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2009/06/28

A whole new world.

Barack Obama’s Speech in Cairo: A New Beginning (on June 4th, 2009) 
(BarackObama.com) 

ちょっと前のエントリーの WWDC 2009 のキーノート・アドレスに続いて、だいぶ時間が経っちゃったけど、やっぱり無視できないっていうか、個人的には衝撃的で、感動的でもあるような、歴史的な演説だと思うんで、備忘も兼ねて(時系列的には順番が前後しちゃってるけど)。なんか、聞けば聞くほど(観れば観るほど / 読めば読むほど)、そして考えれば考えるほど、いろいろなことが絡んでるように思えてきて、時間がかかっちゃったけど。

2009/04/26

The statement for the post nuclear age.

Barack Obama's disarmament speech in Prague on April 5th, 2009 
(THE WHITE HOUSE) 
 
ちょっと前のモノだけど、かなり重要なものだと思うので、忘れないようにレビューを。4 月 5 日にチェコのプラハでバラク・オバマが行った約 25 分の演説。これまでにもオバマについて、特に演説については何度か取り上げてるけど、今回のこの演説も 2008 年 1 月のニュー・ハンプシャー("Yes We Can" のベースになった演説)、11 月の勝利演説、2009 年 1 月の大統領就任演説に並ぶクラシックじゃないかな、と。リンク先の映像は YouTube のホワイト・ハウスのオフィシャル映像。YouTube にホワイト・ハウスのオフィシャル・チャンネルがあるって、なかなかスゴイことだな、ってあらためて思ったりもするし。テキストは『TIME』誌のサイト等で公開されてる。

2009/02/20

The function of words. The power of words. The art of words.

村上春樹 エルサレム賞 受賞スピーチ

(Jerusalem International Book Fair) 


2 月 15 日にイスラエルのエルサレムでエルサレム賞という文学賞を受賞した際に、作家の村上春樹氏が行った約 15 分のスピーチ。なかなか考えさせられるスピーチで、結論から先に言うと、「言葉の機能」と「言葉の力」、そして「言葉のアート」をすごく実感させられたスピーチだった。
タイミング的には、数日経ってるんで、もうタイムリーじゃないかもしれないけど、タイムリーさが大事ではないと思うんで。

「スピーチだった」とは言っても、実際にはスピーチ全編の映像を観れたわけではないんで、あくまでもニュース等でダイジェストを観た(いくつか観た中だとこれが一番マトモっぽい。写真もこの動画の中ですごくいいこと言ってる場面のキャプチャ。全編の映像はまた見つからない)のとウェブでテキスト(この haaretz.com のモノが全文なのかな?)を読んだってことなんだけど。


ニュースなんかでも報じられてる通り、エルサレム賞ってのは「社会における個人の自由(!)」に貢献した文学者に贈られるイスラエルでもっとも権威のある文学賞らしくて、日本人としては初の受賞。それだけでもニュースにはなるんだろうけど、折しもイスラエルのガザ攻撃の真っ只中(一時期に比べると、ちょっとは落ちついてるっぽいけど)パレスチナの平和を考える会から公開書簡で受賞の辞退を検討するよう求められていたりしたこともあり、より注目されることになった。

結局は辞退せずに現地で賞をもらい、その際のスピーチで述べた内容から「村上春樹さんにイスラエル文学賞、スピーチでガザ攻撃批判」なんて見出しで報じられてて、ニュースやワイドショーなんかでも同じような論調で取り上げられてて、コメンテーターとかがしたり顔で「勇気がありますねぇ」「立派ですねぇ」「英語が流暢でカッコイイ」「日本人として誇らしいですねぇ」「どっかの大臣と比べると…」みたいなことを言ってるのを見てドン引きしつつ(コイツら、全編を観て言ってるのか? って)、ダイジェストを観る限りではどうも単純に「ガザ攻撃批判」ってだけではない感じだし、よけいなコメントなんかよりも全編が観たい(読みたい)なぁ、と。村上氏も「小説家は言われたことと逆のことをしたがりがち」って言ってるけど、やっぱ全部を観ないと何とも言えないから、ヒネクレ者としては。

