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2009/09/21

Light gears. Right ideas.

『BE-PAL 2009 年 10 月号 軽い旅道具』小学館 
 Link(s): Amazon.co.jp

別にそれほど好きってわけじゃないけど、なんか、わりとチェックしてることが(特に最近)多い『BE-PAL』の最新号は、前にハイカーズ・デポのエントリーでも触れた「ウルトラ・ライト」の特集。すごく気になってるテーマなんで、これはチェックしとかないとな、と。

内容的には、
「ウルトラ・ライト」って考え方がどういう背景から生まれたのかって部分から始まって(ハイカーズ・デポの店主の原稿)、やっぱりメインになるのはギア紹介で、最新のテクノロジーを駆使したギアから、時代を超えて愛されるクラシックまで、いろいろと紹介されてる。ハイカーズ・デポのエントリーでも触れた通り、「ウルトラ・ライト」は物理的な意味だけじゃなく、メンタルの面でもすごく興味深いなって思ってたんで、そういう意味で面白いんだけど、個人的にツボだったのは、それだけじゃなくて、いい感じに最新ギアと古くからある定番が混ざってるバランスみたいなのが、個人的にはすごく腑に落ちるというか、気持ちいいなぁって感じたところだったりして。


2009/04/10

Eats regional.

東京ひとりめし

. :
ミーツ・リージョナル 編(京阪神エルマガジン社)

いつも独特の切り口の特集で、情報誌が軒並みつまらない時代に孤軍奮闘してる(?)感すらある関西の情報誌
Meets Regionalの別冊ムックで、タイトル通り、「東京で、ひとりで」ってテーマのメシ屋の特集。大人数でワイワイ食べるのもそれほど得意じゃないし、酒も飲まない(飲みの場が苦手な)人間にとっては、こういう内容はちょっとありがたい。別に「酒なし」って括りなわけじゃないけど、どうしても「ひとりでは入りにくい」「酒を頼まないと怪訝そうな顔をされがち」な店が世の中的にはまだまだけっこう多くて、そうではない選択肢は貴重なんで。

まぁ、そういう生活を東京で 15 年くらいしてきてるわけで、それなりに知ってる店も多いんだけど、日頃あまり行かないエリアもカバーされてるし、昔よく行ってた店の健在ぶりが確認できたり、知らなかった新しい店を発見できたりと、なかなか嬉しい内容。ジャンルも多岐に渡ってるし、深夜でも OK の店とか、フツーにありがたいし。新しくデータベースに加えたい店も多い。コンテンツは雑誌でいいので、地図だけでも Google Maps と連動しててくれたらスゲェありがたいんだけど。

Meets Regional』っていうと、昔は大阪や京都に行くと必ずチェックしてて、「こういうのって東京にはないよなぁ」って羨ましく思ってたローカル誌のひとつ。いつ頃からか、東京の書店でも見かけるようになったけど。特に一連の京都の特集の号にすごくお世話になった。やっぱり、単に情報をたくさん詰め込んでるんじゃなくて、切り口の面白さと、その切り口に沿った(ある種、思い切った)取捨選択が抜群で、正しく「編集」で勝負できてて、とてもいいな、と。見かけると、ついつい手に取っちゃう雑誌のひとつ。

2009/03/17

Slow and slower.

カルチャー・クリエイティブ ― 新しい世界をつくる 52 人

. :辻 信一 著(木楽舎)

文化人類学者・環境運動家であり、「100 万人のキャンドルナイト」の呼びかけ人や NGO ナマケモノ倶楽部の世話人等としても知られる辻信一氏の 2007 年の著作で、雑誌『ソトコト』の連載「スロー・イズ・ビューティフル・ダイアローグ」からセレクトしてまとめ、ソトコト新書として発売されたモノ。『ソトコト』はあまり読まないんで、「スロー・イズ・ビューティフル・ダイアローグ」って連載についてもよく知らなかったし、著者についても、いろいろなところでちょこちょこと目や耳にすることはあっても、それほど詳しかったわけでも思い入れがあったわけでもないんだけど、本書の中で著者がゲーリー・スナイダーと対談してるって知ったので、俄然興味が出てきて早速読んでみた、と。

