション。すべて未発表の全 15 曲収録。
"The Sun Still Rises in the East" Link(s): entry on Mar 27, 2011
イギリス人の DJ / プロデューサーのパット・D が主宰するア・ブリッジ・トゥー・ファー・レコーディングスと『ザ・ファインド・マガジン』誌の企画によるコンピレーション。
0 comment(s)::
Post a Comment