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2014/09/11

How many more miles must we march?

BEN HARPER "Welcome to the Cruel World" (Virgin)  ★★★★☆

ベン・ハーパー『ウェルカム・トゥ・ザ・クルーエル・ワールド』

Links: iTunesAmazon / Rakuten


この "Welcome to the Cruel World" はアメリカ人男性シンガー・ソングライター、ベン・ハーパー(Ben Harper)のファースト・アルバムで、リリースされたのは1994年なので今年で20周年ということになる。まぁ、実際のリリースは2月なので厳密にはもう約半年過ぎちゃってるわけで、別に20周年ってタイミングでどうこうというわけじゃないんだけど。ただ、もともと個人的にはすごく好きだったんだけど、最近、改めて聴き直したらすごくグッときちゃって、でも、ちゃんと読めるようなレビューとかを(少なくともインターネット上では)あまり見かけないんで、ちょっと整理しておこうかな、と。

なんでグッときちゃったかっていうと、単純に、2014年に聴いても作品が持つパワーが衰えてないから。だって、アルバム自体が「無慈悲な世界へようこそ」なんてアイロニカルなタイトルで、1992年に LA で起こった暴動(Link: Wikipedia)の発端(これだけが原因と断定できないけど、トリガーのひとつであったことは間違いない)になったロドニー・キング事件をモチーフに、マーティン・ルーサー・キング Jr.(Martin Luther King Jr.)を引き合いに出して「マーティンの夢はロドニーの最悪の悪夢になった」なんて歌う "Like A King" とか、同じくマーティン・ルーサー・キング Jr. の1962年のワシントン大行進を想起させる「世界を変えたいなら、未来を過去のようにしてはならない。教えてくれ。オレたちは何マイル行進しなきゃならないんだ」なんて歌詞の "How Many Miles Must We March" なんて曲が収録されてるんだけど、20年経った2014年になっても本質的には状況も問題も悲しくなるくらい変わってないから。こないだミズーリ州ファーガソンで起こったことなんかがすぐに思い浮かぶけど、別にアメリカに限った話じゃなくて、ヨーロッパも中東もアジアも(もちろん日本も)同じ問題を抱えてて、むしろ状況は悪化してると思うんで。海外でも日本でもいろんな案件でデモが頻発してて、デモって行為自体はもっともプリミティヴな市民の民主的意思表明としてどんどんやったほうがいいと思ってるけど、でも、やっぱり「あと何マイル行進すればいいんだよ?」って思っちゃうことがないとは言えないところもあったりするんで。

2009/10/15

Wild style.

野性の実践』ゲーリー・スナイダー 著 原 成吉重松 宗育 訳
(山と溪谷社) ★★★ Link(s): Amazon.co.jp

今日はブログ・アクション・デイ '09(Blog Action Day '09)で、今年のテーマは 'Climate Change' ってことなので、それに合わせたエントリーを。で、何をピックアップしようかなって考えた中で、一番相応しいというか、個人的に一番シックリくるのはゲーリー・スナイダーのこのクラシックかな、と。

個人的には 'Climate Change' ってテーマ自体、なかなか難易度が高いっていうか、個人的には「一筋縄ではいかない」って印象があるテーマって気がしてて。まぁ、翻訳すると「気候変動」ってことになるんだろうけど、「気候変動」とか、その原因だと言われてる「温暖化ガス(CO2)削減」とか、ちょっと、頭から信用しちゃって平気? みたいなところもあったりして。そんなに簡単にわかったり、割り切れたりする話じゃないと思うんだけど、なんか、その議論抜きで「前提」になっちゃってて、あたかも「それだけやっとけば OK」的な風潮になってる感じにはちょっと違和感があって。ホントにそうなのか? ってのはキチンと議論・検証されるべきだし、決してそれだけで OK なんて話じゃないはずだし。

2009/04/21

More authorized confusions.

傷だらけの百名山
続・傷だらけの百名山
新・傷だらけの百名山

. :加藤 久晴 著(新風舎)

前にレビューしたジャーナリストの本多勝一氏の『「日本百名山」と日本人』で触れた、深田久弥氏が日本百名山 』で選出した 100 座の憂うべき現状を綴った加藤久晴氏の著作。タイトルを見てわかる通り、一連のシリーズとなっている。続編が 2 冊も出版されたってことは、当然、一定以上の支持を得たってことなんだろうけど、読んでみればそれも合点がいくというか、なかなか笑えない内容。それぞれ 1994・1996・2000 年の出版なので、情報はちょっと古いところもあるけど、問題の本質は基本的に変わってないし、むしろ悪化してるのかも。