タイトルになってる「カルチャー・クリエイティブ」ってのは「世界のあちこちで芽生えてる新しい文化の担い手」みたいな意味で、ポール・レイとシュリ・アンダースンの 2000 年の著作 "The Cultural Creatives: How 50 Million People Are Changing the World" によると「アメリカ社会で主軸となってきた近代主義(モダニズム)とも、それに対する伝統主義とも違う、新しい意識・価値観・行動パターンを持つ第三の潮流の人」のことを指してるらしい。

「スロー・イズ・ビューティフル・ダイアローグ」は、スロー・ライフを提唱してる辻信一氏が各界の「カルチャー・クリエイティブ」と対話したモノということで、このカルチャー・クリエイティブ』は、その中から 51 人+イントロダクションの 1 人を含めて、サブ・タイトル通り 52 人との対話を収録したモノで、環境活動家やフェアトレード・ショップの経営者、靴職人、有機農家、政治家から落語家やミュージシャンまで、さまざまなスタンスで活動してる人物が幅広く登場する。個人的には、その 1/52 のゲーリー・スナイダーに魅かれたんだけど、他にも、『さよなら消費社会』のカレ・ラースンやアースデイ東京代表の南兵衛氏、ちょっと変わったところではヒップホップ・アーティストの Shing02 なんかも登場してて、ちょっと面白い。

トータルで 450 ページくらいの新書サイズで、当然、ひとり当たり 10 ページに満たない程度の文量なんで、正直言うと、内容的にはちょっと物足りなかったりもする
んだけど(それぞれの人物ややってることが魅力的なだけに)、まぁ、たくさんの人物が紹介されてるんで、当然知らない人も多いし、ここから興味のあるところを掘っていくネタというか、インデックス的な意味ではなかなか面白いかな、と。そういう意味では、新書として正しいカタチと言えるのかも。

