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2009/02/18

The unbelievable truth.

『日本の国立公園』 加藤 則芳 著 (平凡社新書) ★★★☆☆
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books


これまでにも『森の聖者 - 自然保護の父 ジョン・ミューア』や『自然の歩き方 50 ー ソローの森から雨の屋久島へ』、インタビューが載ってる『Spectator』をレビューした八ヶ岳在住の作家 / バックパッカーの加藤則芳氏が、日本の国立公園の現状と問題点について綴った 2000 年の著作。新書って基本的には好きじゃないし、あまり読まないんだけど、別に新書だから読まないってわけではないんで(そんなのナンセンスだし)。

『自然の歩き方 50』でもちょっと触れられていた国立公園にポイントを絞った内容で、実際に現地に足を運んで現地の人やレンジャーに聞いた話や法律や統計といったデータ、さらには日本の国立公園ができたプロセスやそこで生まれて今も解消されてない構造上の問題(林野庁と環境庁の縦割りの弊害や軋轢等)からアメリカでの国立公園の成立や現状まで、事実は事実として記しつつ、主観は主観として乱暴なくらいに展開されてて、なかなか面白い。

ラルフ・ウォルド・エマーソンの「魂の豊かな心理は自然の中にあり、自然の中に、なにものにも頼らずに己の内なる本源によって立つときが、最も崇高である」って言葉を引用しつつ、ヘンリー・デヴィッド・ソロー、そして「国立公園の父」と呼ばれるジョン・ミューアへとつながっていくアメリカの国立公園自体に内在している思想について最初に触れてるんだけど、つまるところ、この部分の社会的なコンセンサスの欠如、もっというと教育とリテラシーの低さが日本の本質的な問題なのかな、と。

2009/02/15

Walk and be modest.

『自然の歩き方 50 ー ソローの森から雨の屋久島へ : 
 加藤 則芳 著 (平凡社)  Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

これまでにも『森の聖者 - 自然保護の父 ジョン・ミューア』やインタビューが載ってる『Spectator』を取り上げた八ヶ岳在住の作家 / バックパッカーの加藤則芳氏の 2001 年の著作。加藤氏がこれまでに訪れた世界中(もちろん、国内も含む)のアウトドア・フィールドの中から選りすぐりのスポットを紹介しつつ(聖地・ヨセミテやソローの森、さらには林芙美子が『浮雲』で「ひと月で 35 日雨が降る」と語った屋久島まで)、その背景にある考え方などを綴った 50 編の短いエッセイで構成されてる。

 各編に割かれてるページが 2-3 見開きということで、読み物としてはわりとスルッと読めちゃうというか、それほど読み応えがある感じではないし、写真の良さも活かせてない(オフィシャル・サイトやペンタックスのサイトにあるアパラチアン・トレイル踏破の特設ページを見れば、加藤氏の写真の素晴らしさがわかるはず)。そういう意味では、新書っぽい不満足感というか、物足りなさはどうしても感じちゃう。このくらいの文量をまとめるなら、写真をメインに見せる雑誌的なカタチのほうが相応しい気がするし、個人的にはもっと文量が欲しい気がするし、どっちにしても、ちょっともったいないな、と。

2008/04/15

The nature activist.

『森の聖者 - 自然保護の父 ジョン・ミューア』  
 加藤 則芳 著 (小学館ライブラリー)
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books 

「国立公園の父」として知られ、憧れのジョン・ミューア・トレイルの由来にもなったジョン・ミューアの足跡と功績を綴った一冊。ナチュラリストであり、ネイチャー・ライターであり、アクティヴィストでもあった彼が、どういう経緯で、国立公園のヴィジョンを持ち、実現したのかがよくわかる。

最近、いろんなところで目にしていた名前なので、とても気になってたけど、なかなか書店の店頭では目にする機会が少ない。結局、アマゾンのマーケットプレイスで買えたんだけど、こういうのを手に取って、中身を確認して買えないのはすごく不満だし、いい本なだけにとてももったない。

エコだの環境問題だの、いろいろ言われるわりに、目先のことばかりに振り回されてる感の強い昨今なだけに、こういう先人のことをキチンと知っておきたいもんです。

2008/03/23

Pack your life.

Spectator Vol. 16 (2006 Autumn & Winter issue) "Mountain High Life"
(エディトリアル・デパートメント) ☆ Link(s): Amazon.co.jp

今ひとつポイントがつかめないというか、ツボが合わない感じであまり読む機会がなかった『Spectator』だけど、この「バックパッキング特集」はなかなか読み応えあり。いわゆる「山系」の雑誌ではカバーしきれない側面であり、『Spectator』が得意とする(サブ・)カルチャー的な面をカバーしつつ、あくまでも専門誌ではない(読者が山について詳しくない)というスタンスでバックパッキングの基本的な部分はしっかりと押さえてるので、入門書としてもなかなか面白いし、芦沢一洋氏の『バックパッキング入門』からの貴重な抜粋原稿や、『森の聖者 - 自然保護の父 ジョン・ミューア』の著者、加藤則芳氏のインタビュー、丹沢のボッカなど、読み応え十分な記事も多い。特に、芦沢一洋の古典書『バックパッキング入門』の第 1 章「SPIRIT & MIND 成り立ちと背景。 バックパッカーの誕生 」が全文掲載されているだけでも十分貴重で、チェックする価値アリ。考え方的に、ちょっとアメリカのバックパッキング・カルチャー寄り過ぎな感は否めないけど、その文化はその文化で学ぶべきモノは多いので、その辺をちゃんと押さえつつ、上手いこと日本的な考え方と融合させていけば、なんとなく先が見えてきそうな気がする。コレだけを鵜呑みにするのはどうかと思うけど、ヒントはいろいろと含まれてる。個人的にはいわゆる「山系」だけでは物足りない部分をカバーしてくれてるし、好み的にも(サブ・)カルチャー的な面はアリなので、こういうモノはもっとあってもいいね。