それで、早速、ググったんだけど、検索に引っかかってくるのはニュースやワイドショーのコメントと同じレベルの似たような感想と同じレベルの反対意見とただのひやかし・賑やかしばっかりで、なかなかまともなものが見つからなかった。ただ、しばらく経ったら、池田信夫氏のブログで比較的長い抄録が載ってる現地紙『エルサレム・ポスト』の記事が紹介されてて、コメントもたくさん付いてて、まぁ、そのコメントもレベルの高いものからヒドイものまで様々なんで、これはこれで微妙だなぁ、と思いつつ、日本語・英語で探してたら haaretz.com のページ(といくつかのニュース映像)を見つけた(この時点でたくさんの翻訳もあった)、と。

haaretz.com のページをジックリと読んでみて感じたのは、最初のほうに書いた
「言葉の機能」と「言葉の力」ってこと。さすがに言葉を扱うことでこれだけの功績を残してきた人だけあって、やっぱりセンスは抜群。今さら言うまでもないことって言っちゃえばそれまでだけど、あらためて脱帽しちゃった。時にユーモラスで、時にシニカルで、時に辛辣で、小説家らしいすごい味わいのある表現だし、言葉であるが故に特定のイメージを限定しないというか、聞き手(読み手)に想像する余地を与えて、それぞれの人間性次第で受け取り方が変わる(変わらざるを得ない)っていう言葉の特性をすごくよく理解して、その特性を最大限に活かしてるなぁ、と。これを聞いて自分が責められてるように感じる人は、そう感じさせる理由がその人の中にあるんだろうし。イスラエル非難だって思って聞けばそうも聞こえるし、違う見方をすれば違う聞こえ方もする。聞く人の心の中にあるモノによって、感じ方が変わっちゃう。そんな柔軟性がありながら、同時に普遍的でもある表現で。

これが、例えば、そこに何らかの映像なり写真なりが映ると、その時点で言葉とイメージが結びついちゃって、意味合いを狭めちゃったり(決めちゃったり)するんだけど(それが映像・写真=イメージの怖さでもある)、言葉だけだと、懐が深いというか、受け取った側に考える余地を与える(=考えざるを得ない)。それは言葉自体の持つ特性であり、同時に宿命というか、厄介な部分でもあって、だからこそ誤解もたくさん生むし、でも、言葉を使わざるを得ないわけで(ニュータイプにでもならない限り)。

そんな「言葉の機能」をキチンと理解して活かした上で、すごくデリケートな問題を抱えた場所で、その当事者を目の前にしながら、受け取った側の心の中に考える余地を作りながら、同時に自分の意思は真摯に、率直に伝えてて。パーソナルなことまで話しながら。もともと人前で話し姿なんて滅多に見せない人なだけに、そういう意味でもインパクトが強い(キャラ的にも、街で会っても気付かなそうなくらいだし。まぁ、こう見えてマラソン・ランナーなんだけど)し、それも含めて、周りの状況とか及ぼすであろう影響とかその意味合いとかまですごくよく考えられてる気がする。そういうのを全部ひっくるめてすごく質の高い文章だし、読んでていろいろと考えさせられるし、心を揺さぶられる。これこそ、まさに「言葉の力」。そして、それは同時に「言葉のアート」でもある。正直、ちょっと感動しちゃった。さすがというか、まぁ、表現者としての面目躍如ってところかな。

まぁ、小説家の表現なんで、わかりにくいっていう意見があるのはわからないでもないけど、それが小説家なわけで、そもそも、すぐにわかるような単純な表現には表現力自体に限界があるし、情報を伝達はできても、心を動かすことはできないわけで。情報伝達以上の意味を持たない安っぽい表現ばかりが氾濫する昨今なだけに、すごく新鮮だったりもする。


そんなわけで、すごく感動したんだけど、 これが全文かどうか今のところ確認できてないし、全編の映像も観れてないんで、レビュー対象の全貌をキチンと観て(読んで)ない状態でのレビューってことを考慮して星は 4 つにしたんだけど、限りなく 5 つに近い内容。これまでにも、バラク・オバマの勝利演説就任演説スティーブ・ジョブズのキーノート・アドレスをレビューしてるけど、正直言って、このふたり以外のスピーチ(ジョブズの場合はスピーチというよりはプレゼンテーションだけど)、しかも日本人のスピーチ(しかも英語だし)を取り上げるなんて思っても見なかった。しかも、それがまさか村上春樹だなんて。なんか不思議な気分。