以下、気になった言葉を片っ端からメモ。あえて、誰の言葉かは書かずに。
  • 人々はお金を稼ぐ奴隷となり、人生を楽しむ余裕すら持っていない。
  • 「日本人はいい時計を作れるが時間がない。ブータン人は時計は作れないけど、時間はたっぷりある」
  • 成長は成長でも、精神的でスピリチュアルな成長、魂の成長、アーティストとしての成長を大切にする社会です。
  • 地中海人という意味のメディタレリアーニという言葉がある。私はイタリア人だけど、それ以上に地中海人だという意識がある。
  • 私の家は先祖から 500 年続いている。500 年の厚みがあるから 500 年先が見通せる。それが文化というものではないでしょうか。
  • 分け合い、譲り合う仏教の「喜捨」の考え方は、確かにシューマッハーを動かしたと思う。仏教の教えのせいか、私もビッグなものが好きじゃないんです。大きいものの背後にはいつも貪欲や利己主義が見える。ビッグ・マネー、巨大な家、強大な企業、そこには時分たちさえ良ければそれでいい、という考え方が共通している。一方、スモールとは私にとって自足、素朴さ、思いやりなどを意味する。だって、私はそもそも小さな存在ですからね、それに相応しい小さなシンプルな生き方があるはずなんです。 * シューマッハーとは、もちろん、『スモール・イズ・ビューティフル』の著者の E. F. シューマッハーのこと。F1 レーサーではない。
  • コスタ・リカ:スペイン語で「豊かな海岸」を意味する。世界で唯一の非武装永世中立国であり、国土の 1/4 が国立公園に指定されている。
  • ひとりにひとつの職場、ひとりにひとつの職業という凝り固まった考えを捨てて、ワーク・シェアリングしながら、複数の仕事を持って、それを自分の時間の中で柔軟に組み合わせて生きていくスタイルがこれから大事になってくると思う。個々人の内なる仕事の多様化です。
  • 移動することと定住することは必ずしも矛盾しないと思う。とくに自分の足でゆっくり旅をする場合には。そして、大地とつながってる場合には、ね。長年の旅によって、人は大地をよく見、知るということを学ぶ。しまいにはいつどこにいても、自分がどこにいるかを理解するようになるのさ。
  • 「特にアメリカには極端な自立志向があるという気がします。依存(ディペンデンス)が軽蔑されて、自立(インディペンデンス)が強調されるばかりに、相互依存(インターディペンデンス)という人間本来のありようが見えなくなる。思えば相互依存とは、生物としての生態学的な在り方そのものだし、社会的、文化的ということの意味そのものなのに。」「自立なんて幻想。北米人は '自立' という世間的なイメージに自分を合わせるために必死になっている。」
  • ホビ族の格言「人生におけるもっとも長い旅、それは頭から心へと至る旅」
  • この頃よく、「誰にでもすぐできる、やさしい、簡単な、盆栽」なんていうことが言われますけれど、私に言わせれば、そんなものはない。植物は生きています。それとつきあうのは面倒で、大変です。だからこそ、それなりの充実感とか悦びがあるのに。そうした時に私に何ができるかと言えば、そうした便利さや簡単さに乗じないこと。そして待つことなんです。
  • ぼくは不況の時のほうが人間は正常になると思っています。
  • 「雪が降ると、ほかのことができないんで、雪下ろしさえやってしまえば、1 日全部、自分の自由になる時間だって。こうしてストーブに薪をくべながら、道具作りをやってもいい、友だちを集めて語らってもいい。そして時には一杯飲んで」「そういう愉しさが、'雪に閉ざされた過疎の村' なんていう言い方をした途端、見えなくなってしまう」
  • 「市民がいなければ政治は成り立たない。すべての者が政治家である」。チェ・ゲバラの 1963 年の言葉です。
  • 「日本が唯一の被爆国だと思っている日本人は多いんですが、仏領ポリネシアでは、1996 年に停止されるまで、30 年間に 200 回近い核実験が行われていたそうですね」「その爆発の威力は広島・長崎の 2 万倍以上だといわれています
  • 「ラマダンとは、いわば愉しい不便、または聖なる不便。考えようによっては、ラマダン的なことこそ、我々現代の日本人は必要としているんじゃないか。ラマダンのひと月、アラブ世界では子どもからお年寄りまで、みんな日の出や日の入りに意識を集中して、それを基点に 1 日を過ごす。これはすごく面白いことです。太陽の動きとか、月の運行なんて日本人にはあんまり縁がなくなっているけど」「月が昇るとか日が沈むとかって人智を超えた自然の計らいごと。ムスリムにとっては神が決めること。それに合わせて動く。日本人やアメリカ人には何でも思いどおりになると思い込んでるところがあると思う」
  • 西洋では、その「時間がない」という観念から出発して、「時間の節約」を最重要のテーマとしてきたわけです。そしてテクノロジーによって時間を節約することで、つらい仕事から自分を解放し、のんびりとした時間を獲得しよう、と。でもこれがまさに罠だったわけです。時間の節約によって時間を得るというこの考え方によって、私たちは逆にますますのんびりとした時間を失っていった。皮肉ですね。
あと、個人的にはナマケモノとヤギのハナシがツボだった。ブラジルの先住民は、ナマケモノのことを「空を支える生き物」って呼んでるらしいんだけど、何がいいって名前がいい。存在感もスピード感も抜群。あと、長野でヤギを育ててる小林さんという人曰く、「日本人はヤギを育てろ。世界的に見ても日本は草の成長が早く、草はどこでも生える。でも、人間は草を食べられない。でも、草を食べたヤギは育ち、人間に乳や肉や毛を提供してくれる。つまり、ヤギの飼料は人間の食料と競合しない、と。それに、デカ過ぎないから都市近郊でも飼えるし、子どもでもお年寄りでも世話ができる」と。なんか、ちょっとヒントがありそうなハナシ。存在感もいいし。

スロー・ライフとかロハスとか、まぁ、ブッチャけ胡散臭さも感じるし、ちょっと警戒心を抱いちゃいつつも、かといって、全面拒絶するほどでもなくて、重なる部分も多かったりするから厄介だったりもするんだけど、そういうビミョーなモヤモヤ感は漂いつつも、ヒントはいろいろ含まれてるし、スピード感とか人選もなかなか面白いし、ひとつひとつのエピソードはすぐに読めちゃうんで、電車の中とかで読むのには適してるのかも。

まぁ、スローといえば、やっぱコリン・フレッチャー。『遊歩大全』で言ってた。ペースは「ゆっくり(slow)」か「もっとゆっくり(slower)」だって。

2009/02/17

Light is beautiful.


