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2009/09/01

Not lazy enough for the mood.

"The Present: Original Soundtrack"

(Brushfire) ★★☆☆☆

ちょっと前のエントリーの "Sprout" のサウンドトラックのレヴューでも触れたトーマス・キャンベルの新作映画、"The Present" のサウンドトラック。リリースは映画公開前の 7 月で、ジャック・ジョンソン主宰のブラッシュファイアから。

そんな周辺情報だったんで、わりと期待して聴いたんだけど、正直なところ、個人的にはイマイチだったかな。たぶん、好みよりもロックな(サーフ・ロックな?)感じだからだと思うけど。個人的にはもっとレイジーでフォーキーでブルージーなのが好みなんだけど、そういう感じはわりと薄くて。

最近、日本先行で新譜 "Lifeboats And Folies" をリリースしたらしい(まだ未聴だけど)トミー・ゲレロの曲はわりといい感じなんだけど、逆に言うと、個人的にグッときたのはこの曲だけだったりして。アルバムとしてはちと不満かな、と。

まぁ、個人的な嗜好の部分が大きいし、雰囲気は悪くないんだけど。映画も良さそうだし(トレーラーはここでも観れる)。でも、まぁ、アルバムとしてはあまり愛聴しそうな予感はしないんだけど。残念ながら。


TOMMY GUERRERO "No Time For Time" (From "The Present: Original Soundtrack")








2009/08/14

Sunshine music. Sunset groove.

"Sprout: The Soundtrack"

(Universal Australia) ★★★☆☆

どこで見つけたのか忘れたけど、トーマス・キャンベルの新作、"The Present" が今月公開だってフライヤーを見かけて(トレーラーはここでも観れる)、思い出したのがこの "Sprout: The Soundtrack"。まぁ、タイトル通り、トーマス・キャンベルの 2004 年の前作、"Sprout" のサウンドトラックで、まぁ、いわゆるサーフ・ムーヴィーのサウンドトラック / サーフ・ミュージックではあるんだけど、この手のモノは数あれど、ちょっと一線を画してるっつうか、わりと安直な感じなのが多い中で、ちょっと異彩を放ってて、いい感じの選曲でわりと気に入ってるんで(もちろん、映画自体の出来もいい)。

まぁ、メインになるのはジャック・ジョンソンとトミー・ゲレロとマニー・マークによるスプラウト・ハウス・バンドだったりするんで、そういう意味では、直球っていえば直球っていうか、まぁ、ある意味、すごくベタだったりする面もなきにしもあらずではあるけど、でも、この 3 人で出来が悪いわけがないし。あと、ジャズのオリヴァー・ネルソンだったり、トータスだったり、必ずしもベタじゃないアーティストも入ってたりして、でも、わりと違和感なく聴けて。あと、ホープ・サンドヴァルって誰だっけ? って思って調べてみたらマジー・スターのヴォーカルの女で、しかも、ここに参加してるホープ・サンドヴァル & ウォーム・インヴェンションズって、元マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン(!!)のメンバーとのユニットだったり。そういうトラックがいい感じでアクセントになりつつ、でも、いい意味で違和感なく収まってて。全体に渋い(地味な?)トラックが多いかな。そういう面も含めて、なかなかいいセレクト & ディレクションで、個人的にもわりとツボで。

まぁ、サーフ・ムーヴィー(のサウンドトラック)/ サーフ・ミュージックと、それを含むサーフ・カルチャーって、言ってみれば、ひとつのジャンルとして確立されてるんで、ある程度のブランディングとかクオリティ・コントロールが保たれてるっていい面もありつつも、逆に、安直だったりベタな感じになりがちな面もあったりすると思うんだけど、その辺のバランスが絶妙でいい感じかな、と。


SPROUT HOUSE BAND "Spanish Flowers" (From "Sprout: The Soundtrack")








2009/05/01

Surf your soul.