あと、最初のほうに「タイムリーさが大事ではないと思う」って書いたのは、とかくインターネット / ウェブっていうと、印刷媒体との比較で速報性が強味だって言われがちだけど、それがすべてではないし、正確・完全じゃない情報をむやみに慌てて配信されても迷惑なだけだと思うから。現場からの速報ならともかく、そうではない二次的な情報であれば速報性にはそんなに意味がないと思う。レコードとか映画とかの情報もそうだけど、メディアってとかく(先を競って)リリース前に情報を伝えたがるけど、ユーザーにとってはそれほど重要じゃないし、時間的な区切りがある既存のメディアならともかく、いつでも公開・更新ができるインターネット / ウェブだったら、誰よりも早いことよりも、時間的な区切りではなく内容的な区切りがある程度ついた段階で取り扱うべきなんじゃないかな、と。多くのブログで先を競うようにエントリーしてるのを見て(その多くは、案の定、たいした内容じゃなかったりする)、ちょっと違和感を感じたというか、なんか気持ち悪い感じがしちゃったので。

2009/01/21

The dawn of the new era.

44th US President BARACK H. OBAMA: Inaugural Address on January 20th, 2009 (US Presidential Inauguration 2009) 



第 44 代アメリカ大統領、バラク・フセイン・オバマが 2009 年 1 月 20 日(現地時間)の大統領就任式で行った就任演説。もちろん、初のアフロ・アメリカンの大統領でもあるし、これまでに 11 月 4 日の勝利演説 "Yes We Can" のベースになったニュー・ハンプシャーでの演説など、名演説の多いオバマなだけに過去にないほどの注目を集め、日本でも地上波 TV で生放送してたり(しかも、NHK だけじゃなかった)してたけど、ウェブで生放送してたのが今回の大統領就任を象徴してるような気がしたので、あえて Joost で観てみた(回線の混雑が心配だったけど、思ったより普通に観れた)。

2008/12/03

Blues music for blues people.

CORNEL WEST & BMWMB "Never Forget: A Journey of Revelations"
(
Hidden Beach) ★☆ Link(s): iTunes Store / Amazon.co.jp

ドクター・コーネル・ウェストがコーネル・ウェスト & BMWMB 名義で Hidden Beach からリリースしたアルバムで、タリブ・クウェリやジル・スコット、KRS-ONE、プリンス、アンドレ 3000(アウトキャスト)等が参加している。

端的に言うと、これが基本的な情報で、音楽的には最低限のイメージはできそうだけど、これだけでは全然不十分なところがこのアルバムの特徴。それだけじゃ、全然このアルバムの魅力は伝わらない。

ドクター・コーネル・ウェストは、オクラホマ州出身のエチオピア系アフロ・アメリカン哲学者 / 政治思想家 / 神学者 / 社会活動家 / アーティストで、プリンストン大学宗教学部兼アフロ・アメリカン研究センター教授。LA での暴動の翌年の 1993 年に発表し、これまでに 50 万部以上のセールスを記録してベストセラーとなった "Race Matters"(単に「人種にまつわる問題」という意味と「人種こそが重要な問題だ」という意味のダブル・ミーニング)が 2008 年 10 月、『人種の問題 ー アメリカ民主主義の危機と再生』として原書の出版から 15 年(!)の時を経て初めて邦訳・発売され(店頭で知らずに見かけたら絶対スルーしちゃう自信満々な感じのスゴイ装丁デザインにビックリだけど…)、それに先駆けて 5 月にはマーティン・ルーサー・キングの没後 40 周年記念企画のために初来日を果たし、東京での姜尚中氏との対談や講演をはじめ、大阪・広島・沖縄を訪れたりしている。

2008/11/15

30 hours with Fidel.

コマンダンテ COMANDANTE

. :オリバー・ストーン 監督(TC エンタテインメント

プラトーン』や『7 月 4 日に生まれて』、『JFK』などの作品で、「社会派映画監督」として知られるオリバー・ストーンがキューバを訪れて、フィデル・カストロと 3 日間過ごして行った 30 時間に及ぶインタビューを編集した 2003 年公開のドキュメンタリー映画。自らがインタビュアーとして出演もしている。

ポスターや
DVD のパッケージには「アメリカが上映を拒絶した問題作」というキャッチ・コピーがあるけど、このコピーは間違いではないものの正確ではない。プレミア上映はアメリカのサンダンス映画祭だったので、まったく上映されなかったというわけではないんだけど、アメリカ在住のキューバ系ロビーの強い圧力で劇場公開はされなかった、ということ。まぁ、アメリカって国はそういう国だってこと。ちなみに、ヨーロッパ各国や日本では問題なく公開された。