(Hiker's Depot) ★☆

2008 年に三鷹にオープンしたアウトドア・ショップで、オープン当初から興味があったショップ。なかなかチャンスがなくて、行けてなかったんだけど、ちょっと吉祥寺に用事があったので足を伸ばしてみた。

「アウトドア・ショップ」って書いたけど、これは正確ではなくて、「ライトウェイト・アウトドア・グッズ・ショップ」ってのが正しくて、ライトウェイト・ハイキングに特化してるのが特徴。オーナーは元アウトドア・ショップ勤務で自ら「ウルトラライト・ハイカー」なんて自称してる土屋智哉氏で、アウトドア系のメディアなんかでもよくライトウェイト・ハイキングを勧めてるのを見かける(例えば、こんな記事とか)。こういう風に、どんな人がどんな考え方でやってるのかがわかるのも、すごく現代的っていうか、これからますます重要な要素になりそうな気がする。ウェブサイトもスッキリしてるし(けっこうヒドイのが多いからね、この世界は)、いろんな自作っぽいアルコール・バーナーが展示してあったり、なかなか魅力的。

ライトウェイト・ハイキングってのは、レイ・ジャーディンが 1999 年に "Beyond Backpacking: Ray Jardine's Guide to Lightweight Hiking" で唱えたって言われてるハイキング・スタイルで、その名の通り、とにかく軽さを追求してるのが特徴で、格闘技で例えると、これまでのハイキング / トレッキング・スタイルがミドル級だったのに対して、新たにライト級って階級ができたような感じ。もちろん、自分で必要な装備を常に背負っていくことが前提なわけで、重いより軽いほうがいいのは当たり前。「少しでも軽く」って努力はこれまでも常に行われてたんだけど、その傾向は確かに最近、すごく顕著なように感じる('GoLite' なんて名前のブランドまであるし)し、単に「より軽く」っていう物理的な要素だけじゃない部分もあったりするんで、そういう意味ではタイムリーというか、いい傾向を象徴するショップだって言えるのかも。

ハイキングと呼ぶかトレッキングと呼ぶかバックパッキングと呼ぶかはともかくとして、アウトドアの世界って基本的にはすごくハイテクな世界で、それこそコンピュータとか携帯機器とかと同じくらい、ものすごいスピードで進化してる。その中で、モノだけじゃなくて、その背景にある考え方なんかもどんどん変化してて、今までの常識が常識じゃなくなっちゃったり(例えば、古くはフロッピーとか、最近だと MO とか DVD-R とか、もうすっかりなくなっちゃったみたいな感じ)とか、トレンドがあったり再評価があったりする(最近だと、個人的にはウールとソックスと脱ガス・バーナーがツボ)ところが面白いんだけど、このライトウェイト / ウルトラライトの傾向も、「物理的により軽く」ってことだけじゃなく、同時に「メンタルもより軽く」みたいな部分も含んでて、そこがすごく面白いというか、シンパシーを感じるところだったりもする。

どういうことかっていうと、これまで、いわゆる「日本の山の世界」で主流だった(支配的だったって言ってもいいかも)のは、昔ながらの登山部・ワンダーフォーゲル部的な「頑なにピークを目指す(征する)」みたいな世界の考え方だと思うんだけど、そうではなくて、ピークを征服することにこだわらずに、より軽快に、より自由に、シンプルでプリミティヴなカタチで、なおかつロー・インパクトな自然の楽しみ方もある、っていうこと。こういう部分って、すごくシックリくるっていうか、かなりツボなんで、そういう意味でも興味深い。