『Coyote No.36 特集 海は学校 いまだ知られざる水の島、ハワイへ』

(スイッチ・パブリッシング) ★★★★☆

これまでにも何度か取り上げてる『coyote』誌の最新号の特集は「海は学校」。
サーフィンを軸にした内容で、表紙にジェリー・ロペス、イヴォン・シュイナード、ナイノア・トンプソンなんて名前を並べられたら思わず、やっぱり手に取っちゃう。

特集のサブ・タイトルが「いまだ知られざる水の島、ハワイへ」ってなってる通り、特集のメインはハワイ。前半は、前に
レビューした(★★★★★!!)『ホクレア 星が教えてくれる道』の著者、内野加奈子さんが取材するは、写真取るは、原稿書くは、さらには「クムリポ」というハワイに伝わる創世詞の翻訳もするはの大活躍。とてもいい仕事をしてて、素晴らしい内容。ハワイでも海を知らずに育つこどもが増えてて、そういうこどもたちに海について、ハワイについて教えるアフター・スクールのハナシも面白いし。実務的なことだけ教えてるわけじゃないのがポイントかな、と。ナイノアの記事は、内野さん自身もクルーであるホクレア号の次の計画について。3 年かけて世界・57000km を巡る航海を予定してるんだとか。なんとも壮大な計画。また日本にも来るのかな?

「学ぶ海、悟る海(Wisdom in the the waves)」ってタイトルの記事は、
前にレビューした(★★★★★!!)ジェリー・ロペスの『サーフリアライゼーション』の訳者、岡崎友子さんによるもので、ジェリー・ロペスとイヴォン・シュイナードはここに登場する。メインはパタゴニアのサーフィン・アンバサダーでもあるクリス、キース、ダンのマロイ兄弟。「プロサーフィンの世界に、コンペティション以外のサーフスタイルを確立させた」世代のサーファーということなんだけど、こういう感じは、サーフィンに限らずすごく興味があるというか、気になってたところだったりするんで、興味深く読めたというか、いろいろ考えさせられちゃった。サッカーにしても音楽にしても仕事にしても、なんか似たようなところがあると思うし、なんとなくモヤモヤだけど、そんなようなことを感じてる(考えてる)んで。知らなかった言葉なんで正確な定義はよくわかってないけど、「ソウル・サーフィン」ってすごくいい言葉だなぁ、なんて思ったり。写真も素晴らしいなぁ。ジェリー・ロペスは『サーフリアライゼーション』で述べられてたようなライフスタイルを具現化するためのプロジェクト、サーフリアライゼーション・フェローシップについてで、これもなかなか興味深い(あと、関係ないけど、ジェリーがヨガをしてる写真を使ってるパタゴニアの広告もカッコイイ)。他にも、医師のドリアン・パスコウィッツ(オフィシャル・サイトの URL が www.alohadoc.com。いい URL だなぁ)の言う、ホントの意味での 'recreation' のハナシとか、なかなかいい感じの記事と写真で、読み応え(見応え)があるというか、味わい深いなぁ、と。

あと、ハワイのモロカイ島のハナシがすごくいいなぁ。全然知らなかったんだけど。岩根愛さんの写真が素晴らしい。
名前はいろいろ見るけど、実はあまりキチンと知らなかった、というか、ちょこちょこ見たことのある写真はそんなに好みじゃなかった印象だったんだけど。あと、モロカイの記事の中に出てくる「サブシステンス(subsistence)」って考え方も面白いし。ここはもうちょっと掘ってみたい感じ。サブシステンスにしても、モロカイにしても。