カストロの映像というと、やっぱ
ゲリラ戦争当時の勇ましい姿とか、演説の壇上で熱く捲し立ててる姿の印象が強いので、ここで見られるちょっとリラックスした姿はけっこう新鮮(まぁ、このインタビューが撮影された 2002 年の時点で 70 歳を超えてるわけで、さすがに多少は丸くなってるっぽいけど)。もちろん、革命、ケネディや歴代大統領、キューバ危機、ソ連、ベトナム、チェ・ゲバラ、さらにはゴルバチョフについてや好きな映画・女優にまで及ぶ話の中で、演説さながらに熱くなったり、上手くはぐらかしたりするシーンはあるけど、全体から感じられるのはフィデル・カストロの人間としての魅力。キューバ国民の中のカストロ像って、一般的に報道されがちな「独裁者」ってイメージよりももっとカジュアルな、もっと身近な存在で、たぶん「親方」とかみたいなイメージのほうが近いってハナシを聞くけど、そういう理由がちょっと垣間見える気がする。ストイックでカリスマティックな部分と、ちょっと愛嬌がある部分と。そういう姿が見れるだけでもこの映画の価値はあるかな、と。どうしても情報が限られてるだけに。

個別のハナシに関しては、その政治的・歴史的背景を知らないと理解しにくいところもあるし、オリバー・ストーン自身もちょっと浅はかというか、いかにも(所詮は?)アメリカ人な質問をしたりもしてて、そういう意味では、せっかくの機会を活かしきれてない気もする(それにも理路整然と、真摯に余裕を持って対応してるカストロのほうが格が上だってことを際立たせてはいるけど)。個人的には、
プラトーン』はわりと好きだったけど、オリバー・ストーンって監督自体は特に好きってわけじゃなく、熱心に追いかけてるわけでも全部観てるわけでもないし、特に『ドアーズ』はちょっとガッカリしたりもしたんで、あまりいい印象があるわけじゃない。なんか、ビミョーにダサイっていうか、センスが悪いし(特に音楽の使い方とか)。この『コマンダンテ』に関しても、そういう部分がないことはないけど、まぁ、その部分を差し引いても十分楽しめるんじゃないかな、と。

ちなみに、観てない(まだ日本では公開されてない?)けど、ブッシュを描いたという最新作『W.』の予告編は、トーキング・ヘッズの "Once in a Lifetime" を使ってたりして、ちょっと面白い。

2008/11/14

Still alive.

『チェ・ゲバラの記憶』 フィデル・カストロ 著 柳原 孝敦 監訳
(トランスワールドジャパン  Link(s): Amazon.co.jp
 
原書は "Che: A Memoir by Fidel Castro" 及び "Che en la memoria de Fidel Castro"。前者はオーストラリアのオーシャン・プレス社が 2006 年に英語で出版したもので、タイトルに 'memoir'(メモアール)とあるように、フィデル・カストロがチェ・ゲバラについて触れた演説やインタビュー等をデイヴィッド・ドイチュマンが編纂したもの。後者は、前者をベースにキューバのオーシャン・スールが該当部分のスペイン語の原テキストを集めたもの。初版の発表は 1994 年、ここで採り上げられた原書は第 2 版で、1994 年以降のものも収められている。つまり、表記的には「フィデル・カストロ著」となってるけど、厳密には、新たに記したわけではなく、これまでにも発表されていたものを集めた「コンピレーション」のような作品だということです。 

2008/11/07

The speech.

President-Elect Barack Obama: Speech in Chicago on November 4th, 2008 
(US Presidential Election 2008)  

第 44 代アメリカ大統領を決める大統領選挙で勝利したバラク・オバマが 2008 年 11 月 4 日にシカゴで行った約 17 分の感動的な演説。オフィシャル・サイトに動画とテキストが公開されている(ポッドキャストもあり)。

予想を上回る圧勝を収めた直後の「勝利演説」でありながら、必要以上に興奮した様子もなく、いつものように落ちついたトーンで、ジックリと、そして熱く語りかける。106 歳の黒人女性を例に挙げつつ、その時代を思い起こさせる言葉を交えながら振り返り、アメリカの建国以来の歴史を「点」ではなく「線」としてイメージさせ、その 1 本の線の中の一番近い位置にある現在、そしてその先に続く未来へのヴィジョンを描いて聞かせる。青臭いとか実行可能性がないとか味気ないことをいうヤツがいるのは想像できるけど、そういう細かい(つまんない)理屈抜きで聞く者の心にストレートに、ダイレクトに訴えかけてきて、つい感動しちゃう。"Yes We Can" のベースになったニュー・ハンプシャーでの演説もクラシックだと思うけど、今回の演説は 21 世紀を代表する歴史的な演説になる予感すらする。