店自体は、それほど大きいわけじゃないから、品揃えがメチャメチャいいとかってわけじゃないけど、セレクトにはこだわりが感じられる。あと、ギアだけじゃなくて、ナチュラルな乾燥食材(特に和モノ)に力を入れてるところも面白い。あと、あえて三鷹っていうのもいいな、と。井の頭公園からも遠くないし、サイトにも「奥多摩、奥秩父、八ヶ岳、日本アルプス。中央線は街と山とを結ぶ線路です。そんな中央線にあるハイカーズ・デポをハイキングの前後にちょっと立ち寄る停車場(デポ)として気軽に利用してください」ってあるけど、こういう感覚、けっこう大事な気がする。

前にどっかで「ショップとストア」ってハナシを見たか読んだかしたんだけど、それを思い出したりした。英語の「ショップ」と「ストア」はどっちも日本語では「店」なんだけど、実は意味合いが違ってて、「ショップ」ってのは店の裏にちょっとした作業場的なスペースがある形態の店で、職種ごとに特別な呼び名があったりするような店(例えば、コンフェクショナリーとかフローリストとか)。一方の「ストア」は、店の裏にあるのは倉庫で、在庫が置いてあるだけのタイプ(例えば、ブックストアとか)。何が違うかっていうと、「ストア」は単に仕入れて売っているだけなのに対して、「ショップ」はその店ならではの付加価値を付けて売っててるので、「ストア」の場合は取扱品の数・種類・値段が勝負になるけど、「ショップ」の場合は必ずしもそれだけではなくて、実際に、シャッター商店街が問題になってる中でも頑張ってるのは「ショップ」なんだとか(「ストア」の場合は大型量販店には敵わないことが簡単に想像できる)。

アウトドア・ショップの世界も大型の「ストア」が多いし、やっぱりそういう店がメインになってるけど、ユーザーが「金に使い方」に自覚的になればなるほど、「ショップ」の価値がすごく大事になると思うし、このハイカーズ・デポもそういう「ショップ」のひとつとしてすごく興味があるし、応援したい気持ちにもなってくる。

2008/12/28

Revolutionary natural.

自然農法 わら一本の革命福岡 正信春秋社 ★★ 

前に『<自然>を生きる』をレビューした福岡正信氏の代表作で、"The One Straw Revolution: An Introduction to Natural Farming" として英訳もされていて、海外では日本以上に評価・知名度が高いという一冊(その辺の事情は『Spectator』の「Whole Pacific Northwest Life Catalog vol. 1」号でも触れられてる)。ちなみに、今回読んだのは 2004 年に発行された新刊なんだけど、表紙のデザインは 1983 年の原書のほうがカッコイイので、左の写真は原書のモノを載せてる。

1983 年に出版されたこの本の序文には、以下のような辛辣な言葉が書かれている。福岡氏は不耕起・無肥・無農薬の自然農法と、粘土に 100 種類以上の種を混ぜた粘度団子を蒔くことで緑と色のパラダイスを実現することを唱えて自らの農園を営み、2008 年 8 月 16 日に 95 歳で亡くなった人物で、表紙の写真にもある通り、仙人のような雰囲気のキャラクターと、科学や進化論を真っ正面から否定しちゃうような、ある意味ラディカ ルとも言える独特でユーモラスな自然観・哲学の持ち主。曰く、自然農法とは「自然の意志をくみ、永遠の生命が保証されるエデンの花園の復活を夢みる農法で ある」。それこそが、わら一本から起こすことができる革命である、と。

2008/12/15

Natural wisdom. Conscious life.