著者の加藤久晴氏はもともとテレビ局の番組制作者ということで、それほどハードコアな山男ということではないらしい。しかも、サラリーマン(一般的な企業とはちょっと違うと思うけど)。だから、わりと普通にいる山好きの人みたいな印象で、だからこそ、そういう、わりと「普通の山好き」と同じようなスタンスで書かれているので、親近感が持ちやすかったり、実感しやすかったりする。


「百の頂きに百の喜びあり」と深田久弥氏が書いてから幾星霜、傷だらけの百名山』は百名山がどんなことになっちゃってるかを記したものだってことはタイトルから容易に想像できるけど、問題点を抉り出して責任者を糾弾するような、いわゆる社会派な、ちょっと「重い」感じのイメージがあったんだけど、実際にはそうでもなくて、問題点についてはもちろん指摘してるんだけど、同時に山の良さとかそこにたずさわる人の想いとかもキチンと触れられてて、思ったよりもいい感じに「重過ぎない」、でも「軽過ぎない」印象。わりとスルッと楽しみながら読めちゃう。

そうは言っても、もちろん、決してただ楽しい内容ではなくて、特に冒頭から白馬岳と八ヶ岳っていう行ったことのある山が紹介されてたりするんで、全然笑えないというか、かなりリアリティを持って実感できちゃったりしたんだけど。もちろん、
日本百名山 』の 100 座すべてを取り上げてるわけではなく、傷だらけの百名山』で取り上げられてるのは白馬岳・八ヶ岳・白山・富士山・槍ヶ岳。著者が首都圏在住・勤務だからなんだろうけど、いきなり 5 つのうち 3 つも行ったことがある山が取り上げられてて、なんとなくモヤモヤと感じてたことだったりもしたんで、りと実感を持って読めちゃった。

個人的には、長野オリンピック招致にまつわるリフトとジャンプ台建設のヒドイ話と、1972 年の札幌オリンピックのときにオリンピック招致をしていて、本命と目されていたカナダのバンフの開催予定地がバンフ国立公園内にあり、 自然破壊の恐れがあることを WWF 会長が IOC 委員に手紙を送り、結果的にバンフ開催が見送られた(結果的に開催地になった札幌にも同じ問題があった)ってハナシが引っかかった。前者に関しては、ゴルフ場と並んで、スキー場の存在に関してすごく疑問を感じてて(決して、ゴルフとスキーという競技自体を全面的に否定してるわけじゃない)、でも、同じようなことを感じてる人が思いの外、少ない感じがするから。わりと、誰も言わないし、共感してもらえないんだけど、なんでなのか、メチャメチャナゾで。後者に関しては、今、まさに旬の話題というか、ちょうど IOC が東京に来てたらしいし。「環境に優しいオリンピック」とか、それ自体が自己矛盾を孕んでるとしか思えないんだけど。もちろん、反対してる人もいるし、視察先でデモをしてたらしいんで、ちょっとホッとしたけど、少なくともマスメディアは、箝口令(言論統制?)でも出てるのか、わかりやすく口を揃えて招致に賛成してるし。まぁ、前回の東京オリンピックにそれなりの意義があったらしいことは理解できなくもないけど、今さら東京でオリンピックとか意味不明の何物でもないし。まぁ、もっと言うとオリンピック自体、どうかとも思うし。ちなみに、文庫版の解説はアルピニストの野口健氏。


2 作目の
続・傷だらけの百名山は、「まえがき」にも描かれてるけど傷だらけの百名山』よりも、より周辺情報というか、問題提起というか、山自体だけでなく、開発による環境破壊やそれに対する反対運動などにもフォーカスを当ててる。取り上げてるのは谷川岳・丹沢・奥日光・旭岳・利尻山・苗場。「遭難死者数世界一の山」こと谷川岳は去年行って、まさにここに書かれてる通り、ウンザリした(そのときのことはここに日記が書いてある)ので、のっけからガツンとヤラれた感じ。苗場も某野外フェスティヴァルに仕事で行ったときに唖然とした記憶があるのでリアルにイメージできるし。ここでは、その開発を行った K という会社(たぶん、何年か前になくなったここのことかな?)の地元に対する仕打ちとかも克明に描かれてて、よりルポタージュっぽい内容になってる。

そういえば、ちょっとハナシがズレるけど、ちょうどこのスキー場絡みで、前からすごくナゾなことがあって、たくさん開催されてる野外フェスティヴァルをアウトドアとかエコロジーとかと無理矢理結びつける風潮にもすごく違和感を感じるんだけど、なんで誰もそれに疑問を呈しないんだろう? アウトドア・ブランドやショップもひとつのビジネス・チャンスとして利用してる感があるけど(夏前くらいになると必ず「野外フェス向けキャンペーン」みたいのが大々的に展開されてる)、すごく疑問を感じる。「傷だらけの百名山」のハナシとはちょっとズレるけど、本質的には同じ問題の気もするんで。本多勝一氏が言うところの「メダカ社会」というか。たぶん、百名山病はちょっと年配の世代の人に顕著な病だとすると、野外フェス病はより自分に近い世代の病のような気がしてるんで、これはこれで、より自分にとってはリアルな問題っぽい気がしてる。