他にも、『野性の呼び声』や『白牙』などで知られる作家、ジャック・ロンドンが 1911 年に発表し、アメリカにサーフィンを伝えたと言われる "The Cruise of the Snark" の一部の抜粋・抄訳も掲載されてて、なかなか読み応えがある。あと、2006 年 1 月に葉山の海に逝った佐久間洋之助の記事もすごく感慨深い。横須賀生まれなので、場所の雰囲気はイメージしやすいんで。個人的には決して「海育ち」ってイメージなわけではないと思うけど、やっぱり、海までチャリで 10 分くらいのところで育ったわけで、やっぱり地元をイメージするときに海はいつも出て来がちだったりはするんで、そういう意味でも、どの記事もいろいろとインスピレーションに富んだ内容で、なんというか、ゴールデン・ウィークの天気のいい昼間に、公園とかで読んじゃうにはもってこいな感じ。ただ、ノンビリしたり癒されたりするだけじゃなく、同時に考えさせられるところがすごくいい(ただの癒し、しかもホントに癒されてるのかもアヤシイ、「エセ癒し」みたいに見えるモノがやたらともてはやされてるように感じることがすごく多い昨今なだけに)。BGM はやっぱベタにジャック・ジョンソンとかで。まぁ、実はあまりゴールデン・ウィークとか関係ないんだけど。でも、混んでるところにわざわざ出掛けたりするより、公園とかでダラダラするほうがいいんじゃね? なんて。


JACK JOHNSON "Hope" (From "Sleep Through the Static")












2008/11/24

Realized as you surf.

『サーフリアライゼーション』
 ジェリー・ロペス 著 岡崎 友子・中富 浩 訳 (美術出版社) ★★★★★
 Link(s): Amazon.co.jp / Rakuten Books

伝説のサーファーとして知られる「ミスター・パイプライン」ことジェリー・ロペスが「サーファーとしてのライフスタイル」を綴った著作で、パタゴニアから今年出版された "Surf Is Where You Find It"(ボックス入りの豪華版もあり)の訳書。原題は「サーフ(≒いい波)なんて、自分次第でどこにでもあるんだよ」みたいな意味だと思うけど、日本語のタイトルにしにくかったからか、訳書はタイトルを変更してる。

訳書のタイトルとなった「サーフ・リアライゼーション(surf realization)」ってのは、「サーフィンから学んだこと(そして、サーフィンでなく、人生の中でも役立つこと)」という意味で本文中に何度も登場する言葉。日本語として伝わりやすい言葉ではない(タイトルを見て意味がすぐに伝わりにくい)とは思うけど、とても象徴的な意味合いで使われてる言葉なので、それをタイトルに使ったのはすごくいい判断だと思う。ただ、それを補完したかったんだろうけど、「サーフィンの神様、ジェリー・ロペスが綴るライフスタイルストーリー」ってサブ・タイトルはどうなんだろ? 超違和感を感じる。日本人は無闇且つ安直に「神様」って言葉を濫用(乱用)するけど、そんなに簡単に使っていい単語じゃないと思うし。これを知ったら、本人はどう思うんだろう? これだけはガッカリ。

An aloha lifestyle.

『Coyote No.12 特集 ジェリー・ロペスの静かな暮らし』 
(スイッチ・パブリッシング) ★★★★☆

2006 年発行で、発売当時に読んだ号だけど、今年出版されたジェリー・ロペスの著書『サーフリアライゼーション』を読むに際して、読み直したのであらためてレビューを。

取材が行われたのは、現在、彼が住むオレゴン州のベンドという街。オレゴン州は太平洋に接しているけど、ベンドはカスケード山脈を越えた東側にある。つまり、ハワイアンであり、伝説的なサーファーであるジェリーが海のないセントラル・オレゴンに住んでるってこと。それだけでも十分興味深い。もともとは奥さんが気に入った土地らしいけど、今ではスノーボードを楽しみつつ、時にはカスケード山脈を越えて海に出たり、川でリバー・サーフィンをしたりしてるらしい(ジャック・ジョンソンのミュージック・ビデオにも使われてる場所なんだとか)。


 メインとなるのは、ベンドの街でジェリーとともに過ごしながら行われた長いインタビュー記事。両親のことや家族のこと、ハワイのこと、ベンドのこと等、いろいろなことを語っているそのインタビューの中で、「サーフィンの魅力は何ですか?」というストレートな質問に対してジェリーは「待つことにある」と答えてるのがとても印象的だった。曰く、「サーフィンの本質は 99%、待つことにある。そして自分と対峙することかもしれない」「待つことは禅に似ている。人は荒立っていたら待ってはいられない。内なる平安がないと待ってはいられない」と。