<自然>を生きる

. :福岡 正信・金光 寿郎 著春秋社 ★★

前にレビューした『Spectator』の「Whole Pacific Northwest Life Catalog vol. 1」号でも紹介されてた『自然農法 わら一本の革命』(英訳 "The One Straw Revolution: An Introduction to Natural Farming" も海外で大人気)で知られる福岡正信氏に、NHK で番組制作を手掛けてきた金光寿郎氏がハナシを聞いたものをまとめた書籍(厳密には、番組で使ったのものをテキスト化したもの)。『自然農法 わら一本の革命』から読もうと思ったんだけど、図書館で先に借りられたのがこれだったので、とりあえず、この<自然>を生きる』から読んでみた(現在は表紙のデザインが違う新装版が出版されてるらしく、新装版のほうが手に入れやすいみたい)。

福岡氏は不耕起・無肥・無農薬の自然農法と、粘土に 100 種類以上の種を混ぜた粘度団子を蒔くことで緑と色のパラダイスを実現することを唱えて自らの農園を営み、2008 年 8 月 16 日に 95 歳で亡くなった人物で、表紙の写真にもある通り、仙人のような雰囲気のキャラクターと、科学や進化論を真っ正面から否定しちゃうような、ある意味ラディカルとも言える独特でユーモラスな自然観・哲学の持ち主。その独特の理論をいろいろと批判する人もいるみたいだけど、いくら一生懸命批判しても、どこかチャーミングな福岡氏の魅力を否定できるほど強力(というか、魅力的)じゃなかったりして、やっぱり、なんか魅かれちゃう不思議な存在だ。この版の帯には宮崎駿監督のコメントが掲載されてて、同じことを感じてるっぽいんだけど、たぶんこの人の魅力はロジックにあるんじゃなくて、そういうのとは別の次元にあって、言ってることもやってることも、その存在感自体、ついつい魅かれずにはいられないツボをついてるだと思う。理屈じゃなく。それを、目くじら立ててつまらない正論を振りかざして批判する(というか、重箱の隅を突いて揚げ足を取る)なんて、無粋というか、心にゆとりがないというか、なんかツマンネェヤツらだなぁ、って感じる。最近、やたらと多いけど。数字を振りかざしてつまんない正論をしたり顔で力説するオトナ。ツマンネェヤツらだ。ブラジルに行った時とかに感じたこととも近いけど、福岡氏が日本より海外で評価されてる理由のひとつがそういう部分なのかも? なんて思ったりもする(それすら批判するんだけどね、ツマンネェヤツらは)。

「何もしないこと」の大切さや悦びだったり、「働く」ことよりも「仕事」(「事」に「仕える」こと)って考えだったり、さらには自然観や神についての考え方だったり、いろいろと示唆に富んだ指摘は多く、けっこうハッとさせられる。個人的に好きだったのは、フィリピンの民話に出てくる怠け者、「ホアンタマ」のハナシ。ホアンタマは毎日寝転がって天を向いて口を開けていると、上からパパイヤやマンゴーが落ちてきて楽園のような暮らしをしてる怠け者のことで、フィリピンではネガティヴなモノらしいんだけど、福岡氏はそれこそ素晴らしいライフスタイルだし、そういう民話があるフィリピンはもともとパラダイスのような土地だったんだ、と。すごくいいハナシだなぁ、と。
人間なんかは最後の、地球に緑がなくなって自然が滅びたときに人間も滅びる、その最後の幕引き役として生まれてきた動物ではないか。
福岡氏のこの言葉は、巷で安易に使われてる「地球にやさしく」的なキャッチ・フレーズではまるで言い表してない、「環境問題」の本質をついてる気がする。

なんか、この人、アレステッド・デヴェロップメントのババ・オジェイとイメージがダブる。いるだけでいいっていうか、いるだけでありがたいっていうか。

2008/10/09

Nice & smooth.

スープに入れるお餅(無印良品) 

前にレビューした『シェルパ斉藤のワンバーナー簡単クッキング』 を読んで以来、トレッキング時の食事のクリエイティヴィティにすごく魅かれてて、いろいろと使えるモノを探しているんだけど、この無印良品の「スープに入れるお餅」はなかなかのヒット。

単に、小さく薄くカットされてるお餅なんだけど、そこがポイント。調理時間が短くて済むし、腹持ちもいいのでアウトドアには最適。お餅自体はとてもシンプルでプレーンな食材なので、洋風でも和風でも合うので応用範囲が広い。個人的にアウトドアでスープは欠かせないので、とても重宝しそう。