ともあれ、この
続・傷だらけの百名山よりルポタージュっぽい内容ではありつつも、いい部分(上手く環境が保全されてる例とか、そのために活動してる人たちとか)についても触れる姿勢も貫きつつ、さらには、問題を提起したりするべき報道、特に TV にまつわるいろいろな問題(直接関係ないけど、ドラマに自動販売機が写らない理由とかも面白かったし。自動販売機については、個人的にもいろいろ思うところがあるんで。良くも悪くも)とか、車の排気ガスとか皇族山行の問題なんかにもふれながら、前作同様、読みやすい感じにまとめられてる。文庫版の解説は、『「日本百名山」と日本人』のレビューでも触れた通りジャーナリストの本多勝一氏。


3 作目の新・傷だらけの百名山』はシリーズ完結編ということで、羅臼岳・斜里岳、大朝日岳、平ヶ岳、尾瀬・至仏山、赤城山、大菩薩嶺、天城山、大山、久住山、宮之浦岳、さらに(百名山じゃないけど)武甲山等の惨状に触れてる。前作 2 冊とはちょっと趣向が違ってて、『週刊金曜日』等に掲載したモノに幾つか加えたものが第 1 部で、ブナ林の素晴らしさと現状の問題点を訴える「ニッポン・ブナ山紀行」という、必ずしも百名山に限らない問題も第 2 部として紹介されてる。ここで取り上げられてるのは巻ノ沢岳(山形)、博士山(福島)、三頭山(東京)、西丹沢・大室山(神奈川)、大台ケ原(奈良)、安蔵寺山(島根)。『週刊金曜日』等に掲載したモノなんで 1 本の原稿が短めで、結果としてたくさんの山がちょっとずつ取り上げられてる。

まぁ、山は違えど言わんとしてることは基本的に前作 2 冊と共通してて、スタンス的にも続・傷だらけの百名山』に近い。自分で行って、見て、聞いて部分プラス調査・取材って感じ。個人的に行ったことがあるのは大菩薩嶺だけ宮之浦は近くまで行ってるけどルートが違う)なんで、前作 2 冊よりは実感は薄いけど、まぁ、どこもなかなかヒドイ感じ。ヒネクレ者のモノ好きだからか、どれだけヒドイのか、自分の目で見てみたい気もしちゃうくらい。まぁ、他に行きたいところを見つけたほうが健全だと思うけど。あと、直接関係ないけど、ちょっと面白かったのが、「日本では自動販売機だけで原発一基分の電力を消費していると言われている」ってハナシ。ソースが書いてないから詳しくはわかんないけど、ちょっと興味があるハナシではある。文庫版の解説は去年、『脱百名山登山学』という本を出してるらしい石井光造氏。石井氏については何の予備知識もないんだけど、出版社のサイトに書かれてる本人の言葉を読む限り、ちょっと興味深い感じがしてるんで、機会があれば読んでみようかな、と。
人間が単に足を踏み入れるだけでも、多かれ少なかれ生態系への何らかのインパクトを与えている ー 登山者のモラルを考えるさいに、つねに立脚点としなければならないのはこの点ではないだろうか。(中略)究極的な考え方をすると山行そのものの否定につな がりかねないのであるが、そうならないためにも、われわれは山行にさいして最大限の注意と配慮をしなければならないだろう。
続・傷だらけの百名山』で加藤氏もこう述べてるんだけど、やっぱりこの問題は避けて通れない。行けば行くほど考えちゃうし、考えれば考えるほどそう思っちゃう。「共生」って言葉が一般化したのは 1992 年にリオ・デ・ジャネイロで開催された地球サミット(環境と開発に関する国際会議)だったらしいんだけど、それから 15 年以上経ってるのになかなかリアリティが感じられない。これは山行に限らず、人間の文明活動全般にも言えることなんだけど。ある種の自己矛盾みたいなモノ。それこそ、「環境に優しいオリンピック」とか野外フェスティヴァルと同質の自己矛盾。まぁ、これは、もう、程度の問題であるとは思うけど、同時に、少なくともその自己矛盾に自覚的であることはすごく大事だし、最低限必要なことだとは思うけど。


まぁ、3 冊で加藤氏が述べてる考え方に 100% 諸手を挙げて賛成したいわけじゃないし、細かいところではイマイチピンとこない部分もないことはない。例えば、異常に嫌煙家であるわりに嫌酒家(こんな言葉があるのかナゾだけど)への配慮はあまりないこととか、やたらと山で缶ビールを飲みたがることとか。そんなに目くじら立てて大人気なく非難する気はないけど、ちょっと疑問ではある。あと、論調も主観をわりと乱暴で断定的な書き方をしがちな感じもあるんで、抵抗を感じる人もいそうだし(個人的にはそうでもないけど)。でも、まぁ、そういう細かいところはあるにしても、大意としては十分理解・共感できるし、いろいろ考えさせられる部分は多いな、と。原書の出版はリベルタ出版というあまり耳馴染みのない出版社で、文庫版は自費出版にまつわる問題を起こした新風舎なんで、正直、ちょっとどうなんだろう? って感じもあったんだけど、そういう問題と本自体はもちろん関係ないんで。

2008/12/14

Natural music classics.



"3 Years, 5 Months & 2 Days in the Life Of ..." / "Unplugged" / "Zingalamaduni"

. ARRESTED DEVELOPMENT(Chrysalis)

1992 年にデビューして、そのオリジナルなサウンドとスタンスで一世を風靡したヒップホップ・ユニット、アレステッド・デヴェロップメント。別に今、再評価の気運が高まってるわけでも何でもない(と思う)し、ヒップホップの歴史の中でどう評価されてるのか全然知らない(興味もない)んだけど、個人的にすごくシックリきてるというか、あらためてグッときてたりするんで、あらためてレビューを(ただ、1992 年の衝撃のデビュー・アルバム "3 Years, 5 Months & 2 Days in the Life Of ..." と 1993 年のライヴ盤 "Unplugged"、1994 年のセカンド・アルバム "Zingalamaduni" の 3 枚に関してってことで、スピーチのソロ以降の再結成作品は対象外。キチンと聴いてないので。日本ではやけに大ヒットしたスピーチのソロ作はキライじゃなかったけど)。

ギャングスタ・ラップ全盛で、LA と NYC を中心に回ってた 90 年代初頭のヒップホップ・シーンに、ヒップホップ不毛の地と思われてたアトランタから突然変異的に現れたインパクトも相当なもんだったし、アフロセントリックなルックスとリリックやオーガニックでブルージーなサウンド・プロダクションもフレッシュだったし。特にスライ & ザ・ファミリー・ストーンの "Everyday People" を大胆にリメイクした "People Everyday" や衝撃的だったデビュー・シングル "Tennessee" 等は時代を代表するトラックだと思うし、この 2 曲が収録された
"3 Years, 5 Months & 2 Days in the Life Of ..." でグラミー賞のベスト・ニュー・アーティストも穫ったりしてた。"Unplugged" もヒップホップ・ユニットととしては異例の出演だったし、"Zingalamaduni"からはスパイク・リー監督の映画マルコム X』のサウンドトラックに "Revolution" を提供したりと大活躍だった。

ただ、今、個人的にすごくシックリきてるのは、別にノスタルジーでもなんでもなくて、オーガニックな(でも、ヒップホップな)サウンドだったり、コンシャスなメッセージだったり、メンバーに「スピリチュアル・アドバイザー」としてババ・オジェイって老人がいたりするユニットとしての在り方だったり、そういうモノを全部ひっくるめて、今、すごく、シックリくるってこと。しかも "Zingalamaduni" に収録されてる "In the Sunshine" とか "Praisin' U" とか、どっちかっていうと地味な曲が。特に "Praisin' U" がすごくグッとくる。それは、上手くイメージが伝わるかわかんないけど、ヒップホップとしてっていうより、ベン・ハーパーやジャック・ジョンソンとかに近い感じで。ゆるくてナチュラルでオーガニックでアーシーな気持ちいいグルーヴというか、なんか、そういうサウンドとしてすごくシックリくるし、今聴いてもすごくフレッシュに感じる。

キッカケは、例えばジェリー・ロペスの『サーフリアライゼーション』みたいな本を読むときにどんな音楽を聴こうかなって思ったことだったり、こないだレビューしたコーネル・ウェストの『人種の問題』の原書が発売された時期について考えたことだったり、一件無関係ないろんなことが、偶然か必然か、似たような時期に気になりだしたからなんだけど、もっと言うと、都市型なライフスタイルから脱却したいと思うようになるにつれて、そこで鳴っているべき音楽も変わってきてるってことなんだろうな、と。

あと、自分がリアルタイムで聴いてきたモノの中で、しばらく聴いてなかったモノが、あらためて新鮮に聴こえてくるって、なんか不思議な感覚だったりもする。